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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

55.上級生の反応②

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「そんな貴重な物を進学校なのに中学二年生で持ってる
んだから明石先輩って凄い人なんですね!」
「そうか? 小学生に真顔でめられるとマジで照れる
けど体を動かしてストレス発散させるタイプだから将来
も白黒はっきりと勝敗が決まる競技をやりたいとは思っ
てるよ」
 頭の裏側を右手できながら恥ずかしそうにする明石
だったが天然な所もあって都合の良い解釈かいしゃくしかしない男
でもあった。
「プロになったら試合観に行きます!!」
「お前、人が良すぎだぞ。相手が何をするか分かってい
ない状態で信用し過ぎるのは良くない。悪い奴かもしれ
ないしな」
「明石先輩は悪い人なんですか?」
 明石は悪に染まっていない純粋な目で覗き込んでくる
タカフミに無性におかしくなって笑いをこらえきれなく
なり、左手でちょっと待ての合図をする。
「タカフミ、質問がストレート過ぎる。悪い人が自分の
事を悪い人ですって言う訳ないだろ? 相手を信用させ
る為には平気で嘘をつくのが悪い奴の特徴なんだよ」
「そうなんですか? すっごく勉強になります」

「少し難しい話になるかもしれないけど良い人かどうか
は受け取る側の判断によって大きく異なるのさ。クラス
にイジられキャラが居たとする。本当はイジられるのが
かなりのストレスになってたりしても本人が言わずに隠
してたらイジってる奴は、そのままイジっても大丈夫だ
と認識してクラスの雰囲気ふんいきを盛り上げたり、本人を注目
させようと善意の行動だと思うようになるんだ」
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