異世界で、男に抱かれる快感に目覚めちまった…!?

海藻

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第一章・俺の価値

カルチャーショック

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デュランとベアルさんの家は、2階建てで、都会の小さな1K、時々1L、DKで暮らしてきた俺からすると結構な広さだ。
一階には店とそれに繋がる先程の物騒な武器庫兼作業場みたいな部屋が土足部分、家の中は海外っぽいのにきちんと靴を脱ぐらしくて、そこは日本と同じで安心した。
キッチンやリビング、ダイニング、風呂やトイレなどは全て下の階にあって、二階に部屋が4部屋あるらしい。
1部屋は物置だけど、もう1部屋は空いているので俺の部屋として使っていいと。やったぜ~!
家の内装はログハウスって感じで、全部ベアルさんの趣味らしい。確かに絵本でクマが住んでそうな家だ。
デュラン曰く

「ベアル、ああ見えて可愛いの好きなんだ、部屋とかすごいよ」

らしい。今度行ってみようかな。

今はデュランが昼間俺を見つけて色々やっちゃって時間を食い潰した分、外で明日の分まで薪を割っている。

俺はというとベアルさんと晩御飯の準備をしていた。

「俺の生きてた世界と野菜の形は大体一緒だ!」

「お、そうか。キゥチはあっちでも料理はしてたのか?」

「してたしてた!簡単なのばっかだけど」

「偉いぞ~!飯を食うことは生きることだからな!」

デカい手にわしゃわしゃと頭を撫でられ、良い気分になる。
俺は身長178、あまり人より背が低い経験がないので頭を触られると弱いことに今気付いた。

「ほら、見て、俺めちゃくちゃジャガイモの芽取るの得意だろ」

「ジャガイモ?キゥチの世界ではそう言うのか」

「うん、え、ここじゃ違うのか?」
(てっきり単語まで翻訳されてるもんだと思ってた…)

「これはルックヤという、芋とは違うぞ」

「へぇ~…じゃあ芽も取らなくていい感じ?」

「芽…そのボコボコした場所は特に名称は無いな、ただの虫の食いかけだし」

「む、虫の食いかけ!?!!」

うわぁ…"俺虫とか無理なんだけど…でも、そうか…そうだよな…めちゃくちゃ1700年とかそこらの発展度合いだし…ビニール袋で野菜が売られてた俺らの世界とは違うんだ…

「なんだ、キゥチは虫が嫌いか?」

「む、虫…うん…ちょっと…」

「そうか…今日はお祝いに少し奮発して虫を買ってきたんだが…」

「む、虫を!?!」

マジかマジかマジか!虫が食った野菜を食べるだけじゃなく虫まで食べんの!?しかもなんか高級食材的な立ち位置!?

「この虫は甘くてな…デザートに出そうと思ったんだ。葉っぱの裏を、しかも雨の日に探さないといけないから貴重なんだ…」

今にも食べたそうにしているベアルさんを見ながらカルチャーショックを受ける。
虫…蜂の子みたいな感じならまだしもガチの蝉系の虫だし…デケぇし…
でも…他人の食文化にイチャモン付けて争いになったら嫌だしなぁ…いやでも…虫は食いたくない…でも…めちゃくちゃなんかお祝いムードでそんなこと…

俺が百面相していると、デュランが帰ってきた。

「お!今日はデザートあるんだ!楽しみだなぁ!」

「だろう!キゥチのおかげで俺達も少し贅沢する口実ができるな!」

…2人でキャッキャし始めちゃったよ…
どうしよう…ガチ虫はマジで無理かも…

「えっと…気分を悪くしたら本当に、本当にごめんって感じなんだけど…」

テンション爆上げで虫を撫でていた2人に挙手をする。

「実は俺…虫…た、食べれないかも…」

2人が顔を見合わせる。

「虫を食べれないって…あ、アレルギーとか…?」

「違う違う、キゥチは虫が嫌いなんだ。」

「えー!?味?!食感かなぁ…」

「まぁこの甘さは少し口に残るからな…」

(口に残るんだ、虫の味が…)
ますます無理になってくる。

「ご、ごめん…本当にごめんなんだけどその虫は2人だけで食べてくれる…?」

お前の為に買ってきたのにってならないといいなぁ…と肩を持ち上げていると

「…いいのか?」
「…いいの?」

と2人とも少し目を輝かせる。あ、全然食べたいんだ。

「いいよ!?虫も俺が嫌々食べるより美味しい美味しいって食べてもらいたいだろうし!」

「やったー!!ありがとうキーチ!二個同時に口に入れられるなんて最高だなぁ!」
「俺は明日まで残しておこう…昼間に食べるんだ…」

2人がえ、蟹?というくらいのリアクションを見せる。そんなに美味いし貴重なものを、俺に食わせようとしてくれたんだなぁ…。
嬉しいけど絶対食べたくない、微妙な気持ちで野菜を切るのを再開する。

(…虫の食いかけくらいなら、ガチ虫を食うより許容範囲だな)
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