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今日は天気がよく、年末ということもあり、彩香はカーテンの洗濯に励んでいた。
量も多く意外と重いので、鷹文にも手伝ってもらいながら、脚立に乗ってひとつひとつ外していく。
斉藤家のベランダはかなり広い方だが、それでもたくさんのカーテンでいっぱいになっていた。
予定していた分を全部干し終えた彩香は、満足した顔で室内に戻ってきた。
「おつかれ。やっぱすごい量だな」
「うん。部屋数多いから。でも年内に終わらせないとね」
彩香は風になびくカーテンを見ながら明日の天気も良かったかなと考えた。
「そうだな。ところでさ・・・」
鷹文はこの2、3日頭から離れなかったことを彩香に聞いた。
「彩香の料理って誰かに習ったのか?」
「あれ?言わなかったっけ?私のおばあちゃんよ」
「?そう言えば前に・・・」
鷹文はカレーを食べた時のことを思い出していた。
「急にどうしたの?」
「あのさ、彩香の料理って、母さんのに似てるんだ。似てる、ってよりもそっくり、というかほとんど同じなんだ」
「えっ・・・」
突然の由美の話題に彩香は困惑した。
「ひとつやふたつなら偶然もあると思ったんだけど。ほとんどの料理がさ、彩香と母さん、同じなんだ・・・彩香、何か知らないか?」
「う、うん・・・」
彩香は、どう答えればいいのかわからなかった。
「彩香?」
彩香は、伏し目がちにぽつぽつと話し始めた。
「あのね・・・うちのお母さんと、由美、さん、親友、だったんだって」
彩香の言葉に、鷹文は目を見開いた。彩香は続けた。
「それでね、一時期、私の家に、由美さんが住んでたことあって、うちのおばあちゃんに習ってたんだって。お料理」
それだけ言うと、彩香は黙ってしまった。
「それ・・・ほんと、なのか?」
予想外の話に、鷹文は確かめずにはいられなかった。
「・・・うん」
彩香は俯いたまま頷いた。
「それからね・・・私と鷹文くん、小さい頃に、会ったこと、あるんだって」
彩香は顔を上げることができなかった。
「なっ・・・」
ありえない!自分の記憶のどこを探しても、ほんの少しも彩香の記憶はなかった。
「そんな、はずは・・・」
「私もね!お母さんに写真見せられるまでは、そう思ってたの」
と彩香は、置いてあって自分のバッグから小さなアルバムを取り出した。
「これ」
彩香は開いたアルバムを鷹文に見せた。
「おれ・・・」
彩香が自分の写真を持っていることに、驚きを隠せなかった。
「やっぱり、ほんとなんだね・・・隣にいるの、小さい頃の私、だよ」
「で、でも!お前今まで一度も・・・」
「うん・・・私、ね、記憶、なくしてるみたいなの・・・」
彩香の声が小さな声で呟いた。
「記憶、なくしてる・・」
呆然とする鷹文。
「お父さんが行方不明っていう話、したよね。私あの時、すごくショックで・・・
多分そのせいで、昔のこと忘れちゃってるみたい・・・この前倒れた時に見た夢で、ほんの少しだけ、思い出したんだけど、ね」
彩香はゆっくりと、噛みしめるように話した。
「そのこと、お母さんに話したら、いろいろ教えくれたの。でも、全然実感なくって・・・」
「俺、は・・・」
鷹文は言葉を続けることができなかった。
量も多く意外と重いので、鷹文にも手伝ってもらいながら、脚立に乗ってひとつひとつ外していく。
斉藤家のベランダはかなり広い方だが、それでもたくさんのカーテンでいっぱいになっていた。
予定していた分を全部干し終えた彩香は、満足した顔で室内に戻ってきた。
「おつかれ。やっぱすごい量だな」
「うん。部屋数多いから。でも年内に終わらせないとね」
彩香は風になびくカーテンを見ながら明日の天気も良かったかなと考えた。
「そうだな。ところでさ・・・」
鷹文はこの2、3日頭から離れなかったことを彩香に聞いた。
「彩香の料理って誰かに習ったのか?」
「あれ?言わなかったっけ?私のおばあちゃんよ」
「?そう言えば前に・・・」
鷹文はカレーを食べた時のことを思い出していた。
「急にどうしたの?」
「あのさ、彩香の料理って、母さんのに似てるんだ。似てる、ってよりもそっくり、というかほとんど同じなんだ」
「えっ・・・」
突然の由美の話題に彩香は困惑した。
「ひとつやふたつなら偶然もあると思ったんだけど。ほとんどの料理がさ、彩香と母さん、同じなんだ・・・彩香、何か知らないか?」
「う、うん・・・」
彩香は、どう答えればいいのかわからなかった。
「彩香?」
彩香は、伏し目がちにぽつぽつと話し始めた。
「あのね・・・うちのお母さんと、由美、さん、親友、だったんだって」
彩香の言葉に、鷹文は目を見開いた。彩香は続けた。
「それでね、一時期、私の家に、由美さんが住んでたことあって、うちのおばあちゃんに習ってたんだって。お料理」
それだけ言うと、彩香は黙ってしまった。
「それ・・・ほんと、なのか?」
予想外の話に、鷹文は確かめずにはいられなかった。
「・・・うん」
彩香は俯いたまま頷いた。
「それからね・・・私と鷹文くん、小さい頃に、会ったこと、あるんだって」
彩香は顔を上げることができなかった。
「なっ・・・」
ありえない!自分の記憶のどこを探しても、ほんの少しも彩香の記憶はなかった。
「そんな、はずは・・・」
「私もね!お母さんに写真見せられるまでは、そう思ってたの」
と彩香は、置いてあって自分のバッグから小さなアルバムを取り出した。
「これ」
彩香は開いたアルバムを鷹文に見せた。
「おれ・・・」
彩香が自分の写真を持っていることに、驚きを隠せなかった。
「やっぱり、ほんとなんだね・・・隣にいるの、小さい頃の私、だよ」
「で、でも!お前今まで一度も・・・」
「うん・・・私、ね、記憶、なくしてるみたいなの・・・」
彩香の声が小さな声で呟いた。
「記憶、なくしてる・・」
呆然とする鷹文。
「お父さんが行方不明っていう話、したよね。私あの時、すごくショックで・・・
多分そのせいで、昔のこと忘れちゃってるみたい・・・この前倒れた時に見た夢で、ほんの少しだけ、思い出したんだけど、ね」
彩香はゆっくりと、噛みしめるように話した。
「そのこと、お母さんに話したら、いろいろ教えくれたの。でも、全然実感なくって・・・」
「俺、は・・・」
鷹文は言葉を続けることができなかった。
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