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第一章:始まりの世界
42.大山家のルール①
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「ピッピッ」
再度、実家の子供部屋に切り替わった。天井が間近に
迫っている。二階建てベッドから壁にかけられたカレン
ダーを見ると三月だと分かった。アゲハチョウの事が頭
から離れないでいると子供部屋のドアが突然開かれてく。
「タカフミ。先に帰ってたの?」
姉のカオリが甘い匂いを漂わせながら自分の学習机に
丸い食器皿を置いた。
「用事が先に片付いたから」
姉が持ってきた食べ物を見て喉を鳴らして眺めている。
バターの香ばしい匂いと甘ったるいシロップの匂いが、
鼻孔をくすぐる。もちろん匂いだけではなく、三段に重
ねられている容姿も興味をそそる。
「ふーん。そういう事もあるよね。台所の食器戸棚に、
あんたの分のホットケーキがあるからレンジで温めて食
べなよ」
「姉ちゃんが持ってきてくれないの?」
「バカ言わないでよ。せっかく温めて今が食べ頃なのに
冷めちゃうでしょ?」
眉間にしわが寄って声のトーンが高くなって話し始め
るカオリ。
「昔から弟より、おやつだよね?」
「当たり前でしょ。家は両親共働きで帰宅しての手作り
おやつは一日の一番の楽しみでもあるんだから」
「それに大山家にしては珍しく、自室で食べても良いの
が”おやつ”だからでしょ!?」
カオリは左手で会話を静止する合図を出しながら右手
でモクモクと最上段の一枚を食べ終えてから返事をした。
「そういう事、朝昼晩の三食は絶対に台所で食べなきゃ
いけないルールになってる」
皿に乗っているシロップの容器から、たっぷりと二段
目にかけてニヤニヤしながら返事をする姉。
再度、実家の子供部屋に切り替わった。天井が間近に
迫っている。二階建てベッドから壁にかけられたカレン
ダーを見ると三月だと分かった。アゲハチョウの事が頭
から離れないでいると子供部屋のドアが突然開かれてく。
「タカフミ。先に帰ってたの?」
姉のカオリが甘い匂いを漂わせながら自分の学習机に
丸い食器皿を置いた。
「用事が先に片付いたから」
姉が持ってきた食べ物を見て喉を鳴らして眺めている。
バターの香ばしい匂いと甘ったるいシロップの匂いが、
鼻孔をくすぐる。もちろん匂いだけではなく、三段に重
ねられている容姿も興味をそそる。
「ふーん。そういう事もあるよね。台所の食器戸棚に、
あんたの分のホットケーキがあるからレンジで温めて食
べなよ」
「姉ちゃんが持ってきてくれないの?」
「バカ言わないでよ。せっかく温めて今が食べ頃なのに
冷めちゃうでしょ?」
眉間にしわが寄って声のトーンが高くなって話し始め
るカオリ。
「昔から弟より、おやつだよね?」
「当たり前でしょ。家は両親共働きで帰宅しての手作り
おやつは一日の一番の楽しみでもあるんだから」
「それに大山家にしては珍しく、自室で食べても良いの
が”おやつ”だからでしょ!?」
カオリは左手で会話を静止する合図を出しながら右手
でモクモクと最上段の一枚を食べ終えてから返事をした。
「そういう事、朝昼晩の三食は絶対に台所で食べなきゃ
いけないルールになってる」
皿に乗っているシロップの容器から、たっぷりと二段
目にかけてニヤニヤしながら返事をする姉。
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