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ゆずを見つけた後揃った一行は、大幅に遅れてしまった観光を少しだけして、ホテルに戻ってきた。
「温泉じゃないけど、やっぱ大きなお風呂っていいねぇ」
お湯に浸かった明衣は、ふわぁ~っと伸びをした。
「だねぇ。今日はいっぱい歩いたし」
なみもりはお湯の中でふくらはぎを揉んでいる。
このホテルには大浴場があり、生徒たちはクラスごとに入ることになっている。
今日は彩香のクラスが一番最初で、観光から戻ってすぐみんなでやってきたのだった。
「さいちゃん、ごめんね」
「ううん。でも動かないでいてくれてよかったわ。手がかりほとんどなかったから」
彩香とゆずが湯船に浸かりながら話していると、横からなみもりが覗き込んできた。
「それにしてもさぁ・・・ゆずはゆずっていうより夏蜜柑?」
なみもりの言葉に、みんなが湯船に浮かぶゆずの胸に注目した。
「な、なに言ってるの、なみもりちゃん」
ゆずは両手で自分の胸を隠した。
「あー、みんなダメだよ!ゆずは私のものなんだから!」
と明衣が後ろからゆずに抱きついた。
「は、恥ずかしいよ。明衣ちゃん・・・」
「こら!あんたたち、いい加減にしなさい!」
騒ぐ明衣たちを睨みながら、梅が湯船に入ってきた。
「あれ、梅ちゃん。どうしたの?まさか生徒に格下げとか」
「なに言ってるの。あんたたちが昨日お風呂で騒いだからでしょ!そのせいで今日は私が監視役になったのよ。まったく。お風呂くらいゆっくり入りたかったのに・・・」
言いながら梅が肩まで湯に浸かると、小さな顔だけがぷかんとお湯に浮かんだ。
「ねえ、彩香。メイク落とした梅ちゃんって、なんかゆずに似てない?」
「・・・本当ね」
並んで入っているゆずと梅を見て、彩香が頷いた。
「顔だけ見るとさ、梅ちゃんってそこはかとなく・・・」
京都に来たせいか、明衣にしては珍しく文学調の言葉を使った。
「な、なによ?」
梅が不安そうな顔で明衣を見た。
「ゆずの妹サイズだよね!」
「夏蜜柑のゆずとゆずの梅ちゃん・・・」
すかさずなみもりが付け加えた。
「私はゆずさんよりずーっと大人よ!」
「身長だってゆずより低いし。ゆずが・・・何センチだっけ?」
「私は・・・149cm?」
とゆずが遠慮がちに呟いた。
「ってこの前148.5cmって言ってたじゃん!」
「うっ・・・し、四捨五入すれば一緒じゃない!
そういういなみもりちゃんは?」
「私は毎度お馴染み平均値、158cmよ」
「裏切らないねぇ」
今年のなみもりもほぼ平均値を達成していた。
「で、梅ちゃんは?」
「わ、私だって143cmはあるわ!」
何故かドヤ顔の梅だった。
「そうだっけぇ?梅ちゃんこの前確か142cmとか言ってたような・・・」
「うわぁ、サバ読んでるよ。この大人」
「そうやってだんだん汚れた大人になっていくんだね・・・」
「な、なんてことを・・・」
明衣となみもりの攻撃に、梅がたじろいだ。
「ちっちゃい梅ちゃん、ゆずの1/6スケール!」
「私はフィギュアじゃない!ちゃんと97%はあるわ!」
「142÷148.5は95.6%四捨五入しても96%」
計算は得意な平均女子。なのに数学も平均点・・・
「うわぁ。またサバ読んでる。ってかわざわざ計算したの?」
「穢れた大人」
二人は追い討ちをかけた。
「ううっ・・・も、もう時間よ!早く出なさい!」
「うわー、ミニゆずが怒ったぁ!」
両手を上げてわめく梅を尻目に、明衣となみもりは逃げるように脱衣場へ消えていった。
「先生。明衣がすいません」
「い、いいのよ彩香さん」
彩香に慰められる半泣きの梅だった。
「温泉じゃないけど、やっぱ大きなお風呂っていいねぇ」
お湯に浸かった明衣は、ふわぁ~っと伸びをした。
「だねぇ。今日はいっぱい歩いたし」
なみもりはお湯の中でふくらはぎを揉んでいる。
このホテルには大浴場があり、生徒たちはクラスごとに入ることになっている。
今日は彩香のクラスが一番最初で、観光から戻ってすぐみんなでやってきたのだった。
「さいちゃん、ごめんね」
「ううん。でも動かないでいてくれてよかったわ。手がかりほとんどなかったから」
彩香とゆずが湯船に浸かりながら話していると、横からなみもりが覗き込んできた。
「それにしてもさぁ・・・ゆずはゆずっていうより夏蜜柑?」
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「な、なに言ってるの、なみもりちゃん」
ゆずは両手で自分の胸を隠した。
「あー、みんなダメだよ!ゆずは私のものなんだから!」
と明衣が後ろからゆずに抱きついた。
「は、恥ずかしいよ。明衣ちゃん・・・」
「こら!あんたたち、いい加減にしなさい!」
騒ぐ明衣たちを睨みながら、梅が湯船に入ってきた。
「あれ、梅ちゃん。どうしたの?まさか生徒に格下げとか」
「なに言ってるの。あんたたちが昨日お風呂で騒いだからでしょ!そのせいで今日は私が監視役になったのよ。まったく。お風呂くらいゆっくり入りたかったのに・・・」
言いながら梅が肩まで湯に浸かると、小さな顔だけがぷかんとお湯に浮かんだ。
「ねえ、彩香。メイク落とした梅ちゃんって、なんかゆずに似てない?」
「・・・本当ね」
並んで入っているゆずと梅を見て、彩香が頷いた。
「顔だけ見るとさ、梅ちゃんってそこはかとなく・・・」
京都に来たせいか、明衣にしては珍しく文学調の言葉を使った。
「な、なによ?」
梅が不安そうな顔で明衣を見た。
「ゆずの妹サイズだよね!」
「夏蜜柑のゆずとゆずの梅ちゃん・・・」
すかさずなみもりが付け加えた。
「私はゆずさんよりずーっと大人よ!」
「身長だってゆずより低いし。ゆずが・・・何センチだっけ?」
「私は・・・149cm?」
とゆずが遠慮がちに呟いた。
「ってこの前148.5cmって言ってたじゃん!」
「うっ・・・し、四捨五入すれば一緒じゃない!
そういういなみもりちゃんは?」
「私は毎度お馴染み平均値、158cmよ」
「裏切らないねぇ」
今年のなみもりもほぼ平均値を達成していた。
「で、梅ちゃんは?」
「わ、私だって143cmはあるわ!」
何故かドヤ顔の梅だった。
「そうだっけぇ?梅ちゃんこの前確か142cmとか言ってたような・・・」
「うわぁ、サバ読んでるよ。この大人」
「そうやってだんだん汚れた大人になっていくんだね・・・」
「な、なんてことを・・・」
明衣となみもりの攻撃に、梅がたじろいだ。
「ちっちゃい梅ちゃん、ゆずの1/6スケール!」
「私はフィギュアじゃない!ちゃんと97%はあるわ!」
「142÷148.5は95.6%四捨五入しても96%」
計算は得意な平均女子。なのに数学も平均点・・・
「うわぁ。またサバ読んでる。ってかわざわざ計算したの?」
「穢れた大人」
二人は追い討ちをかけた。
「ううっ・・・も、もう時間よ!早く出なさい!」
「うわー、ミニゆずが怒ったぁ!」
両手を上げてわめく梅を尻目に、明衣となみもりは逃げるように脱衣場へ消えていった。
「先生。明衣がすいません」
「い、いいのよ彩香さん」
彩香に慰められる半泣きの梅だった。
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