黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査開始

14. 六日目、同期からの食事の誘い (後半)

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「実は、自殺の仕方に問題があってな。拳銃で自殺したんだ」
「別に伏せる内容じゃないだろ? 警察官が拳銃を所持してるのは国民が承知の
事実だ」
「確かに本人の持ち物ならば何ら不思議では無いさ」
「まさか、他人の拳銃か?」
「そう。まさに、その通りで黒沢警部の拳銃だったんだ!」
「黒沢警部の……」
 後の言葉が出なくなった後藤を他所に話を続ける小林。
「事件と思って極秘に捜査したが結局、何も見付からないまま、捜査は打ち切り。
家族やマスコミには本人の拳銃で自殺と発表して今日に至るって事だ」
「凄い情報だな。話してくれてありがとう」
「この話は内緒にしてくれよ。ここまで集めるのにかなりの実費が掛かったんだ。
もちろん今夜の飯代は、お前の奢りで良いよな?」
「あぁ。構わないさ」 
 後藤の了解を貰うと携帯電話を取り出して短い話をする小林。直後、極上の白
ワインと刺身の船盛りが運ばれてきて上機嫌の小林。その様子を見て後藤には、
初めから特別メニューを待機させていた事が分かったが敢えて追求する事はしな
かった。

 食欲も無くなったので残して置いた半分程のモダン焼きも小林に譲って飲み慣
れない酒を飲みながら宴が終わるのを待った。後で聞いた話では上層部の人間を
若い頃から通い慣れて知り尽くした最良の風俗店に連日連夜、招待して何とか聞
き出したのだと言う。やはり、色々な知識や経験が武器になるのだと改めて感じ
た後藤だった。

 小林は帰り道に趣味のパチンコで遊ぼうと思って進む方向を迷っていたが突然、
携帯電話のバイブが振動したので上着の内ポケットから取り出し番号を確認する。
そこにはレアな番号が表示されており、実際に直接会えた人間は数人しか居ない
と噂されている”法海侯”の番号だった。
「もしもし、小林巡査か?」
「はい。小林本人です。そちらは本物の法海侯さんですか?」
「そうだ。知人に頼まれて人を探してる。協力を頼めないか?」
「興味本位ではありましたが電話登録しておいて良かったです。本当に存在する
んですね!?」
 伝説の人物と電話ではあるが話をしている状況が信じられず、鼻息を荒くする
小林。
「興奮している所、悪いんだが仕事はちゃんとこなして貰わないと困るんだが、
あんたに任せて大丈夫か!?」
「情報網は私の得意分野でもありますので、その線であれば何かしら成果は出て
くるとは思います!」
「そうか。じゃあ、さっそく仕事に取り掛かって欲しい。男性で歳は三十六歳前
後で額に縫い傷がある。隆と書いて”りゅう”と読むそうだ」
 法海侯は外出しており、今ではあまり使われなくなった公衆電話の中に入って
帰り際に榊に渡された写真を片手に携帯電話で通話していた。近くを通る人々は
見慣れない辮髪と灰色のカンフー道着に只ならぬ危うさを感じて視線を合わせな
いように移動していた。
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