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「あーなに言ってんだろ、私」
接客のあと、西條との会話を思い出して頬が熱くなった。
「・・・そう言えば」
私は昔のスケッチブックを探し始めた。
「俊いますか?」
翌日の午後、私は西條の店に行った。
「おーい、俊太!茜ちゃん来てるぞ!」
お父さんに呼ばれると、西條は2階から降りてきた。
「茜。なんか用か?」
「あ、あのさ・・・これ」
私はおずおずとスケッチブックを差し出した。
「これ・・・俺か?」
俊太が笑っている絵。
なぜかとても印象に残っていたので、試合が終わったあと、家に帰ってから描いたものだった。
「うん・・・中学の頃さ、描いてたんだ。それに色つけてみた」
水彩絵具を使って、あの時の印象のままの色を載せた。
「・・・やっぱすげえな、おまえ」
「そ、そう?」
「でも俺、こんなに笑ってたんだな」
俊太が私の絵を見つめている。
「そうだよ!あったじゃん。昔、商店街チームでやったこと」
「ああ、あの時か」
「ホームラン打ってさ。めっちゃ喜んでた時の顔。あんなに喜んでるところ、見たの初めてだったから印象に残ってさ」
「言われてみれば・・・でもなんであんなに喜んだんだろうな」
「なんかリベンジとか騒いでた気がするけど」
「リベンジ・・・あっ!」
「なに?何か思い出したの?」
「ああ、俺小学生の頃あのチーム参加してたろ。でさ、その時はあのピッチャーのおっさんにいいようにカモにされてたんだ。で、それが悔しくってめっちゃ練習したらさ、いつの間にか学校でも4番になって」
「じゃあ小学生の頃の恨みはらしたって事⁉︎」
私は思わず吹き出してしまった。
「あの頃は本気だったんだぞ」
「そう言えばそうだね。毎日素振りしてたもんね」
「走り込みもな」
「でも草野球のおじさんに勝つためとか・・・」
「い、いいだろ!あの頃の俺にとっては大事だったんだ」
俊太がムキになって、当時の自分を庇った。
「でも、その一心でプロ目指せるまでになるとか、やっぱすごいね、あんた」
「お、おう・・・」
「それだけの思いの強さが持てるなら、今からだってなんでもできるんじゃない?」
「・・・」
西條は黙ったまま私の絵を見つめていた。
接客のあと、西條との会話を思い出して頬が熱くなった。
「・・・そう言えば」
私は昔のスケッチブックを探し始めた。
「俊いますか?」
翌日の午後、私は西條の店に行った。
「おーい、俊太!茜ちゃん来てるぞ!」
お父さんに呼ばれると、西條は2階から降りてきた。
「茜。なんか用か?」
「あ、あのさ・・・これ」
私はおずおずとスケッチブックを差し出した。
「これ・・・俺か?」
俊太が笑っている絵。
なぜかとても印象に残っていたので、試合が終わったあと、家に帰ってから描いたものだった。
「うん・・・中学の頃さ、描いてたんだ。それに色つけてみた」
水彩絵具を使って、あの時の印象のままの色を載せた。
「・・・やっぱすげえな、おまえ」
「そ、そう?」
「でも俺、こんなに笑ってたんだな」
俊太が私の絵を見つめている。
「そうだよ!あったじゃん。昔、商店街チームでやったこと」
「ああ、あの時か」
「ホームラン打ってさ。めっちゃ喜んでた時の顔。あんなに喜んでるところ、見たの初めてだったから印象に残ってさ」
「言われてみれば・・・でもなんであんなに喜んだんだろうな」
「なんかリベンジとか騒いでた気がするけど」
「リベンジ・・・あっ!」
「なに?何か思い出したの?」
「ああ、俺小学生の頃あのチーム参加してたろ。でさ、その時はあのピッチャーのおっさんにいいようにカモにされてたんだ。で、それが悔しくってめっちゃ練習したらさ、いつの間にか学校でも4番になって」
「じゃあ小学生の頃の恨みはらしたって事⁉︎」
私は思わず吹き出してしまった。
「あの頃は本気だったんだぞ」
「そう言えばそうだね。毎日素振りしてたもんね」
「走り込みもな」
「でも草野球のおじさんに勝つためとか・・・」
「い、いいだろ!あの頃の俺にとっては大事だったんだ」
俊太がムキになって、当時の自分を庇った。
「でも、その一心でプロ目指せるまでになるとか、やっぱすごいね、あんた」
「お、おう・・・」
「それだけの思いの強さが持てるなら、今からだってなんでもできるんじゃない?」
「・・・」
西條は黙ったまま私の絵を見つめていた。
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