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プロローグ

25.意外な一面② (改)

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「あきお。良い気分転換きぶんてんかんになったよ。しかし、右ストレ
ートを確実かくじつに当てる為にはローキックをおぼえた方が良い
な。俺で良ければ自宅じたく地下室ちかしつ稽古けいこを付けてやる」
「それって絶対に体重絞たいじゅうしぼるんですよね!?」
「当たり前だ。夕食後の間食かんしょくは絶対に認めんがな」
 清武のほっぺたが赤くなってきたので即座そくざ返答へんとうする。
(言ってる事とやってる事のギャップが有りすぎでしょ。
ホントに付き合いきれないよ)
「夕食後の間食は一日の御褒美ごほうびだから弱くて良いっす」
「そうか。それは残念ざんねんだ。日々の鍛錬たんれんかんしては強制は
良くないからな。キックボクシングも十年の経験がある。
気が変わったら連絡れんらくしてこいよ」
「はいっ」
「そうだ。お前、としいくつだ?」
「高1の16歳です」
「お前の父親ちちおやじゃないからファッションの事をとやかく
言うつもりはないが結婚けっこんする時に、必ず障害しょうがいになるぞ。
お前がぎゃくの立場で父親だったらチャラい奴にむすめよめ
出せるか? 鼻ピアスもケンカじゃつかまれると不利ふりにな
る。タトゥーも除去じょきょするのに金が必要になるし綺麗には
消せないぞ。20代に入ったらワンポイント位にしとけ」
「オレに、そんな事言ってくれる人はまわりにませんで
した。おこる人ばっかりで……」
 こわいと思ってた人の意外いがいやさしさに触れて涙があふれて
きて止まらなくなる”あきお”。
「泣く奴があるか。給料前きゅうりょうまえだから中華屋ちゅうかやのメニューし
おごれないけど一緒いっしょ飯行めしいこうぜっ」
「清武さん。本当にありがとうございます!」
「礼ならめしを食べた後で言ってくれ」
 
 動画どうがはここで終わっており、タカフミは画面を下へと
スクロールして解説欄かいせつらんのその後の記事を読んだ。

 解説にはシゲ松が鉄クズ屋の屋外おくがい設置せっちしてある水道
水を借りて異臭まみれになった荷台シートを長時間掛け
てデッキブラシで落として夕飯には参加出来なかった事。
あきおが初めて自主的じしゅてきに頭を下げた事と高校を卒業後そつぎょうご
社会人となった初任給しょにんきゅうでシゲ松のトラックの荷台シート
の新品を購入こうにゅう包装紙ほうそうしに包まずにおくったと書かれていた。

*間食=毎日の規則的きそくてきな食事の間に補助的ほじょてきな食事。
簡単かんたんに言えば食後のおやつ)
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