家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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11時を回った頃。彩香たちは神社近くで大和を待っていた。
神社の入り口辺りには、すでに参拝客が大勢歩いていた。
「やっぱり寒いね」
ゆずが冷たそうに手を擦り合わせ、息を吹きかけた。
「そうね。ゆず、手冷たそうだけど大丈夫?」
「うん・・・手袋、忘れちゃったの」
「さっき言ってくれれば・・・とりあえずこれ使って」
彩香は自分の持っていたカイロを渡した。
「いいよ。さいちゃんだって寒くなっちゃうよ」
「うふふ。実はね・・・」
と言いながら彩香は自分の胸元に手を差し込んだ。
「さ、さいちゃん⁉︎」
彩香の突然の行動に、ゆずの顔が赤くなった。
「ほら、これ」
と差し込んだ手にはもう一つカイロがあった。
「あ・・・」
「もう一つこっちに入れておいたの。でも着物って意外とあったかいから。そっちはゆずが使って」
「うん。ありがと、さいちゃん」
ゆずはにっこりと微笑んだ。

「あ、大和来た。おーい大和!」
明衣が走ってくる大和を見つけて声をかけた。
「明衣、すまん!・・・おお、彩香ちゃん!」
明衣に謝りつつ、大和は彩香を見て驚いた。
「な、なに?」
大和が何を興奮しているのか、彩香にはわからなかった。
「さすが彩香ちゃん!着物、よく似合ってるよ」
「・・・ありがとう」
彩香は恥ずかしそうに俯いた。
「大和ぉ。こんなところで彩香のことナンパしないで」
「お、俺はそんなこと・・・」
思わぬことを明衣に言われて、大和は動揺して彩香から目をそらした。
「まあいいや。でさ、なんで現地集合?鷹文んちって言ったじゃん」
明衣はご立腹気味だった。
「あ、いや、親父のやつがさ・・・」
「あぁ~。またライブ?」
「ああ、お前もやってけって」
「大和、人気者だねぇ」
「まあな。でも親父たちあのまま年越しでやるらしいぜ」
「若いよねぇ。大和のお父さん」
「いや、かあちゃんの方がこういう時は・・・」
「あー、そうだねぇ・・・」
とうなだれる二人だった。
「まあそれだけなら良かったんだけどな、どこをどうつながったんだか、玲までいやがってさ」
「玲って、横山さん?」
「ああ、あいつ最近芸能活動忙しいらしいんだけど、親父のつながりにそこの関係者もいてさ。で、呼ばれたらしいんだ」
「そんなこと、あるんだね」
「ああ。意外にも大人受けよくってさ、あいつの歌、結構盛り上がってやんの。驚いたぜ」
「・・・媚び売るのうまそう」
「いや、それだけじゃないぜ、確かにあいつ、学園祭ん時より確実に上手くなってた」
「そうなんだ。じゃあもう学校のイベントとかやらなそうだね」
「いや、それがさぁ。俺、なるべく見えないようにしてたんだけど、見つかっちまって・・・
『来年の学園祭もよろしく!』だと。しかも親父の前で」
大和は困ったような顔をした。
「あちゃー、おじさんの前でかぁ。じゃあ断れないね」
「ああ、もう親父乗りまくりでさ。俺も出せとか大変だった・・・」
「ご愁傷様。年齢制限あるとか言っとけば」
「言ったよ。そしたらさ、『制服着てりゃバレねえよ』とか言ってしばらく消えたなぁと思ったらあいつ、俺の制服着て戻ってきやがった」
「まじ・・・コワイね、おじさん」
「ああ。かあちゃんもさ、玲に『私も出たいから制服貸してね』とか言いやがった」
「うわー、似た者夫婦」
「俺、もういや!」
両親の醜態に、息子は耐えられないらしかった。
「あー、よしよし。ゆずー、大和なぐさめてやって!」
「ど、どうしたの?」
ゆずが明衣たちの方にやってきた。
「か、家庭内のいざこざが・・・」
呟く大和。
「えっ・・・た、大変、なんだね」
「大和!ゆず、信じちゃうじゃん」
ゆずはとても心配そうな顔になっていた。
「す、すまん。いざこざっていうかな。型破りな両親を持つと大変っていう話なんだ」
「かたやぶり?」
「型破りもいいとこだぜ。あいつら来年の学園祭、制服着て出るとか言い出しやがったんだ」
「・・・た、大変、だね」
ゆずは大和に同情の眼差しを向けた。
「ほんとに、勘弁して欲しいよなぁ」

「あれ?しの先輩!」
明衣たちの話を聞いていた彩香は、しのが息を切らせながら歩いてくるのを見つけた。
「ああああ、さ、彩香さん!ややや、やっと見つけたぁ」
しのがスローモーションのようなスピードで駆け寄ってきた。
それでも、しのの背中からは湯気が立っていた。
「どうしたんですか?お友達とはぐれちゃったとか?」
「い、いえ、さっき、和泉さんから連絡があって、さ、彩香さんがわわわ、和服で歩いているからって、聞いて、その・・・」
しのは真っ赤になっていた。
「き、キレイ・・・です」
ぼうっとした目で彩香を見つめるしの。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえ、こちらこそ!こんな眼福・・・」
といきなり彩香を拝み始めた。
「せ、先輩、私神様じゃ」
「と、とんでもない!神さまです、彩香、さんは」
なおも拝むしの。
「ららら、来年のお正月には・・・和服彩奈が・・」
と、すでに来年の構想に入ってしまった。
鷹文も、一歩下がったような位置で、会話には加わらず彩香たちをずっと観察していた。
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