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第11章
エネミーの正体「行動に移せない自分が腹立たしいわ」
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ジェイドが飲み会好きなことや、トリンとリアの提携、ブライトが私を口説くことを諦めていないといった思惑のため、私達は頻繁に集まるようになった。
ルチルも嫌々ながら、ジェイドには逆らえずついて来ている。
ルチルのアドバイスは的確で、トリンだけでなくブライトも積極的に意見を仰ぐようになった。
そのお陰でブライトの戦闘スキルも軒並み上がっているとのこと。
集まりで話す内容は、エネミーのことや今後の戦略ついて深い内容になることもあった。
「僕達はエネミーと戦うことに精一杯で、奴らの正体を掴むまではいけないんですよね。破壊したエネミーの残骸を持ち帰っても、この国の調査機関では何も分からないみたいですし」
ブライトが弱々しい声で言った。
ちょっとほろ酔いね。
「俺達の仕事は国の防衛だ。それ以上のことはできないだろ。そりゃ、気にはなるけどな」
「私いろいろ考えてみたんですけど、化学肥料による害虫の突然変異種なんじゃないでしょうか? 地方都市に出没することが多いし! 化学って怖いですよね!」
「お前ってやっぱりバカだな」
トリンの発言を、ジェイドが一刀両断した。
「トリン先輩、流石にそれは非現実的ですよ」
「トリンさん面白~い」
ブライトは呆れ、リアがトリンに抱き着く。
トリンとリアはすっかり仲良しになっていた。
「そんな……真剣に考えたんですけど」
トリンはしょぼくれていた。
「まず、エネミーは生物ではありません。そいういう意味でも、突然変異だとは考えられません。あれは自然界の物ではなく、意図的に創られたものだと思います」
ルチルはいつものように淡々と答えた。
「さすがルチルさん! もしかしてルチルさんは、エネミーが何なのか見当がついているのでしょうか?」
トリンがルチルに尊敬の眼差しを向けている。
「いえ、全く」
「あら、私達には教えてくださらないの?」
私はルチルを見つめて挑発してみた。
この前もはぐらかしたものね、あなた。
「ただの推測で話すことは、意味が無いと思います」
「ここは会議室ではありませんよ。ただの飲み会の席です。ルチル主任の意見を聞きたいだけですわ。皆さんもそうではありませんか?」
私はジェイドの方を振り向いた。
「俺は聞きたいぞ、ルチルの意見!」
他の皆も頷いていた。
ルチルは私を窘めるように眉間に皺を寄せていたが、渋々話始めた。
「酔っ払いの戯言程度に聞いてください。エネミーが誰かの手によって創られたものであるならば、意図的にこの国を攻撃していることになります。つまり、エネミーは敵国が送り込んでいる兵器だと考えれば筋が通るかと」
「え! それじゃ、まるで戦争じゃないですか」
ブライトは酔いが覚めたように驚いている。
「戦争というよりテロじゃないか?」
ジェイドも険しい顔つきで言った。
「筋が通るとは言いましたが、この話も現実的ではありません。この国は同盟国も多く、それを含めてもあのような技術力がある国は今はありません。現在進行形でテロ行為を受けているとは考えづらいです」
「私、もうついて行けてないです。現在進行形のテロじゃないって、どういうことでしょうか?」
トリンが頭を抱えながら混乱している。
「かつての敵国の中に、高い技術力を持っていた国がありました。その国との戦争にハモネーは勝利したので、その国は滅んでいます。もしその国が当時あのエネミーを開発していたなら、国が滅び兵器だけ残っていたというわけです。そして、どういう理由かは分かりませんが、今になって暴走したのではないでしょうか?」
「つまり……時を超えたテロ、ということでしょうか?」
私の言葉に、空気が重くなる。
「あくまでも、僕の妄想ですが。仮にそうだとしたら、暴走したエネミーが現れる度に一体一体破壊するしか方法がありません。最後の一体になるまで」
「それなら、そうするまでだ! 俺はこの国を守る」
ジェイドがお酒を一気飲みする。
「敵は亡霊みたいで怖いですね……」
リアがそっと呟いた。
皆の酔いも覚めないまま、私達はお店を後にした。
ルチルの話を皆気にしていたみたいだけれど、何の確証も無い話だからとルチルはそれ以上語らなかった。
何の取り留めも無い雑談を交えながら皆で帰宅する。
だんだんこの流れが通例行事のようになってきたわね。
時間が合えば、仕事帰りに皆で食事に行き、皆で途中まで帰宅する。
時間は取られるけれど、私にとって得るものはある。
前よりも情報を手軽に集められるようになってきたもの。
プランは頭の中でできている。
今度はアウトプットに移すだけ。
本当は準備は整っていて、いつでも実行できる。
それなのに、タイミングをつかめないでいる。
私はこんな性格じゃないはず。
何を躊躇しているのかしら。
自分でも苛立ちを覚える。
その時。
「ダチュラ見ーつけた!」
私達の前に、とある人物が現れる。
この声は何度も聞いている。
私だけじゃなく、皆も。
「う、嘘ー!」
リアが甲高い声を上げた。
それは驚くでしょうね。
「ク、ク、ク、ク――クリスドール?」
私達の目の前に現れたのは、純白の英雄クリスドールだった。
ブライトが間抜けな声を上げてよろめく。
ジェイドとルチルも目を見開いて立ち尽くしていた。
とうとう見つかってしまったわ。
ルチルも嫌々ながら、ジェイドには逆らえずついて来ている。
ルチルのアドバイスは的確で、トリンだけでなくブライトも積極的に意見を仰ぐようになった。
そのお陰でブライトの戦闘スキルも軒並み上がっているとのこと。
集まりで話す内容は、エネミーのことや今後の戦略ついて深い内容になることもあった。
「僕達はエネミーと戦うことに精一杯で、奴らの正体を掴むまではいけないんですよね。破壊したエネミーの残骸を持ち帰っても、この国の調査機関では何も分からないみたいですし」
ブライトが弱々しい声で言った。
ちょっとほろ酔いね。
「俺達の仕事は国の防衛だ。それ以上のことはできないだろ。そりゃ、気にはなるけどな」
「私いろいろ考えてみたんですけど、化学肥料による害虫の突然変異種なんじゃないでしょうか? 地方都市に出没することが多いし! 化学って怖いですよね!」
「お前ってやっぱりバカだな」
トリンの発言を、ジェイドが一刀両断した。
「トリン先輩、流石にそれは非現実的ですよ」
「トリンさん面白~い」
ブライトは呆れ、リアがトリンに抱き着く。
トリンとリアはすっかり仲良しになっていた。
「そんな……真剣に考えたんですけど」
トリンはしょぼくれていた。
「まず、エネミーは生物ではありません。そいういう意味でも、突然変異だとは考えられません。あれは自然界の物ではなく、意図的に創られたものだと思います」
ルチルはいつものように淡々と答えた。
「さすがルチルさん! もしかしてルチルさんは、エネミーが何なのか見当がついているのでしょうか?」
トリンがルチルに尊敬の眼差しを向けている。
「いえ、全く」
「あら、私達には教えてくださらないの?」
私はルチルを見つめて挑発してみた。
この前もはぐらかしたものね、あなた。
「ただの推測で話すことは、意味が無いと思います」
「ここは会議室ではありませんよ。ただの飲み会の席です。ルチル主任の意見を聞きたいだけですわ。皆さんもそうではありませんか?」
私はジェイドの方を振り向いた。
「俺は聞きたいぞ、ルチルの意見!」
他の皆も頷いていた。
ルチルは私を窘めるように眉間に皺を寄せていたが、渋々話始めた。
「酔っ払いの戯言程度に聞いてください。エネミーが誰かの手によって創られたものであるならば、意図的にこの国を攻撃していることになります。つまり、エネミーは敵国が送り込んでいる兵器だと考えれば筋が通るかと」
「え! それじゃ、まるで戦争じゃないですか」
ブライトは酔いが覚めたように驚いている。
「戦争というよりテロじゃないか?」
ジェイドも険しい顔つきで言った。
「筋が通るとは言いましたが、この話も現実的ではありません。この国は同盟国も多く、それを含めてもあのような技術力がある国は今はありません。現在進行形でテロ行為を受けているとは考えづらいです」
「私、もうついて行けてないです。現在進行形のテロじゃないって、どういうことでしょうか?」
トリンが頭を抱えながら混乱している。
「かつての敵国の中に、高い技術力を持っていた国がありました。その国との戦争にハモネーは勝利したので、その国は滅んでいます。もしその国が当時あのエネミーを開発していたなら、国が滅び兵器だけ残っていたというわけです。そして、どういう理由かは分かりませんが、今になって暴走したのではないでしょうか?」
「つまり……時を超えたテロ、ということでしょうか?」
私の言葉に、空気が重くなる。
「あくまでも、僕の妄想ですが。仮にそうだとしたら、暴走したエネミーが現れる度に一体一体破壊するしか方法がありません。最後の一体になるまで」
「それなら、そうするまでだ! 俺はこの国を守る」
ジェイドがお酒を一気飲みする。
「敵は亡霊みたいで怖いですね……」
リアがそっと呟いた。
皆の酔いも覚めないまま、私達はお店を後にした。
ルチルの話を皆気にしていたみたいだけれど、何の確証も無い話だからとルチルはそれ以上語らなかった。
何の取り留めも無い雑談を交えながら皆で帰宅する。
だんだんこの流れが通例行事のようになってきたわね。
時間が合えば、仕事帰りに皆で食事に行き、皆で途中まで帰宅する。
時間は取られるけれど、私にとって得るものはある。
前よりも情報を手軽に集められるようになってきたもの。
プランは頭の中でできている。
今度はアウトプットに移すだけ。
本当は準備は整っていて、いつでも実行できる。
それなのに、タイミングをつかめないでいる。
私はこんな性格じゃないはず。
何を躊躇しているのかしら。
自分でも苛立ちを覚える。
その時。
「ダチュラ見ーつけた!」
私達の前に、とある人物が現れる。
この声は何度も聞いている。
私だけじゃなく、皆も。
「う、嘘ー!」
リアが甲高い声を上げた。
それは驚くでしょうね。
「ク、ク、ク、ク――クリスドール?」
私達の目の前に現れたのは、純白の英雄クリスドールだった。
ブライトが間抜けな声を上げてよろめく。
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