128 / 136
エピローグ
一週間後 (1)
しおりを挟む
勤務態度が真面目である後藤伸幸が三日連続で無断欠勤した事を
受けて携帯に連絡しても通じず。アパートへと出向いて大家に許可
を貰い全ての部屋を見るも痕跡は見当たらなかった。捜索するチー
ムを編成する動きもあったが黒沢は自業自得だと言って人員を割く
事に猛反対を唱えた。相棒である黒沢が行方を知らないと言ってい
る以上、捜査が難航するのは目に見えており、凶悪捜査を最優先す
る方向で落ち着いた。只、二人は不信感を覚えていた。同期の小林
と最後に会っていた交通課の高橋真悠子だ。高橋に関しては合鍵で
入室し、冷蔵庫の中に手付かずのハンバーガーが残っているのを目
撃したからだ。現場に出掛けた捜査員の調書によると冷蔵庫に本来
ある筈のチーズバーガーが無くなっており、しかもゴミ箱には一人
分の包装紙しか入っていないと書いてあった。つまり、誰かが部屋
に侵入して処分した事を意味している。この事により、高橋は署内
に内通者が居ると予想した。もちろん誰か分かるまでは迂闊に相談
する事も出来ないので胸の内にしまう事を決意していた。小林に関
しても実際に危険な匂いのする虻沼の動きも観察していたのでこの
事件とは距離を置きたいと思っていた。
そして一週間後の9月29日の金曜の正午に黒沢警部宛てに謎の
小包が届いていた。差出人は黒庭と書かれており、受け取ったのは
小林だった。昼食から速攻で戻ってきた黒沢に小林は小包がある事
を告げると満面の笑顔で肩に手を回しながら問い質していた。
「小林、中を見たか?」
「黒沢警部、見る訳ないじゃないですかっ」
「そうか。なら良いんだ。パンドラの箱は開けない方が良いからな」
「それ、親父ギャグですか!?」
「そう、それだよ。ビビらせる為のギャグだよ。アハッハッ」
機嫌良く去って行くと突然、小林の携帯電話がバイブレーション
を起こし電話が来た事が分かる。宛名を見ると法海候からだった。
恐る恐る電話に出ると「連絡もよこさずに、お前、早死にしたいの
か?」
「いえっ。滅相もございません。こちらに不手際があったのは認め
ます」
「俺は謝罪を聞きたい訳じゃない。隆に続いて後藤も失踪したそう
じゃないか? 捜査はしない方針だってのも耳に入ってるぞ。お前
の署は鬼なのか?」
小林は銀髪の悪魔と恐れられた人物に言われたくないと思いなが
らも自分への被害を最小限に抑える為、黒沢に恨みを持っている粘
着質の危険な匂いのする虻沼の情報を告げた。
「何だ。ちゃんと情報を持ってるんじゃないか。それなら、その男
の家の正確な地図を封筒に入れて来々軒の店主に渡しておいてくれ。
そこまですれば、お前は手を引けば良い。もう関わるなよ。こっか
ら先は裏家業を知り尽くした俺の仕事だ」
「分かりました。そこまでは責任持ってやらさせて貰いますっ!」
電話越しでも説得力が感じられる凄みを感じて電話を切った。
受けて携帯に連絡しても通じず。アパートへと出向いて大家に許可
を貰い全ての部屋を見るも痕跡は見当たらなかった。捜索するチー
ムを編成する動きもあったが黒沢は自業自得だと言って人員を割く
事に猛反対を唱えた。相棒である黒沢が行方を知らないと言ってい
る以上、捜査が難航するのは目に見えており、凶悪捜査を最優先す
る方向で落ち着いた。只、二人は不信感を覚えていた。同期の小林
と最後に会っていた交通課の高橋真悠子だ。高橋に関しては合鍵で
入室し、冷蔵庫の中に手付かずのハンバーガーが残っているのを目
撃したからだ。現場に出掛けた捜査員の調書によると冷蔵庫に本来
ある筈のチーズバーガーが無くなっており、しかもゴミ箱には一人
分の包装紙しか入っていないと書いてあった。つまり、誰かが部屋
に侵入して処分した事を意味している。この事により、高橋は署内
に内通者が居ると予想した。もちろん誰か分かるまでは迂闊に相談
する事も出来ないので胸の内にしまう事を決意していた。小林に関
しても実際に危険な匂いのする虻沼の動きも観察していたのでこの
事件とは距離を置きたいと思っていた。
そして一週間後の9月29日の金曜の正午に黒沢警部宛てに謎の
小包が届いていた。差出人は黒庭と書かれており、受け取ったのは
小林だった。昼食から速攻で戻ってきた黒沢に小林は小包がある事
を告げると満面の笑顔で肩に手を回しながら問い質していた。
「小林、中を見たか?」
「黒沢警部、見る訳ないじゃないですかっ」
「そうか。なら良いんだ。パンドラの箱は開けない方が良いからな」
「それ、親父ギャグですか!?」
「そう、それだよ。ビビらせる為のギャグだよ。アハッハッ」
機嫌良く去って行くと突然、小林の携帯電話がバイブレーション
を起こし電話が来た事が分かる。宛名を見ると法海候からだった。
恐る恐る電話に出ると「連絡もよこさずに、お前、早死にしたいの
か?」
「いえっ。滅相もございません。こちらに不手際があったのは認め
ます」
「俺は謝罪を聞きたい訳じゃない。隆に続いて後藤も失踪したそう
じゃないか? 捜査はしない方針だってのも耳に入ってるぞ。お前
の署は鬼なのか?」
小林は銀髪の悪魔と恐れられた人物に言われたくないと思いなが
らも自分への被害を最小限に抑える為、黒沢に恨みを持っている粘
着質の危険な匂いのする虻沼の情報を告げた。
「何だ。ちゃんと情報を持ってるんじゃないか。それなら、その男
の家の正確な地図を封筒に入れて来々軒の店主に渡しておいてくれ。
そこまですれば、お前は手を引けば良い。もう関わるなよ。こっか
ら先は裏家業を知り尽くした俺の仕事だ」
「分かりました。そこまでは責任持ってやらさせて貰いますっ!」
電話越しでも説得力が感じられる凄みを感じて電話を切った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる