異世界で、男に抱かれる快感に目覚めちまった…!?

海藻

文字の大きさ
37 / 47
第一章・俺の価値

ルカ様

しおりを挟む
僕達がアルフレヒト家行きの馬車へ乗っていると、突然馬のヒヒンという鳴き声と共に馬車が停車した。

「ッな、なんだ?!」

隣に座っていたベアルが、驚いたような声をあげる。
僕も驚いて窓の外を見るが、賊に襲われたとかそう言うことではなさそうだ。
ギ、と乗り込んだ時と同じ扉が開く。

「この屋敷の近くを通ると、時々あるんですよねえ…多分結界です」

全く…と馬の操縦をしていた男が頭を掻く。

「あと500kmほどなんですが、歩くことはできますか…?」

人なら、少し嫌な感じはしますが全然通れるので、とベアルにお釣りを渡しながら言う。
僕とベアルは早速、馬車から降りて大きな屋敷へ向かった。
屋敷に着いたら門の呼び鈴を押して、この手紙を渡すんだ…先程、王子様の側近に渡された手紙を、ぎゅ、と握る。

「大丈夫、会えるさ」

ベアルも緊張しているだろうに、僕を安心させる為に笑顔で道を歩いていた。

屋敷にやっと着いて、僕達は深呼吸をする。

(…キーチ,無事でいますように…)

意を決して、呼び鈴を押そうとした時

「だから!私のキーチを誰が!どこへやったと聞いているんだ!」

と、門の奥、玄関前の庭で男が怒鳴る声がした。

(き、キーチだって!?)

ベアルと顔を見合わせて、門の呼び鈴を早急に鳴らす。
大きな音がすぐ近くの音を増強させるオブジェから鳴り響き、先程怒鳴っていた男がこちらへ歩いてくる。
後ろには、双子の狐がその男を食い止めようとしてズリズリと引っ張られていた。

「ッあ、あの男だ!」

僕は、ベアルに昨日みた男がアイツだと伝える。何!?と驚くベアルが落ち着く前に、目の前に白い髪を長く垂らした男が立っていた。

「お前…ッ、!」

男も、僕に気付いたらしくおでこに青筋を立てている。

「お前が私のキーチを攫ったのか!」

手に赤い魔力を溜めながら、今にでも僕達を殺しそうな勢いだ。
(…キーチを攫った…?)
白い髪の言動に、頭が混乱する。
ここにキーチはいないってこと…?
ベアルの方を向くと、俺と同じことに気付いたようで、目を見開いて固まっている。

「おい!聞いてるのか!」

イライラが最高潮に達したらしい男が、メラメラと熱を纏い始めたその瞬間、

「「ッルカ様!」」

と、後ろから二人分の声がした。

僕達が歩いてきたのと同じ道を、青色と黄色の髪の男が走ってくる。

「お、お前らは…!まさかアイツの仕業か…!」

犯人が分かったのか、ガン!と大きな音を立て門を開き、外に出てくるルカ様と呼ばれた男。

「おい!アイツは今どこにいる!」

「ッそ、それが…!大変なんです!」

それから2人は、今までに起こったことを全て僕達に話してくれた。
行きつけの店に、キーチを連れて行こうとしたらはぐれて、その上酷い状態の衣服を残して攫われたって…
あまりにも信じられない出来事に、僕は生きた心地がしなかった。
横を見れば、ルカ様と呼ばれた男も顔を手で抑えていた。

「…金なら用意する、父上に話そう」

そう言って、屋敷へ戻ろうとする男に、僕は焦った。

「そ、そんな事したらキーチの存在が…!」

バレる、そう言おうとした俺は、ブゥンと言った音と共に一瞬で拘束された。

「ッデュラン!!ッ、!」

焦ったベアルも同じように隣で拘束され、男はイラついた様子で叫んだ。

「そんなの私が一番よく分かっている!だが考えてみろ!巷ではきっと翌日には純血の話で持ちきりだ!」

馬鹿どもが、これだから筋肉野郎はとブツブツ言いながら、また屋敷に足を進めようとした男は、ひと拍遅れて立ち止まる。

「…そうか」

そう言ってまた、僕達に向き直すと

「君達が、潜入捜査をすればいい」

そう言って俺たちと、ついでに青と黄色の髪の毛の男達も浮かせ、屋敷へ歩いて行った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界で高級男娼になりました

BL
ある日突然異世界に落ちてしまった高野暁斗が、その容姿と豪運(?)を活かして高級男娼として生きる毎日の記録です。 露骨な性描写ばかりなのでご注意ください。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...