15 / 39
第2章
第12話
しおりを挟む
後輩ヒロインの日南茜は『がんばって作ってきたんです』と、あざとさ全開のしおらしいアピールを決めた。
「タイヨウ。茜ちゃんがんばったんだよ。食べてあげなきゃだめだよ。」
まっさきにそのあざとアピールにひっかかったのは良い人代表の野々村だった。
素直というかおバカというか人が良いというか…ちょろいな野々村。
日南の猫かぶりのあざとい演技を本気で信用してるみたいだ。
「まあ、そうね。頑張りと良し悪しは比例しないけれど、やはり見た目と味も比例はしないし。試しに食べてみてもいいんじゃないかしら。」
雨宮も野々村に同調して日南の弁当を食べるようにタイヨウにうながす。
お前はさっき勝手に日南の弁当を酷評しすぎて気まずくなってるだけだろ。
さりげに頑張りと良し悪しは比例しないとか、まだ厳しいこと言ってるし。
日南はそんな彼女たちの掩護射撃をウンウンとうなずきながら聞いている。
「お前らなぁ他人事だと思って。そこまで言うならみんなで食べようじゃねーか」
タイヨウも反撃に出た。死なばもろとも、道連れ作戦だ。
一瞬ピタッと野々村と雨宮の動きが止まる。
その、みんなにオレもはいってんのかなぁ…?
それはぜひとも避けたいとこだ。
日南を気づかって万が一にも2人がその案に乗っかって、みんなで食うようなことになる前に阻止しなければ。
「いやいやそれは違うぞタイヨウよ。日南はお前のためにつくってきたんだ。お前のぶんをとっちまうのは申し訳ない。お前が全部食べるべきなのだ」
それにお前ハーレムラブコメの主人公だし…。
なんでオレが日南の弁当食わにゃならんのじゃ。デメリットしかないわ。
「さすが千尋先輩!わかってる!ちなみに私のことは茜でお願いします!」
オレの掩護射撃にも日南はあっさり乗ってきた。
しかもオレを持ち上げながら、ついでに名字じゃなくて名前で呼べという、いつもの請求までしてきた。げにおそろしき子。
日南は皆から名前で呼ばれたがる性質をもっている。どうせ、そっちのほうがかわいい後輩感が周囲にアピールできるとかそんな理由だろう。
しかしオレにとってアンラッキーパーソンの日南を名前で呼ぶのもなんかシャクなので日南と呼び続けている。
タイヨウはがしがし頭をかきながら覚悟を決めたようだ。
「ったく仕方ねーな。1口だけ食ってみるか」
さすがハーレムラブコメの主人公。
オレなら絶対食いたくない。
オレは初めて自分が主人公でなくて良かったと思った…。
いや、でもこれ食ったら主人公になれるなら食うけども。
まぁそんなことで主人公になれるわけもなく、これを食ってもなれるのはせいぜい腹痛ぐらいだろうが…。
その後、タイヨウは日南の作ってきた弁当を無理して食っていた。
すげぇコイツ全部食いきりやがった…。
タイヨウはゼェゼェ息をきらしていて、なぜか飯を食ったのに体力は食う前より減っているように見える。
タイヨウが自分の作った弁当を食べたのを確認した日南は満足そうな顔をしている。
「さすがタイヨウ先輩!あ、そしたら飲み物も必要ですよね?私なにか自販機で買ってきますよ!食べてくれたお礼におごりますね。ついでに皆さんも何か欲しいものあったら、おごるのはアレですけど代わりに買ってきますよ」
雨宮や野々村のほうを向いて、日南は自らパシリを買ってでた。
タイヨウからは弁当のお礼と言って、お代すら取らないらしい。
無茶苦茶なことをしながらも、そういうところで気が利いたりするからたちが悪い。
こうしたところで日南は生意気だけど憎めない後輩ヒロインポジションというものを上手にこなしている。
…日南が後輩ヒロインポジションを確かなものにするということはオレにとってはマイナスな事実だ。
やはりオレはこの女、苦手だ。
てか皆さんってオレもはいってんのかなぁ…?
「タイヨウ先輩なに飲みたいですか?」
「ん?あぁなんか悪いな。弁当ももらったのにそのうえ飲み物までおごってもらうとか」
「いえいえ全然ですよ」
「じゃあそうだなコーラで頼む」
「りょうかいです。泉先輩はどうしますか?」
「そだね。じゃあせっかくだからイチゴオレ買ってきてもらおうかな。お金いまだすね」
「はいはい。イチゴオレですね~」
そういって日南は野々村からお代を受けとる。
そして次は、と雨宮のほうを見る。
「雨宮先輩はどうします?」
「私は今は要らないから大丈夫よ。ありがとう」
「そうですか。わかりました!」
雨宮は購買でパンと一緒にコーヒー牛乳を買ってきていたので飲み物はいらないみたいだ。
…さて、野々村に聞いた。雨宮にも聞いた。
順番でいけば次はオレの番なのだが。
はたしてオレは皆さんに入っているのか…?
ついに謎が明かされるときがきた。
さっきから目の前の皆さんで行われている物語にあまり参加できずにいるオレだ。もしかして今回もオレはスルーで、『でわ、行ってきまーす!』と日南がスタートしてしまう可能性は充分にある。
まあオレも今はコーラとかイチゴオレとか甘ったるい飲み物は特に欲しくないのだが。
このハーレムラブコメの物語がオレに塩対応なので、すこしばかり精神的な甘み成分が必要だ。
頼むから、一応オレにも飲み物いるか聞いてくれ!日南!
さっきオレの鶴の一声のフォローのおかげでタイヨウに1人でお前の弁当を全部食べさせれたはずだよな?よな!?
そんな風に心の中で祈りながら日南を見ていると、日南はオレのほうに顔を向けた。
…よし!
スルーされなかった!ついてる!
いやいや当たり前なのよ?本来は。
こんな近くにいて皆にすら入れてもらえないなんてほうがおかしな話なんだけどね!
あんまりにも卑屈になりすぎていたが。まあとにかくよかった。
日南よ。なんやかんやでお前もちゃんとオレにも一応気をつかってくれるんじゃないか。そこには素直に感謝しよう。
「じゃあ千尋先輩。飲み物もちきれないから一緒に自販機まで付き合って下さい!」
日南はニッコリと笑顔で言った
……は?
「タイヨウ。茜ちゃんがんばったんだよ。食べてあげなきゃだめだよ。」
まっさきにそのあざとアピールにひっかかったのは良い人代表の野々村だった。
素直というかおバカというか人が良いというか…ちょろいな野々村。
日南の猫かぶりのあざとい演技を本気で信用してるみたいだ。
「まあ、そうね。頑張りと良し悪しは比例しないけれど、やはり見た目と味も比例はしないし。試しに食べてみてもいいんじゃないかしら。」
雨宮も野々村に同調して日南の弁当を食べるようにタイヨウにうながす。
お前はさっき勝手に日南の弁当を酷評しすぎて気まずくなってるだけだろ。
さりげに頑張りと良し悪しは比例しないとか、まだ厳しいこと言ってるし。
日南はそんな彼女たちの掩護射撃をウンウンとうなずきながら聞いている。
「お前らなぁ他人事だと思って。そこまで言うならみんなで食べようじゃねーか」
タイヨウも反撃に出た。死なばもろとも、道連れ作戦だ。
一瞬ピタッと野々村と雨宮の動きが止まる。
その、みんなにオレもはいってんのかなぁ…?
それはぜひとも避けたいとこだ。
日南を気づかって万が一にも2人がその案に乗っかって、みんなで食うようなことになる前に阻止しなければ。
「いやいやそれは違うぞタイヨウよ。日南はお前のためにつくってきたんだ。お前のぶんをとっちまうのは申し訳ない。お前が全部食べるべきなのだ」
それにお前ハーレムラブコメの主人公だし…。
なんでオレが日南の弁当食わにゃならんのじゃ。デメリットしかないわ。
「さすが千尋先輩!わかってる!ちなみに私のことは茜でお願いします!」
オレの掩護射撃にも日南はあっさり乗ってきた。
しかもオレを持ち上げながら、ついでに名字じゃなくて名前で呼べという、いつもの請求までしてきた。げにおそろしき子。
日南は皆から名前で呼ばれたがる性質をもっている。どうせ、そっちのほうがかわいい後輩感が周囲にアピールできるとかそんな理由だろう。
しかしオレにとってアンラッキーパーソンの日南を名前で呼ぶのもなんかシャクなので日南と呼び続けている。
タイヨウはがしがし頭をかきながら覚悟を決めたようだ。
「ったく仕方ねーな。1口だけ食ってみるか」
さすがハーレムラブコメの主人公。
オレなら絶対食いたくない。
オレは初めて自分が主人公でなくて良かったと思った…。
いや、でもこれ食ったら主人公になれるなら食うけども。
まぁそんなことで主人公になれるわけもなく、これを食ってもなれるのはせいぜい腹痛ぐらいだろうが…。
その後、タイヨウは日南の作ってきた弁当を無理して食っていた。
すげぇコイツ全部食いきりやがった…。
タイヨウはゼェゼェ息をきらしていて、なぜか飯を食ったのに体力は食う前より減っているように見える。
タイヨウが自分の作った弁当を食べたのを確認した日南は満足そうな顔をしている。
「さすがタイヨウ先輩!あ、そしたら飲み物も必要ですよね?私なにか自販機で買ってきますよ!食べてくれたお礼におごりますね。ついでに皆さんも何か欲しいものあったら、おごるのはアレですけど代わりに買ってきますよ」
雨宮や野々村のほうを向いて、日南は自らパシリを買ってでた。
タイヨウからは弁当のお礼と言って、お代すら取らないらしい。
無茶苦茶なことをしながらも、そういうところで気が利いたりするからたちが悪い。
こうしたところで日南は生意気だけど憎めない後輩ヒロインポジションというものを上手にこなしている。
…日南が後輩ヒロインポジションを確かなものにするということはオレにとってはマイナスな事実だ。
やはりオレはこの女、苦手だ。
てか皆さんってオレもはいってんのかなぁ…?
「タイヨウ先輩なに飲みたいですか?」
「ん?あぁなんか悪いな。弁当ももらったのにそのうえ飲み物までおごってもらうとか」
「いえいえ全然ですよ」
「じゃあそうだなコーラで頼む」
「りょうかいです。泉先輩はどうしますか?」
「そだね。じゃあせっかくだからイチゴオレ買ってきてもらおうかな。お金いまだすね」
「はいはい。イチゴオレですね~」
そういって日南は野々村からお代を受けとる。
そして次は、と雨宮のほうを見る。
「雨宮先輩はどうします?」
「私は今は要らないから大丈夫よ。ありがとう」
「そうですか。わかりました!」
雨宮は購買でパンと一緒にコーヒー牛乳を買ってきていたので飲み物はいらないみたいだ。
…さて、野々村に聞いた。雨宮にも聞いた。
順番でいけば次はオレの番なのだが。
はたしてオレは皆さんに入っているのか…?
ついに謎が明かされるときがきた。
さっきから目の前の皆さんで行われている物語にあまり参加できずにいるオレだ。もしかして今回もオレはスルーで、『でわ、行ってきまーす!』と日南がスタートしてしまう可能性は充分にある。
まあオレも今はコーラとかイチゴオレとか甘ったるい飲み物は特に欲しくないのだが。
このハーレムラブコメの物語がオレに塩対応なので、すこしばかり精神的な甘み成分が必要だ。
頼むから、一応オレにも飲み物いるか聞いてくれ!日南!
さっきオレの鶴の一声のフォローのおかげでタイヨウに1人でお前の弁当を全部食べさせれたはずだよな?よな!?
そんな風に心の中で祈りながら日南を見ていると、日南はオレのほうに顔を向けた。
…よし!
スルーされなかった!ついてる!
いやいや当たり前なのよ?本来は。
こんな近くにいて皆にすら入れてもらえないなんてほうがおかしな話なんだけどね!
あんまりにも卑屈になりすぎていたが。まあとにかくよかった。
日南よ。なんやかんやでお前もちゃんとオレにも一応気をつかってくれるんじゃないか。そこには素直に感謝しよう。
「じゃあ千尋先輩。飲み物もちきれないから一緒に自販機まで付き合って下さい!」
日南はニッコリと笑顔で言った
……は?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる