13 / 136
捜査開始
13. 六日目、同期からの食事の誘い (前半)
しおりを挟む
翌日の18日(月)午前七時に目を覚ますと歯を磨いてから洗顔をする。眠気
が取れたのが確認できると鼻歌を歌いながらシャワーに入る。さっぱりして出て
くると早々と濡れた体をバスタオルで拭いて新しい下着に着替える。タオルで髪
の毛を丁寧に拭きながらそのままの格好で台所に入り、目玉焼きを作り始めた。
タオルを首に掛けながら調理するのが癖となっていた。
目玉焼きが半熟になると食パンをトースターで焼き始めて黄身が固まる頃には
トーストが焼きあがり、皿に盛り付けてバナナと野菜ジュースを添えて朝食の完
成である。平日の朝は、ほぼ同メニューで変わる事がなかったが目玉焼きの味付
けだけは日によってソース、塩、カレーパウダーと変化させており、この日は定
番の熟成ソースの出番だった。朝食が済むと髪をドライヤーで乾かしてサラサラ
仕上げにしてから服を身に着けて昨日の黒沢警部の自宅の様子を思い出して見る。
昔懐かしい、指を掛けて回すタイプの黒電話と煙草の吸殻に付いていた口紅の
色が珍しい紫色だった事を思い出す。口紅の色を警察手帳に記録すると革のジャ
ンバーを着て近所のコンビニに寄り、週刊少年雑誌を立ち読みする。小学生から
バトルもの(善と悪が戦う格闘系)と呼ばれる漫画が大好きで警察官になった今
でも止められなかった。雑誌を買わない代わりに喉飴を買い続けているので喉飴
専用の瓶が三個有り、知人に会うと飴を配って減らしているのが現状である。
署に出勤すると行動予定を記したホワイトボードの中から自分の欄を探して、
帰宅から出勤の表示(マグネットで作られた物)に切り替えて黒沢の欄を見てみ
る。行動の欄は二日間、大阪に出張となっていた。突然の事に少し驚いたが、自
分の仕事を始める。特に事件も起こらずに定時が来たので帰ろうとすると同期の
小林が声を掛けて来て一緒に食事をする事となった。
小林の通い続けている広島風お好み焼きの店に決まり、座敷に通されると看板
メニューのモダン焼きを注文する。自分達でも焼く事は出来るのだが、お店の人
に任せた方が間違いないとの事で焼かせてはくれなかった。『焼きそば』を中に
入れる為、素人には難しいのだと言う。モダン焼きが運ばれて店員が退席すると
座敷は襖で閉まり、密室が出来上がる。その仕切りに防音材が入っているらしく
会話を気にする必要が無くなるから利用しているのだと小林は打ち明けた。
「まだ、例の事件を捜査しているのか?」
「あぁ。未解決ってのが、どうにも気に掛かるんだ」
後藤は、お節介な奴だと思いながらも食事に手を付ける。外側がパリパリの焼
き具合で中がもっちりの焼きそばの食感に頬を緩ませて半分程、平らげていく。
箸が止まった所を見て小林が小難しい表情を浮かべて話を始める。
「お前には一応、話しておくけど、上層部に聞いた話だと東新宿署に勤務してた
頃の黒沢警部が解決した事件は殆んど相棒の木島さんが解決したんじゃないかっ
て思われているんだ……」
「憶測だろ?」
「確かにそう言われると痛い所だが、この世に存在しない人から真実は聞けない
しな」
「死人に口無しってヤツか」
「自殺だから余計に信憑性が高いって専らの噂だ」
「木島さんって本当に自殺なのか!?」
「お前、警部から聞いてないのかよ」
「亡くなった事だけは聞いたよ」
「そうか。内容が内容だけに伏せていたのかもな」
小林の勿体つける口調に痺れを切らす後藤。
「前置きは良いから、話してくれないか」
「そうだな。お前は、知っておいた方が良い気がするから、話すよ。但し、その前
に完食させてくれ」
小林が最後の一切れを食べるのを苛々しながら待つ。途中、極度の緊張からか喉
が渇いてきたので水を飲み干す後藤だった。
が取れたのが確認できると鼻歌を歌いながらシャワーに入る。さっぱりして出て
くると早々と濡れた体をバスタオルで拭いて新しい下着に着替える。タオルで髪
の毛を丁寧に拭きながらそのままの格好で台所に入り、目玉焼きを作り始めた。
タオルを首に掛けながら調理するのが癖となっていた。
目玉焼きが半熟になると食パンをトースターで焼き始めて黄身が固まる頃には
トーストが焼きあがり、皿に盛り付けてバナナと野菜ジュースを添えて朝食の完
成である。平日の朝は、ほぼ同メニューで変わる事がなかったが目玉焼きの味付
けだけは日によってソース、塩、カレーパウダーと変化させており、この日は定
番の熟成ソースの出番だった。朝食が済むと髪をドライヤーで乾かしてサラサラ
仕上げにしてから服を身に着けて昨日の黒沢警部の自宅の様子を思い出して見る。
昔懐かしい、指を掛けて回すタイプの黒電話と煙草の吸殻に付いていた口紅の
色が珍しい紫色だった事を思い出す。口紅の色を警察手帳に記録すると革のジャ
ンバーを着て近所のコンビニに寄り、週刊少年雑誌を立ち読みする。小学生から
バトルもの(善と悪が戦う格闘系)と呼ばれる漫画が大好きで警察官になった今
でも止められなかった。雑誌を買わない代わりに喉飴を買い続けているので喉飴
専用の瓶が三個有り、知人に会うと飴を配って減らしているのが現状である。
署に出勤すると行動予定を記したホワイトボードの中から自分の欄を探して、
帰宅から出勤の表示(マグネットで作られた物)に切り替えて黒沢の欄を見てみ
る。行動の欄は二日間、大阪に出張となっていた。突然の事に少し驚いたが、自
分の仕事を始める。特に事件も起こらずに定時が来たので帰ろうとすると同期の
小林が声を掛けて来て一緒に食事をする事となった。
小林の通い続けている広島風お好み焼きの店に決まり、座敷に通されると看板
メニューのモダン焼きを注文する。自分達でも焼く事は出来るのだが、お店の人
に任せた方が間違いないとの事で焼かせてはくれなかった。『焼きそば』を中に
入れる為、素人には難しいのだと言う。モダン焼きが運ばれて店員が退席すると
座敷は襖で閉まり、密室が出来上がる。その仕切りに防音材が入っているらしく
会話を気にする必要が無くなるから利用しているのだと小林は打ち明けた。
「まだ、例の事件を捜査しているのか?」
「あぁ。未解決ってのが、どうにも気に掛かるんだ」
後藤は、お節介な奴だと思いながらも食事に手を付ける。外側がパリパリの焼
き具合で中がもっちりの焼きそばの食感に頬を緩ませて半分程、平らげていく。
箸が止まった所を見て小林が小難しい表情を浮かべて話を始める。
「お前には一応、話しておくけど、上層部に聞いた話だと東新宿署に勤務してた
頃の黒沢警部が解決した事件は殆んど相棒の木島さんが解決したんじゃないかっ
て思われているんだ……」
「憶測だろ?」
「確かにそう言われると痛い所だが、この世に存在しない人から真実は聞けない
しな」
「死人に口無しってヤツか」
「自殺だから余計に信憑性が高いって専らの噂だ」
「木島さんって本当に自殺なのか!?」
「お前、警部から聞いてないのかよ」
「亡くなった事だけは聞いたよ」
「そうか。内容が内容だけに伏せていたのかもな」
小林の勿体つける口調に痺れを切らす後藤。
「前置きは良いから、話してくれないか」
「そうだな。お前は、知っておいた方が良い気がするから、話すよ。但し、その前
に完食させてくれ」
小林が最後の一切れを食べるのを苛々しながら待つ。途中、極度の緊張からか喉
が渇いてきたので水を飲み干す後藤だった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる