家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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ゆずは、魚の下で立ち止まったまま、しばらく呆然としていた。
「・・・そうだ!元のところに戻れば、きっと明衣ちゃんたちも探してくれてるはず」
と顔を上げるゆず。
「あれ?私、どっちから来たんだっけ」
魚の写真を撮るのに夢中になっていたゆずは、自分が来た方向を忘れてしまっていた。
キョロキョロと通りを見回したのだが、まるで思い出すことができない。
「あっ、お花屋さん!・・・は見えない。あとは何見たっけ・・・」
スマホの画像を見ることができない今、ゆずはほんとんどアニメのシーンしか思い出せず、現実と一致させることもできなかった。
「ど、どうしよう・・・」
ゆずの前を何人もの人が通り過ぎていくのだが、何と声をかけていいのかもわからず、ゆずはただキョロキョロするだけだった。
「明衣ちゃん・・・さいちゃん・・・」
不安になったゆずは下を向いてしまった。

「大和!こっちでいいんだよね?」
明衣は走りながら大和に尋ねた。
「あ、ああ。そのまままっすぐ!次の信号を左」
「わかった!」
「待ってよ!はぁ・・はぁ・・・私も迷子になっちゃよ」
しばらく走り続けて、なみもりは疲れてしまっていた。
「ああん。急いでなみもり!」
「わかってるけど・・・無理」
ついに立ち止まってしまった。

なみもりの回復を待ってまた走り出すと、明衣たちはやっとのことでアーケードーの入り口を見つけることができた。
「はぁ・・・はぁ・・・ここ、だね」
「ああ」
「はぁ・・・あっ、あれ!」
なみもりが店の上の方を見上げた。
「ゆずいたの⁉︎」
「ごめん、そうじゃなくて。ゆずの好きなアニメのポスター・・・」
「・・・そっか。じゃあやっぱりここにいる可能性高いね」
「明衣。俺は先にアーケードーの奥まで行くから、二人は店とか脇道とか見ながら来てくれるか?」
「そうだね。あんまり時間かけてると、ゆずがどこか別のところに行っちゃうかもだし」
大和の提案に明衣が頷いた。
「ああ。じゃあ俺行くから」
「お願い、大和!」
大和はアーケードーの中を走っていった。
「なみもり、大丈夫?」
「うん・・・もうちょっと。はぁ、はぁ・・・」
なみもりは、膝に乗せていた手を離した。
「ごめん、いいよ」
「あんたは左側ね。私は右見てくから」
「うん」
息を落ち着かせた二人は、店の中を覗き込みながら歩き始めた。

大和は、左右を見回し人を避けながらどんどん走っていく。
「ゆずちゃん、動かないでいてくれよ」
明衣のうろたえ振りを気にした大和は、こんな時こそ自分が頑張らねばと気合を入れ直した。

後から追う二人は・・・
「なみもり、そっちはどう?」
「・・・いないみたい」
「そう・・・」
明衣は心配そうな表情で、なみもりと顔を見合わせた。

・・・彩香たちはタクシーで、出町商店街に向かっていた。
「ゆず、大丈夫かな?」
「もう一度電話してみるか?」
「うん・・・」
彩香はゆずに電話をかけた。
「やっぱり電池切れてるって」
「そっか・・・」
「ゆず・・・」
彩香は心配そうに窓から外を見た。
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