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プロローグ

22.戦いの後で①

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「別に怪我けがをさせたい訳じゃないから安心しろ」
「そこまで言われたら、逃げません。具体的ぐたいてきに何をすれ
ば?」
 地面に足をつけると五体満足ごたいまんぞくで家に帰る為にも自分の
意見を飲み込む事にして快諾かいだくする”あきお”。
「そうあせるな。シゲ坊、そこの鉄クズ屋から適当てきとう鉄板てっぱん
を貰ってきてくれるか?」
「お安い御用ごようです。今は同級生が跡継あとついでますから楽勝らくしょう
です」
 シゲ松が厚さ3mmミリで縦30cmセンチ×横50cmの鉄板
を貰ってくると礼を言って、あきおに手渡す。
「その鉄板の両端りょうはしを持って正面しょうめんに向けてしっかりと固定こてい
してくれるか?」
「あきお。パニックになり過ぎだ。短い方を持ったら手が
イカレちまうぞ!」
「はっはいっ」
「その方向で良い」
 ネクタイを外してワイシャツの襟元えりもとゆるめると携帯電
話と一緒にシゲ松へと手渡す。
「すぅーーっ」
 丹田たんでん意識いしきを集中しながら息を吐いていき、集中力を
高めて呼吸を行う清武。
「セェイヤッ」
 空手家特有とくゆうの掛け声が静寂せいじゃくやぶった後に拳の連打れんだが始
まる。
「ドッドッドドオォォォォー」
(気を抜いたら一気に持ってかれちまう。絶対ぜったいに離さな
いぞ。あんなの一発でも当たったら骨が折れちまう)

 拳の連打が打ち終わると身体の向きを反転はんてん正拳突せいけんづ
を左右に一発放ってから余分な力をがし、きょうつけ
姿勢しせいになり、礼をしてから空手のかた動作どうさに入る。


*丹田=へその下3寸に位置する場所



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