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プロローグ

13.第三の男②

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 あきおは、サングラスを外した男に右目の下側にできた
切り傷の跡がある事が分かると相当の修羅場しゅらばを経験してい
ると判断して強気の姿勢が態度に現れ、ポケットに両手を
突っ込んで傍観者ぼうかんしゃになれる期待値が高まっていた。
「シゲ坊。仕事お疲れさん。長距離ドライバーは腰が痛い
くて大変だろうに」
 清武から固有の渾名あだなで呼ばれたグラサン男はビクつくと
分かりやすさ全開で態度が軟化し始める。
「嫌だな~。誰かと思ったら空手2段の清武さんですかい」
「さっきのお前のデカイ声、丸聞こえだったんだけど久し
ぶりに相手してくれるのか? ヤンチャ時代は暴れん坊の
シゲ松って言えば有名だったよな!?」

 *島民の中でシゲ松の事をシゲ坊と呼んでいるのは清武
だけなので、そこだけでも確認が取れるが独特の低い声に
身体が反応してしまったのだ。目の下の切り傷も清武との
戦闘によってつけられた物で視力がかなり落ちており、片
側だけコンタクトレンズを使用しているのだ。傷の事を今
もコンプレックスとしているので夜でも見える昼夜兼用の
サングラスを装着している。

「何年前の話持ち出してるんですか。清武さんとは二度と
戦いたくはないです。だって空手家でありながら武器には
武器をの思想しそうを持ってる人は危険きわまりないですから!」

 ()書きで表現した”あきお”の心の声と*の豆知識は、
動画の解説欄かいせつらんにビッシリと掲載されているので、その場の
雰囲気を臨場感りんじょうかんタップリに味わえる趣向しゅこうとなっている。

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