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第四王子の計画

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 私は神のお告げを聞き、第四王子がいるところに戻った。

 「終わったのか?」

 そう尋ねる王子。

 「はい。終わりました」

 心はまだ乱れている。いろんなことがありすぎてついていけてない。

 それに本当に私が光ならなぜ、私は一度死んだのか?それが一番知りたいことだ。

 「ポット様。私からお話があります。今いいですか?」

 そう言うと、少し怪訝そうな顔をしたけど、すぐに返事が返って来た。

 「いいだろう」

 「サシル。あなたはどこかで時間を潰していて」

 そう言うと、サシルはこの世の終わりみたいな顔で一言こう言った。

 「わかりました」

 そう肩を落としながら神殿のどこへと消えた。

 ごめん!サシルに聞かせてもいいけど、このことがお父様にバレるのはまずいのよ。

 そう心の中で謝り、王子に向き直った。

 「単刀直入に言います。私と結婚してください」

 ぽかーん

 「……」

 いきなり言われたから王子はまるで鳩が豆鉄砲を食らったかのように黙ってしまった。

 「あ、あの……」

 どうして何も言わないの?まさか断られる。いろいろと作戦は考えたけど、やっぱりこういう時は直球勝負がいいって騎士が言ってた!

 説明しよう。クリスタはまともな恋愛をしたことがなく、彼女の保護騎士であるヴィルグルという男性に相談した結果、直球勝負と言う形に収まった。

 「お嬢様!この私が悪かったです!まさか相手が王族とは知らずに!お許しを‼︎」

 そうどこかで懇願する彼の声が聞こえてくる気がする。

 「ぷっ!」

 「えっ?」
  
 今吹き出した?

 「ぷっあはは‼︎あははは‼︎キャアハハ‼︎ふぅーふぅー!あははは‼︎」

 「……」

 今度は私が鳩が豆鉄砲を食ったよう顔になってしまった。王子があんなに大きな声で笑うとは思ってなかった。

 「いいよ笑。僕の計画を教えてあげるよ」

 そう言って私の耳元で話し始めた。

 「本当は僕の方から求婚するつもりだったけど、手間が省けた」
 
 「……」

 王子の方から求婚⁉︎何?どうなっているの?怖い!

 「僕の計画はもう死を繰り返さないためだよ」

 「えっ……」
  
 話がぶっ飛びすぎてついていけない。

 「まだ真実は明かさないけど、君が死ぬと僕も困るんだ。それにもうひとつの計画は王族を皆殺しだ。つまり僕の家族を殺すことだ」

 更に冷たく笑う王子。

 「……」

 そう冷たく答える王子は今まで聴いていた噂とまるで違うものだった。

 「わざと剣術が下手なふりをしたり運動が駄目な普通に見せかけてよかったよ」

 「……っ」

 どうして気づかなかったんだろう?彼は天才だ。頭脳はもちろん。魔法、神力そして、人を見る目も誰よりもずば抜けている。そんな彼が何の目的もなく私に近づくはずない。もっと早く気づくべきだった。

 「お……様……お嬢様‼︎」

 「……サシル」

 「もうお屋敷につきますよ?」

 「わかったわ」

 この話を聞いた後、彼はそのまま神殿に残ることになった。そして、私はそのことに考えすぎてどうやって馬車に乗ったことすら覚えてない。情け無い。

 「私が死ぬと彼が困る。私と同じで二度目の人生を送っているの?」

 そんな小さなスケールではないことを数年後に思い知らされるのであった。

 「僕の計画には君が必要なんだよ。クリスタ」
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