25 / 136
捜査開始
25. 八日目、自宅作業(手帳の秘密Ⅱ)
しおりを挟む
鍵が入手できた事で一歩前進した気持ちになり、もう一つのロール状の紙を広
げて中身を見てみる。端から端まで文字がびっしりと書かれている。おそらく、
暗号の類だろう。 その暗号を見た時に頭の中で一つの考えが浮かび上がった。
(待てよ。ひょっとしたら、目立たない部分に鍵の場所が記入してあるのかも知
れない)
再び、手帳を手に取り、常識を取り払って普段、目にしない背表紙の反対部分
を見詰めてみる。うっすらと文字らしき物が見えた。日焼けで茶色に変色してし
まっているので何と書いてあるのかまでは識別できない。
(昔、これと似た物を見たような気が……。何処で見たんだろう?)
思い出すことが出来ないので一旦手帳をテーブルの上に置いて喉飴専用瓶から
喉飴を取り出して、気分転換の為に口の中に入れる。ミントの香りが鼻から抜け
て、しばらく舐め続けていると濃厚なミルクの味が味覚を占領していく。心地良
い瞬間でもある。その時、記憶が中学生時代の授業風景に戻り、ある一日が再生
される。伸幸は社会の授業が苦手で退屈さを紛らわす為にノートに落書きをして
いた。それを見ていた隣の席の男子が先生にバレない方法があると教科書を使っ
て丁寧に、その技を披露して感心した場面で現実に戻ってくる。
「成程、この方法なら文字が浮かび上がる筈だ」
後藤は手帳にカバーを取り付けてから文字が書かれているであろう面を正面に
向け右側のカバー最上部に右親指を。最下部に左親指を当てて残りの指は背表紙
を押さえる。準備が完了した所で左側へ半分に折るように、力を入れると文字が
鮮明に浮かび上がった。背表紙をしっかりと押さえてアーチ状にするまで曲げれ
ば、はっきりと識別できる事を思い出していた。
「真実は一つしかない」
文字を口に出してみたが期待していたものでは無かった。それでも後藤は諦め
ずに逆側を試してみる。左側のカバー最上部に右親指を。最下部に左親指を当て
て残りの指は背表紙を押さえる。準備が完了した所で右側へ半分に折るように力
を入れると下側に全く別の文字が鮮明に浮かび上がる。そこには”新宿三丁目駅”
と書かれていた。
「地下鉄の駅に設置されているロッカーの鍵に違いない!!」
後藤は上着の内ポケットから自分の警察手帳を出して『丸の内線』と記入する。
思わず笑みが零れて左手で小さくガッツポーズをする。
壁掛け時計を見ると午後五時を過ぎていたのでコンビニへ夕食を買いに行く事
にする。キーケースの余っているリングにロッカーの鍵を装着するとテーブルの
上に置いてあるロール状の紙(暗号が書かれた)を木島課長の手帳のカバーの内
側に入れる。落ちない事を確認してから革靴の中敷の下に隠して部屋を後にする。
貴重品は常日頃から肌に身に付けて外出するように心掛けているので空き巣に
入られても困る事はない。幼少期に過ごした環境の影響であると思いながらも、
何ら悪い事ではないと自負していた。世の中はそんなに甘くないし盗まれた物が
無事に戻ってくるケースは稀である事は施設の生活で嫌という程、学んだ。
げて中身を見てみる。端から端まで文字がびっしりと書かれている。おそらく、
暗号の類だろう。 その暗号を見た時に頭の中で一つの考えが浮かび上がった。
(待てよ。ひょっとしたら、目立たない部分に鍵の場所が記入してあるのかも知
れない)
再び、手帳を手に取り、常識を取り払って普段、目にしない背表紙の反対部分
を見詰めてみる。うっすらと文字らしき物が見えた。日焼けで茶色に変色してし
まっているので何と書いてあるのかまでは識別できない。
(昔、これと似た物を見たような気が……。何処で見たんだろう?)
思い出すことが出来ないので一旦手帳をテーブルの上に置いて喉飴専用瓶から
喉飴を取り出して、気分転換の為に口の中に入れる。ミントの香りが鼻から抜け
て、しばらく舐め続けていると濃厚なミルクの味が味覚を占領していく。心地良
い瞬間でもある。その時、記憶が中学生時代の授業風景に戻り、ある一日が再生
される。伸幸は社会の授業が苦手で退屈さを紛らわす為にノートに落書きをして
いた。それを見ていた隣の席の男子が先生にバレない方法があると教科書を使っ
て丁寧に、その技を披露して感心した場面で現実に戻ってくる。
「成程、この方法なら文字が浮かび上がる筈だ」
後藤は手帳にカバーを取り付けてから文字が書かれているであろう面を正面に
向け右側のカバー最上部に右親指を。最下部に左親指を当てて残りの指は背表紙
を押さえる。準備が完了した所で左側へ半分に折るように、力を入れると文字が
鮮明に浮かび上がった。背表紙をしっかりと押さえてアーチ状にするまで曲げれ
ば、はっきりと識別できる事を思い出していた。
「真実は一つしかない」
文字を口に出してみたが期待していたものでは無かった。それでも後藤は諦め
ずに逆側を試してみる。左側のカバー最上部に右親指を。最下部に左親指を当て
て残りの指は背表紙を押さえる。準備が完了した所で右側へ半分に折るように力
を入れると下側に全く別の文字が鮮明に浮かび上がる。そこには”新宿三丁目駅”
と書かれていた。
「地下鉄の駅に設置されているロッカーの鍵に違いない!!」
後藤は上着の内ポケットから自分の警察手帳を出して『丸の内線』と記入する。
思わず笑みが零れて左手で小さくガッツポーズをする。
壁掛け時計を見ると午後五時を過ぎていたのでコンビニへ夕食を買いに行く事
にする。キーケースの余っているリングにロッカーの鍵を装着するとテーブルの
上に置いてあるロール状の紙(暗号が書かれた)を木島課長の手帳のカバーの内
側に入れる。落ちない事を確認してから革靴の中敷の下に隠して部屋を後にする。
貴重品は常日頃から肌に身に付けて外出するように心掛けているので空き巣に
入られても困る事はない。幼少期に過ごした環境の影響であると思いながらも、
何ら悪い事ではないと自負していた。世の中はそんなに甘くないし盗まれた物が
無事に戻ってくるケースは稀である事は施設の生活で嫌という程、学んだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる