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第一章・俺の価値
窓からの景色
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ルカ様と食事をした後、
またも部屋で1人になった俺は、もう眠気も尽き果て、時計もない部屋で暇すぎる時間を過ごしていた。
(じ、地獄だ…)
工房を見に行こう、とルカ様は言ってくれたけど、流石に遊びすぎたのか
「昼の4時からはお仕事するって決まりでしょう~!」
と、今度はツリ目の狐に連れて行かれていた。
貴族の生活、緩いな…
食事の時は気が付かなかったが、ロイクに破壊された形跡が微塵も感じられない扉を見て、誰が治したんだろうな~と思う。
思うだけで、別に何もないけど。
ルカ様が出ていって、最初の方は鞄の整理をして時間を潰していたけど、流石に服が数着とピアスとその他のアクセサリー、歯ブラシ、スマホの充電器とかそこらの荷物で1日中暇が潰せるわけがない。
ベッドの上で筋トレの真似事をしたり、ストレッチもしたがすぐに飽きる。
そもそも、俺は1人でいる時は常にSNSに張り付いていたのでこんなに時間を持て余すのは久々だった。
「あ~…しりとり、りす…」
極限状態で、布団の上で1人しりとりを始めてみても、馬鹿らしくなってすぐにやめた。
せめて時計…あと鏡が欲しい…
鏡があれば、消毒と軟膏も鞄の中に入っているのであとは勇気を出すだけでピアスが開けれるし…
でもそれより今はただ、時間が知りたかった。
(…これでまだ10分だよ~とか言われたら発狂しそうだけど)
流石に暇すぎてベッドから降り、
(見つからないよう、顔は出さないように)
と言われた窓から顔を出す。
…別に、ルカ様って敵だしな…。
今更のように思いながら、俺が話を聞く義理はないと言い訳をしながら辺りを見渡す。
(うお、広…)
俺が軟禁されているこの家…いや、屋敷はものすごく広かった。
まず、左右を見ても窓の数が数えられる気がしない。
頑張れば数えられそうだけど、数えているうちにどこを数えているか分からなくなりそうだ。
下を向くと、石垣の上を数人が歩いている。
頭の色はカラフルで、
(めーちゃファンタジー…)
と他人事のように思いながらまた視線を移動させる。
俺から見て左の方にはデカめの門とか、その奥には大量の馬が見える。
(動物だ!)
都会育ちで馬どころか猪や狸も見たことがない俺は、テンションが上がる。
いつか触りたいな~…ルカ様は多分触らしてくれないけど、ロイクならワンチャンありえる。
魔道騎士団がなんとかって言ってたし、多分あの馬もそこの所有物だろう。
次に俺の正面から右側を向くと、それはそれは豪華な庭が広がっている。
(うお…めーちゃ金かかってそ~…)
花の名前には疎いので、全然分からないが
白や水色、紫を基調とした薄めの色の花のアーチとか、アレなんて言うんだ…低木?長めの低木が沢山伸びて、迷路みたいになっている場所もある。
中心には噴水があった。
(まぁ、あそこには別に行かなくていいかな…)
花粉症にはなったことないけどこれからもなりたくないし、蜂とか怖いし…
ここから見える分で充分だ。
この世界にネットがあるなら全然写真撮りに行きたいけど…
色々見渡してしまえば、また暇になる。
食事の際に使った椅子は、食事が終わった時一緒に取っ払われたので、仕方なく腰を折る体制で窓枠に頬杖をつきながら、ぼーっと馬を見ていた。
(こっち向いてくれないかなー…)
流石に声を出したりする勇気はなくて、
見るだけにとどめる。
すると、1人の世話係っぽい男が馬小屋の中に入っていくのが見えた。
(うお!餌やりかな…!)
実はループ映像流してました~と言われても気づかないような風景に、やっと、やっっと変化が加わった。
ワクワクして、頬杖をついていた手は窓枠を掴み、足はつま先立ちになる。
世話係っぽい男が入ると、馬が一斉に食事を始めた。
(馬ってなんか、草?みたいなの食うんだ…)
人参をぶら下げるイラストしか見たことがなかった俺は、てっきり人参しか食べないのかと思っていた。
そんなわけないか、と自身にツッコミ、観察を続行する。
あー…こんな時目が良かったらな~…
今更だが、俺の視力は悪くはないけど良くもなくて、馬の姿も縁がぼやけていた。
遠くを見たら視力が回復するとかそんな噂を思い出しながら、毎日見てたら本当に見えるようになるのかな…そう思う。
馬の食事風景が続き、それがまたループ映像のように思えてきた俺は、全く飽き性だな~と自分に思いながら窓から離れた。
約束破っちゃったけど、別に怒られたいわけじゃないし…
(大人しくしとくか)
布団は被らずにベッドに大の字になる。
風で揺れる、ベッドの上から吊らされた白い布を、伸ばした足で蹴ったりなぞったりしているうちに、いつの間にか眠っていたらしい。
コンコン、
ノックの音で、また目覚めた。
またも部屋で1人になった俺は、もう眠気も尽き果て、時計もない部屋で暇すぎる時間を過ごしていた。
(じ、地獄だ…)
工房を見に行こう、とルカ様は言ってくれたけど、流石に遊びすぎたのか
「昼の4時からはお仕事するって決まりでしょう~!」
と、今度はツリ目の狐に連れて行かれていた。
貴族の生活、緩いな…
食事の時は気が付かなかったが、ロイクに破壊された形跡が微塵も感じられない扉を見て、誰が治したんだろうな~と思う。
思うだけで、別に何もないけど。
ルカ様が出ていって、最初の方は鞄の整理をして時間を潰していたけど、流石に服が数着とピアスとその他のアクセサリー、歯ブラシ、スマホの充電器とかそこらの荷物で1日中暇が潰せるわけがない。
ベッドの上で筋トレの真似事をしたり、ストレッチもしたがすぐに飽きる。
そもそも、俺は1人でいる時は常にSNSに張り付いていたのでこんなに時間を持て余すのは久々だった。
「あ~…しりとり、りす…」
極限状態で、布団の上で1人しりとりを始めてみても、馬鹿らしくなってすぐにやめた。
せめて時計…あと鏡が欲しい…
鏡があれば、消毒と軟膏も鞄の中に入っているのであとは勇気を出すだけでピアスが開けれるし…
でもそれより今はただ、時間が知りたかった。
(…これでまだ10分だよ~とか言われたら発狂しそうだけど)
流石に暇すぎてベッドから降り、
(見つからないよう、顔は出さないように)
と言われた窓から顔を出す。
…別に、ルカ様って敵だしな…。
今更のように思いながら、俺が話を聞く義理はないと言い訳をしながら辺りを見渡す。
(うお、広…)
俺が軟禁されているこの家…いや、屋敷はものすごく広かった。
まず、左右を見ても窓の数が数えられる気がしない。
頑張れば数えられそうだけど、数えているうちにどこを数えているか分からなくなりそうだ。
下を向くと、石垣の上を数人が歩いている。
頭の色はカラフルで、
(めーちゃファンタジー…)
と他人事のように思いながらまた視線を移動させる。
俺から見て左の方にはデカめの門とか、その奥には大量の馬が見える。
(動物だ!)
都会育ちで馬どころか猪や狸も見たことがない俺は、テンションが上がる。
いつか触りたいな~…ルカ様は多分触らしてくれないけど、ロイクならワンチャンありえる。
魔道騎士団がなんとかって言ってたし、多分あの馬もそこの所有物だろう。
次に俺の正面から右側を向くと、それはそれは豪華な庭が広がっている。
(うお…めーちゃ金かかってそ~…)
花の名前には疎いので、全然分からないが
白や水色、紫を基調とした薄めの色の花のアーチとか、アレなんて言うんだ…低木?長めの低木が沢山伸びて、迷路みたいになっている場所もある。
中心には噴水があった。
(まぁ、あそこには別に行かなくていいかな…)
花粉症にはなったことないけどこれからもなりたくないし、蜂とか怖いし…
ここから見える分で充分だ。
この世界にネットがあるなら全然写真撮りに行きたいけど…
色々見渡してしまえば、また暇になる。
食事の際に使った椅子は、食事が終わった時一緒に取っ払われたので、仕方なく腰を折る体制で窓枠に頬杖をつきながら、ぼーっと馬を見ていた。
(こっち向いてくれないかなー…)
流石に声を出したりする勇気はなくて、
見るだけにとどめる。
すると、1人の世話係っぽい男が馬小屋の中に入っていくのが見えた。
(うお!餌やりかな…!)
実はループ映像流してました~と言われても気づかないような風景に、やっと、やっっと変化が加わった。
ワクワクして、頬杖をついていた手は窓枠を掴み、足はつま先立ちになる。
世話係っぽい男が入ると、馬が一斉に食事を始めた。
(馬ってなんか、草?みたいなの食うんだ…)
人参をぶら下げるイラストしか見たことがなかった俺は、てっきり人参しか食べないのかと思っていた。
そんなわけないか、と自身にツッコミ、観察を続行する。
あー…こんな時目が良かったらな~…
今更だが、俺の視力は悪くはないけど良くもなくて、馬の姿も縁がぼやけていた。
遠くを見たら視力が回復するとかそんな噂を思い出しながら、毎日見てたら本当に見えるようになるのかな…そう思う。
馬の食事風景が続き、それがまたループ映像のように思えてきた俺は、全く飽き性だな~と自分に思いながら窓から離れた。
約束破っちゃったけど、別に怒られたいわけじゃないし…
(大人しくしとくか)
布団は被らずにベッドに大の字になる。
風で揺れる、ベッドの上から吊らされた白い布を、伸ばした足で蹴ったりなぞったりしているうちに、いつの間にか眠っていたらしい。
コンコン、
ノックの音で、また目覚めた。
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