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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯88.チーム対抗戦の始まり⑩ 不審者登場6

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「君の年齢で後手に回ったのは初めてだから、それ相応
のお礼はしないとねっ」
 男は腰を落として低空タックルの姿勢で入り込んで、
立花の頭が下向きになった状態で左肩に抱え上げる事に
成功すると落下しないように左手で太ももを固定して、
そのまま2回転程、周り地面に置いて、その場を離れた。

「チッ」
 視界を奪われた上に方向感覚さえも狂わされた立花は
舌打ちしながらブロック塀に囲まれた状況をうらんだ。
この状況の中では怖くて全力でダッシュすることは出来
ないのだ。

「じゃぁ、えんりょなく攻撃させて貰うことにするよ」
 男は両手を組んで頭上から思い一切り振り下ろす技を
繰り出した。
「ビュンっ」
 風切り音が出た事で立花の防衛本能と持ち前の反射神
経が働いて背中を狙ってきている事が分かり半歩移動し
直撃を免れて肩に当たった。
「ガシッ」
「くぅーーーっ」
 あまりの痛みに動くことも出来なかったが負けを認め
る事はもっとも悔しいので命乞いをする選択肢は無かっ
た。
「あれっ君は痛いって泣き叫ぶのが苦手みたいだな?」
「次は外さないから、もうそろそろ、あきらめろよ!」
「あきらめるのは、そっちの方だと思うけどな……」
 遠くの方から燕尾服に身を包んだ長身の男が口を開い
た。
「あんた何者だ?」
「ヒカルちゃんから救出依頼を受けた。執事だよっ」
 会話して二人に近付きながら状況を一つ一つ確認して
いく男。
「み、宮間さん!?」
「マイカちゃん。俺が来たからには、安心して良いよ。
外道は地獄に送り返さないとね!」
「執事にしては乱暴な口調な気がするけどな」
「外道に敬語を使うことは俺の辞書に無い!!」
 宮間の怒りがビリビリと立花にも伝わって来ており、
名前はバレたく無かったが頼もしさも同時に感じていた。
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