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第一章:始まりの世界

32.隣のおじさんとの記憶①

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 たまに母親がむかえに来た事があったが隣のおじさんを
信頼しているように感じる様子が度々たびたび感じられたので笑
顔も増えるようになっていった。しかし学校では相変あいか
らず空気みたいな存在だった。周りの大人や同級生に自
分の本音を伝える事を苦手なまま過ごしてきたので変わ
りたいとも思っていた時期に、その気持ちを察したおじ
さんは「私に気を遣う必要はないから本音で言えば良い
よ」と言ってくれた。何でここまでやさしくしてくれたの
かは今も分かっていない。

 おじさんは私が食べたい物を直ぐに察知さっちして御馳走し
てくれた。中でも11種類のハーブ&スパイスを使い、
圧力鍋で調理するフライドチキンと太めのポテトの衝撃しょうげき
は凄かった。フライドチキンは骨にかぶりついて口の周
りをよごして夢中になっていたしホクホク感の強いポテト
は食べごたえがあって食べ慣れてる細長のポテトとは一味
違っていた。ちなみにおじさんは細長派なのでポテトだ
けをドライブスルーの時に他店の袋を店員さんに見られ
ないように私に隠すように指示していた事を覚えている。

 いつも知らないおじさんの車には乗らないように、口
うるさく言っている母親が隣のおじさんだけは「あの人
なら良いわよ」という言葉が返ってきたのにはいた口
がふさがらなかった。本当の父親がおじさんだったら良
いのになと思った事が数回あり、顔が似てたら母親に問
い詰めようと思っていたが私はそっくりと言われる程の
母親似だから一度も話題にせずに胸の内にしまってある。
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