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居眠り姫は笑えない
居眠り姫は笑えない 4
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「じゃあその後ろの席の・・・・・・田倉夢一! 『寝れば』を文法的に説明しなさい」
「は、はい。な、ナ行下二段活用『寝』の・・・・・・い、已然形です」
「合ってんだからもっと自信もって言え。じゃあその次、『見え』の文法的説明を・・・・・・田倉の隣の、成宮! 成宮姫子!」
姫子は相変わらず夢の中。
他の生徒なら、先ほどの渋谷うららと同じように弾丸チョークをくらっているところだ。
だけど、国分先生はきっと・・・・・・。
夢一は、先生の動向を注視した。
チョークは飛ばない。国分先生は気まずそうに、
「・・・・・・は、寝てるのか。じゃ、その前の郡山!」
「はい。マ行上一段活用の・・・・・・」
やっぱり。
【謎その② 成宮姫子だけは、寝てても先生に怒られない】
国分先生だけが姫子に甘いのではなく、他のどんな厳しい先生も、姫子が寝てるときだけは怒らない。
一部の居眠り常習犯たちからは「なんで成宮さんだけ」と反感を買っているらしく、夢一はそのことが原因で姫子がいじめられやしないかと肝を冷やしていた。
もっとも、いじめられても彼女はなんとも思わなそうだが。だって、強盗に押し入られても隕石が降ってきても無表情を貫いてそうだし・・・・・・。
――そう、彼女の最大の謎は、
【謎その③ 常に無表情】
怒った顔も、悲しんだ顔も、笑った顔も見たことがない。
見せるのは、無表情か、そうでなければ眠そうな表情。
感情がないのか、感情を出さないようにしているのか。あの無表情の下で、いったいどんな感情が渦巻いているのだろう。
姫子の寝姿を見つめながら、成宮さんの笑顔を見てみたい、と夢一は思った。
どんなときに笑うのか、何をしたら笑うのか、どんな風に笑うのか――。
姫子が急に首を夢一の方に向けたので、夢一はあわてて顔を逸らした。一瞬見えた姫子の寝顔は天使のようだったけど、やはり笑っていなかった。
・・・・・・ダメだ、全然授業に集中できない。
成宮さんは今、どんな夢を見ているんだろう。
(-_-)zzz
教室内、授業中。
夢一、国分先生に当てられる。答えが分からずにあたふたしていると、額に弾丸チョークが飛んでくる。
ヒリヒリするおでこを押さえながらふと横を向くと、机に突っ伏して寝ていたはずの姫子が、ちょっと顔を上げて笑っ
(-_-)zzz
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ・・・・・・
目覚まし時計の音で、夢一は目が覚めた。
4月19日の朝だ。
夢一は、鏡を見なくても分かるほど自分の顔が火照っていることに驚きつつも、あとちょっとのところで姫子の笑顔を見られなかったことを死ぬほど悔やんだ。
どうしてあんな夢を見たんだろう。
成宮さんのことを思っていたから、彼女が夢に現れたのだろうか。夢と知っていたら、覚めなかっただろうに。
「は、はい。な、ナ行下二段活用『寝』の・・・・・・い、已然形です」
「合ってんだからもっと自信もって言え。じゃあその次、『見え』の文法的説明を・・・・・・田倉の隣の、成宮! 成宮姫子!」
姫子は相変わらず夢の中。
他の生徒なら、先ほどの渋谷うららと同じように弾丸チョークをくらっているところだ。
だけど、国分先生はきっと・・・・・・。
夢一は、先生の動向を注視した。
チョークは飛ばない。国分先生は気まずそうに、
「・・・・・・は、寝てるのか。じゃ、その前の郡山!」
「はい。マ行上一段活用の・・・・・・」
やっぱり。
【謎その② 成宮姫子だけは、寝てても先生に怒られない】
国分先生だけが姫子に甘いのではなく、他のどんな厳しい先生も、姫子が寝てるときだけは怒らない。
一部の居眠り常習犯たちからは「なんで成宮さんだけ」と反感を買っているらしく、夢一はそのことが原因で姫子がいじめられやしないかと肝を冷やしていた。
もっとも、いじめられても彼女はなんとも思わなそうだが。だって、強盗に押し入られても隕石が降ってきても無表情を貫いてそうだし・・・・・・。
――そう、彼女の最大の謎は、
【謎その③ 常に無表情】
怒った顔も、悲しんだ顔も、笑った顔も見たことがない。
見せるのは、無表情か、そうでなければ眠そうな表情。
感情がないのか、感情を出さないようにしているのか。あの無表情の下で、いったいどんな感情が渦巻いているのだろう。
姫子の寝姿を見つめながら、成宮さんの笑顔を見てみたい、と夢一は思った。
どんなときに笑うのか、何をしたら笑うのか、どんな風に笑うのか――。
姫子が急に首を夢一の方に向けたので、夢一はあわてて顔を逸らした。一瞬見えた姫子の寝顔は天使のようだったけど、やはり笑っていなかった。
・・・・・・ダメだ、全然授業に集中できない。
成宮さんは今、どんな夢を見ているんだろう。
(-_-)zzz
教室内、授業中。
夢一、国分先生に当てられる。答えが分からずにあたふたしていると、額に弾丸チョークが飛んでくる。
ヒリヒリするおでこを押さえながらふと横を向くと、机に突っ伏して寝ていたはずの姫子が、ちょっと顔を上げて笑っ
(-_-)zzz
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ・・・・・・
目覚まし時計の音で、夢一は目が覚めた。
4月19日の朝だ。
夢一は、鏡を見なくても分かるほど自分の顔が火照っていることに驚きつつも、あとちょっとのところで姫子の笑顔を見られなかったことを死ぬほど悔やんだ。
どうしてあんな夢を見たんだろう。
成宮さんのことを思っていたから、彼女が夢に現れたのだろうか。夢と知っていたら、覚めなかっただろうに。
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