黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査開始

27. 九日目(謹慎初日)、ロッカー探索①

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 翌日の21日。午前七時に目覚めると謹慎している事を思い出しながら洗顔を
始める為に洗面台の鏡を見ると昨日の度重なる大泣きで瞼が腫れていた事が分か
るが歯磨きを済ませて朝刊に目を通した。凶悪犯罪が起きていない事が分かると
テレビを着けて久しぶりに芸能ニュースを扱う番組にチャンネルを合わせる。

 刑事になる前では頻繁に観ていたのだが疎遠になっていた。程良い緊張感の中
で生活していくには、お笑い番組や芸能界の話を避ける方が良いのではと思うよ
うになり、それが習慣になってしまったのだ。
 番組の中身は、定番の熱愛報道である。大物歌手と新人女優のカップルが世間
を賑わせている事が分かると急に興味が無くなり、チャンネルを他へと変える。
画面に現れたのは時効間近の未解決事件である。
 後藤は今日の日付を確認して自分が目標に掲げていた23日(解決日)に残り
三日間を切っている事に気付く。自宅謹慎している自分が惨めに思えて、小林に
電話を掛けると小林は『身の危険を感じたら手を引く』事を交換条件にアリバイ
は責任を持って証言すると約束してくれた。

 後藤は自宅を出て最寄り駅から地下鉄に入ると丸の内線乗り場へ移動して新宿
三丁目駅を目指す。行き過ぎると新宿御苑前になるので注意しながらアナウンス
を聞いている。到着するまでに少し時間があったので確認の為、キーケースに着
いているロッカーキーの番号を確認すると三桁で214と刻印されているのが分
かる。
 目的地である新宿三丁目に到着すると正面出口を抜けて目当ての荷物用ロッカ
ーを探す。ロッカーが設置されている場所が遠目からも分かると足早に近づいて
番号を照合する作業を始める。しかし、何度見直しても214番は見当たらない。
そんな筈はないと頭の中で思いながらも別の考えが浮かぶ。
(他の出口にもロッカーが存在するのかもしれない)

 近くに居た駅員に聞いてみるが他の場所には設置されていない事を告げられる。
何とか手掛かりが欲しい後藤は、ここ何年かの間でロッカーが新しく設置された
可能性を問う。
「それだったら、三年前の夏頃に一度、新品に変わっていますね」
「具体的に何月かは覚えていますか?」
「随分、詳しく知りたがりますね。もしかして警察の方ですか?」
 後藤は現在、謹慎中の身で警察官と証明できる手帳を携帯していない為、額か
ら、うっすらと汗が滲み始める。
「いえ、友人からロッカーの鍵を預かってきたのですが該当する鍵番号が無いの
で荷物を取り出せなくて困っているんです」
「その事と日付が関係あるのでしょうか?」
 刑事の職業病で、つい何でも聞いてしまったのが不味かった。あきらかに怪し
いという目で、こちら見始めている。 
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