黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査最終日

121. 十一日目(謹慎三日)、裏切者① 後半

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「そうだ。僕がずっと探していた僕の卒業アルバムを君が見付けて
くれていたんだね。木島課長が盗んでた事は分かっていたんだけど
どうしても見付からなくてね。助かったよ」
 庭村は開けっ放しの引き出しから卒業アルバムを取り出すと角が
潰れているのを見せつけるようにして後藤の膝上に置いて代わりに
盗聴器を机の上に置いた。
「どうして、これが、ここにあるんだ!?」
「何でって君が早苗に合鍵を渡したからだろうがっ。早苗は俺と繋
がってる訳だからスペアキーを作る事は造作もない事だよ。納得し
たかい?」
 薄ら笑いを浮かべてズボンのポケットからキーケースを取り出す
と後藤の見覚えのある部屋鍵を取り外して壁に掛かっている自転車
の鍵用キーホルダーに取り付けて人差し指でクルクルと回しながら
挑発を始めていた。

「する訳ないだろう。庭村さん。あなたは不法侵入という言葉を知
らないのかい?」
「俺が俺の私物を返して貰うのに許可が要るのはどういう了見だい。
しかも角が潰れてるって事はさ、器物損壊罪に当たるんじゃないの
かな~」
「はいっ? 別に壊した訳でもないでしょうがっ」
「そこは所有者である私がどう思うかにもよりますよね? 思い出
の象徴しての価値がある世界に一つだけの記念品ですよ。言い掛か
りと思うのは無責任なのではありませんか。後藤巡査の完全プライ
ベート空間の自宅での気が狂っていた時の音声も、こちらは押さえ
てあるんです。大人しくしておいた方が身の為だと思いますがね~」
「それは脅しですか?」
 舐められたままで終われない熱血漢としての防衛本能が無意識に
顔を出していた。
「嫌だな~。そんな物騒な話じゃないですよ。只の忠告ですよ!
それと早苗が依頼を引き受けたのは単純明快で彼氏の誕生日プレゼ
ントを買うお金が欲しかったからなんですよ。スペアキーの事は、
話てませんから罪悪感が無いのは当然ですよ」
 庭村がどんなに早苗を庇おうとも借主である後藤の自宅へ不在な
時には奴が自由に出入りできる事実は変わらない訳で、それを想像
するだけで気持ち悪さが倍増していた。一刻も早く護身用ナイフを
奴の喉元に突き付けて形勢逆転をしたい衝動に駆られていた。   
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