新緑の候

みなも・もなみ

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7 冷たい方程式

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 16年前

 伊達総合病院 周産期しゅうさんき母子ぼし医療センター。

 二卵性にらんせい双生児そうせいじを授かった二宮百合花はMFICU(母体胎児ぼたいたいじ集中治療室しゅうちゅうちりょうしつ)で帝王ていおう切開せっかい
受けていた。

 一人目が取り出され、NICU(新生児しんせいじ集中治療室)に搬送された。

 その時だった。

 低い地鳴りが徐々に大きくなり、手術スタッフは緊急時の対応に入った。
 ドンと突き上げる衝撃が襲い、スタッフが押さえていなかった棚などが倒れた。

 停電となり、自家発電に切り替わった。

 揺れが少し収まると、スタッフは慎重にオペを進めた。
 中断することは出来ない。
 切開された子宮の中に二人目の胎児がいるのだ。

 慎重に体外に取り上げた直後、二度目の大きな揺れが襲いかかった。
 スタッフの神経は極限にまで達していた。
 母体の安全を考えると、時間がない状態だった。
 前置ぜんち癒着ゆちゃく胎盤たいばんという非常に高リスクのケースであり、出血も増え始めていた。
 執刀医しっとういは深い癒着を見つけ、母体の生命を優先し、子宮摘出を決断した。

 輸血の量を増やす指示をしようとした時、院内放送が津波による早急の避難を呼びかけた。

 あと何分後に津波が来るのか確認をしようとする間もなく、病院の建物全体を揺らす衝撃と共に自家発電が水没し、非常用電力が消失した。

 他の病室では、無停電電源装置が警報を鳴らしながら生命維持装置を動かしている。

 海側の病棟から物が壊れる大きな音と悲鳴が聞こえる中、執刀医は命の決断を迫られた。
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