69 / 119
69 恋の類(旭輝視点)
しおりを挟む
初めて、好きな人とセックスをした。
それはとても満ち足りていて、こんなに心地良い行為で。たまらなく幸せなことなんだと、教えてもらった。
絶対に叶うことはないから「恋」なんて名前はつけてなかった。
けれど、誰か他と「恋」をする気も起きなかった。
いつだったか大昔、同僚の河野の訊かれたことがあったっけ。
――恋人とかいたりすんの?
そう、デスクで、新人の頃、日々の業務にまだ戸惑うことも多かった時期に。
俺は、いない、と答えた。
じゃあ。飲み会に来るかと尋ねられて、断ったんだ。いないけれど、誰か、他に恋人を作る気もないと。
叶うわけがないから、もう二度と会うことは叶わないから「恋」と呼ばなかった。
でもずっと聡衣以外は目に入っていなかった。
いつか忘れられるまで、完全にこの感情に輪郭がなくなるまでは思っていたかった。
なんでだろうな。
そこまで大層なことをしてもらったわけじゃない。命を救ってくれたわけでもないし、何か、大事件ってわけでもない。
それでも、あの時、選んでくれたスーツは確かに何にもない田舎で育った俺を変身させてくれた。初出勤、山も林も、川もない、あるのは硬くて冷たいコンクリートと四角張った建物ばかり。どこまでも広がっているはずの空は高く高く聳え立つビルに阻まれて、ほとんど見えない。
行き交う人も足早で、俯きがちで、とにかく忙しいのか味気ない表情ばかり。
それでも不安も戸惑いもなかった。聡衣がかけてくれた魔法のおかげだと、内心、感動すらしていた。
会えないけれど、この人を射止められるほどの「かっこいいスーツメンズ」になれたら、あの人以上を見つけられるかもしれない、とも思ったんだ。そうしたらあの人への叶うことのない片思いは自然と終わるだろうから、なんて。
料理を覚えた。
無頓着だった服にも気を遣った。
仕事だってしっかりこなす。
あの人がかけた魔法で変身して。
そうしたらいつか会えるかもしれない、なんて少しは思ったのかもしれない。会える確率なんて途方もないほど天文学的数字になるけれど。
それでも「いつか」会えるかもしれない。忘れられるかもしれない。どっちともつかないまま。
そして、会えた。
「恋」を、した。
あの人に見合う男になって。
「……」
鏡で身支度が整ったことを確認して、タイピンを留める。黒の石がついた、タイピン。
あの時も、ガキみたいにはしゃぎそうになるのを必死で堪えたんだ。
笑うだろ?
聡衣が楽しそうに新しい職場の、オーナーの話をするのを聞きながら、ふくれっ面になりそうになったりして。
けれど、このタイピンをもらっただけで有頂天になって。まったく呆れる。
「聡衣……」
完璧からはほど遠い。
「んー……」
そっと、ベッドの端に腰を下ろし、手を伸ばす。
長い睫毛に触れるとくすぐったかったのか、眉をわずかに寄せてから、小さく迷惑そうな声を上げた。それから身じろいで、自分の口元を手で隠してしまう。丸まって、薄く開いた唇の隙間から心地良さそうな寝息を立てて。
あの人が、寝てる。
なぁ、信じられるか?
あの人が、俺のベッドで寝てるんだ。
笑って、隣で飯を食べて、酒を飲んで。
すごいことだよな。まるで魔法みたい。奇跡だ。
そう、あの日、聡衣に遭遇した日から、何度も何度も、何度も、胸の内で思っていた。
信じられない。
あの人にもう一度会えたんだぜ?
そう、何度も。
これは聡衣の知らないこと。
どれだけ俺がその度に感動してたかなんて。
どれだけ「夢じゃないよな?」って確認したかなんて。
どれだけ――。
「……」
長い片想いをしていたかなんて。
他じゃ、あんな気持ちにならなかった
他の誰かじゃ、あんなに胸は躍らなかった。
聡衣じゃなきゃ。
そしてそっと、寝癖に触れた。触れたいと指先が焦れるくらい、綺麗で柔らく、サラリと艶やかな髪は思っていた通り、触れると優しい気持ちになれた。
昨日、無理させたかもな。
止められなかったから。
今日はできるだけ寝かせておいてあげたい。だから、あとで聡衣を困らせるだろう寝癖を手櫛で直してやろうと、何度か撫でて。それでもめげずに跳ねる寝癖に笑った。
「……ん」
やばいな。寝てる聡衣の邪魔だ。
少し、騒がしくしすぎた。せっかくできるだけ起こさないように静かに朝の支度を終えたのに、全部終えて、そばに行った途端に寝てるのを邪魔してる。
「ん」
残念、もう少し寝顔を見ていたかった。でも、起きた瞬間の寝ぼけた顔も見てみたい。そろそろ仕事に行く時間だから、その前に――。
「……聡衣」
「……い、と」
「糸?」
名前を呼ぶと、朝日も手伝って眩しそうに瞼をキュッときつく結んだ。そして、その拍子に睫毛がかすかに揺れる。
「……おはよう。寝言言ってたぞ。糸って」
「!」
挨拶の言葉に覚醒した瞬間、パッと目を瞬かせた。その瞳を長い前髪が隠してしまうから指先で阻止して、そっとかき上げる。
「ぉ、おはっ」
「っぷ、すげ、一瞬で真っ赤」
「だ、だって」
頬は指先にしっとりと馴染む柔らかさで、昨日、抱きながら何度もそこにキスをした。その頬が真っ赤に染まってる。
「あのっ」
「朝飯、作ってある」
「へ? あ、時間? えっと、あのっ、ごめっ」
「いや、聡衣はまだ出勤時間じゃないだろ? ゆっくり寝とけよ」
「あのっ」
「俺は仕事に行ってくるから」
「あ、うん」
起き上がると、柔らかな寝癖は思っていた以上に楽しげに踊っていた。
鏡でそれを見たわけでもない聡衣は寝ぼけながら、俺の布団に包まって、じっとこちらを見つめてる。
「聡衣」
「?」
その髪にキスをして、額に、頬に、優しく唇で触れた。
「好きだ」
「へ? わ、ぁっ」
「それじゃあ、行ってきます」
「へは! はいっ、行ってらっしゃい!」
最後に唇に触れて、ここでもう終いと手を離した。真っ赤になったパプリカみたいな聡衣は布団の中で口をぱくぱくと開けている。
「帰りは、あんまり遅くならないようにする。夕飯俺が作るよ」
「へ、はっ」
真っ赤なパプリカは言葉も忘れてしまったみたいに、まだ、口をぱくぱくと動かしてた。
「よ、ここ最近は随分熱心に残業しまくってたみたいだな」
「……河野」
駅から職場へ向かう途中、声をかけてきたのは河野だった。黒のスーツに、革手袋をして、ニヤリと、印象の悪い笑顔をこっちに向けている。
「必死に仕事詰め込んで、まさかこの忙しい時期にまとめて休みでもとって恋人さんと新婚旅行、とか? って、まだ続いてるんだっけ?」
そういや、こいつの……。
「なぁ、河野」
「は?」
おかげかもな。
―― その、聞いちゃったんだ。あの、同僚の人からずっと好きだった人がいるって。
なんか聡衣に余計なことを言ったようだけど、でも、色々掻き回してくれたおかげっていうのも多少はあるんだろ。
聡衣は怖がりだから。
「今度、飲みに行こう。奢る」
「は、はぁぁぁっ? なんで、俺がお前にっ」
「違う。俺がお前に奢ってやるんだ」
「! わかってるよ! そういう意味じゃない!」
「ならよかった」
なぁ、すごいだろ?
「なんで笑ってるんだ。気持ち悪い男だなっ」
あの日。
あの日、そう、お前に話したあの人に再会できたんだ。
なぁ。
「なんなんだっ!」
なぁ、あの人の恋人に、なれたんだ。
それはとても満ち足りていて、こんなに心地良い行為で。たまらなく幸せなことなんだと、教えてもらった。
絶対に叶うことはないから「恋」なんて名前はつけてなかった。
けれど、誰か他と「恋」をする気も起きなかった。
いつだったか大昔、同僚の河野の訊かれたことがあったっけ。
――恋人とかいたりすんの?
そう、デスクで、新人の頃、日々の業務にまだ戸惑うことも多かった時期に。
俺は、いない、と答えた。
じゃあ。飲み会に来るかと尋ねられて、断ったんだ。いないけれど、誰か、他に恋人を作る気もないと。
叶うわけがないから、もう二度と会うことは叶わないから「恋」と呼ばなかった。
でもずっと聡衣以外は目に入っていなかった。
いつか忘れられるまで、完全にこの感情に輪郭がなくなるまでは思っていたかった。
なんでだろうな。
そこまで大層なことをしてもらったわけじゃない。命を救ってくれたわけでもないし、何か、大事件ってわけでもない。
それでも、あの時、選んでくれたスーツは確かに何にもない田舎で育った俺を変身させてくれた。初出勤、山も林も、川もない、あるのは硬くて冷たいコンクリートと四角張った建物ばかり。どこまでも広がっているはずの空は高く高く聳え立つビルに阻まれて、ほとんど見えない。
行き交う人も足早で、俯きがちで、とにかく忙しいのか味気ない表情ばかり。
それでも不安も戸惑いもなかった。聡衣がかけてくれた魔法のおかげだと、内心、感動すらしていた。
会えないけれど、この人を射止められるほどの「かっこいいスーツメンズ」になれたら、あの人以上を見つけられるかもしれない、とも思ったんだ。そうしたらあの人への叶うことのない片思いは自然と終わるだろうから、なんて。
料理を覚えた。
無頓着だった服にも気を遣った。
仕事だってしっかりこなす。
あの人がかけた魔法で変身して。
そうしたらいつか会えるかもしれない、なんて少しは思ったのかもしれない。会える確率なんて途方もないほど天文学的数字になるけれど。
それでも「いつか」会えるかもしれない。忘れられるかもしれない。どっちともつかないまま。
そして、会えた。
「恋」を、した。
あの人に見合う男になって。
「……」
鏡で身支度が整ったことを確認して、タイピンを留める。黒の石がついた、タイピン。
あの時も、ガキみたいにはしゃぎそうになるのを必死で堪えたんだ。
笑うだろ?
聡衣が楽しそうに新しい職場の、オーナーの話をするのを聞きながら、ふくれっ面になりそうになったりして。
けれど、このタイピンをもらっただけで有頂天になって。まったく呆れる。
「聡衣……」
完璧からはほど遠い。
「んー……」
そっと、ベッドの端に腰を下ろし、手を伸ばす。
長い睫毛に触れるとくすぐったかったのか、眉をわずかに寄せてから、小さく迷惑そうな声を上げた。それから身じろいで、自分の口元を手で隠してしまう。丸まって、薄く開いた唇の隙間から心地良さそうな寝息を立てて。
あの人が、寝てる。
なぁ、信じられるか?
あの人が、俺のベッドで寝てるんだ。
笑って、隣で飯を食べて、酒を飲んで。
すごいことだよな。まるで魔法みたい。奇跡だ。
そう、あの日、聡衣に遭遇した日から、何度も何度も、何度も、胸の内で思っていた。
信じられない。
あの人にもう一度会えたんだぜ?
そう、何度も。
これは聡衣の知らないこと。
どれだけ俺がその度に感動してたかなんて。
どれだけ「夢じゃないよな?」って確認したかなんて。
どれだけ――。
「……」
長い片想いをしていたかなんて。
他じゃ、あんな気持ちにならなかった
他の誰かじゃ、あんなに胸は躍らなかった。
聡衣じゃなきゃ。
そしてそっと、寝癖に触れた。触れたいと指先が焦れるくらい、綺麗で柔らく、サラリと艶やかな髪は思っていた通り、触れると優しい気持ちになれた。
昨日、無理させたかもな。
止められなかったから。
今日はできるだけ寝かせておいてあげたい。だから、あとで聡衣を困らせるだろう寝癖を手櫛で直してやろうと、何度か撫でて。それでもめげずに跳ねる寝癖に笑った。
「……ん」
やばいな。寝てる聡衣の邪魔だ。
少し、騒がしくしすぎた。せっかくできるだけ起こさないように静かに朝の支度を終えたのに、全部終えて、そばに行った途端に寝てるのを邪魔してる。
「ん」
残念、もう少し寝顔を見ていたかった。でも、起きた瞬間の寝ぼけた顔も見てみたい。そろそろ仕事に行く時間だから、その前に――。
「……聡衣」
「……い、と」
「糸?」
名前を呼ぶと、朝日も手伝って眩しそうに瞼をキュッときつく結んだ。そして、その拍子に睫毛がかすかに揺れる。
「……おはよう。寝言言ってたぞ。糸って」
「!」
挨拶の言葉に覚醒した瞬間、パッと目を瞬かせた。その瞳を長い前髪が隠してしまうから指先で阻止して、そっとかき上げる。
「ぉ、おはっ」
「っぷ、すげ、一瞬で真っ赤」
「だ、だって」
頬は指先にしっとりと馴染む柔らかさで、昨日、抱きながら何度もそこにキスをした。その頬が真っ赤に染まってる。
「あのっ」
「朝飯、作ってある」
「へ? あ、時間? えっと、あのっ、ごめっ」
「いや、聡衣はまだ出勤時間じゃないだろ? ゆっくり寝とけよ」
「あのっ」
「俺は仕事に行ってくるから」
「あ、うん」
起き上がると、柔らかな寝癖は思っていた以上に楽しげに踊っていた。
鏡でそれを見たわけでもない聡衣は寝ぼけながら、俺の布団に包まって、じっとこちらを見つめてる。
「聡衣」
「?」
その髪にキスをして、額に、頬に、優しく唇で触れた。
「好きだ」
「へ? わ、ぁっ」
「それじゃあ、行ってきます」
「へは! はいっ、行ってらっしゃい!」
最後に唇に触れて、ここでもう終いと手を離した。真っ赤になったパプリカみたいな聡衣は布団の中で口をぱくぱくと開けている。
「帰りは、あんまり遅くならないようにする。夕飯俺が作るよ」
「へ、はっ」
真っ赤なパプリカは言葉も忘れてしまったみたいに、まだ、口をぱくぱくと動かしてた。
「よ、ここ最近は随分熱心に残業しまくってたみたいだな」
「……河野」
駅から職場へ向かう途中、声をかけてきたのは河野だった。黒のスーツに、革手袋をして、ニヤリと、印象の悪い笑顔をこっちに向けている。
「必死に仕事詰め込んで、まさかこの忙しい時期にまとめて休みでもとって恋人さんと新婚旅行、とか? って、まだ続いてるんだっけ?」
そういや、こいつの……。
「なぁ、河野」
「は?」
おかげかもな。
―― その、聞いちゃったんだ。あの、同僚の人からずっと好きだった人がいるって。
なんか聡衣に余計なことを言ったようだけど、でも、色々掻き回してくれたおかげっていうのも多少はあるんだろ。
聡衣は怖がりだから。
「今度、飲みに行こう。奢る」
「は、はぁぁぁっ? なんで、俺がお前にっ」
「違う。俺がお前に奢ってやるんだ」
「! わかってるよ! そういう意味じゃない!」
「ならよかった」
なぁ、すごいだろ?
「なんで笑ってるんだ。気持ち悪い男だなっ」
あの日。
あの日、そう、お前に話したあの人に再会できたんだ。
なぁ。
「なんなんだっ!」
なぁ、あの人の恋人に、なれたんだ。
13
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
僕の目があなたを遠ざけてしまった
紫野楓
BL
受験に失敗して「一番バカの一高校」に入学した佐藤二葉。
人と目が合わせられず、元来病弱で体調は気持ちに振り回されがち。自分に後ろめたさを感じていて、人付き合いを避けるために前髪で目を覆って過ごしていた。医者になるのが夢で、熱心に勉強しているせいで周囲から「ガリ勉メデューサ」とからかわれ、いじめられている。
しかし、別クラスの同級生の北見耀士に「勉強を教えてほしい」と懇願される。彼は高校球児で、期末考査の成績次第で部活動停止になるという。
二葉は耀士の甲子園に行きたいという熱い夢を知って……?
______
BOOTHにて同人誌を頒布しています。(下記)
https://shinokaede.booth.pm/items/7444815
その後の短編を収録しています。
離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる