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捜査最終日
88. 十一日目(謹慎三日)、山城の告白⑦
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「残りの四人は無事だったんですか?」
「教師としては、そうなってくれる事を祈っていましたが二人は、
途中から、まるで狩りを楽しんでいるかのような不敵な笑みを私に
浮かべてましたので止められないと諦めました」
「止めなかったのは自殺者が出た訳じゃないからという理由ですか」
「それもありますが権力者たちの子供でも被害者になる可能性が在
り得る事を知って欲しかったのかもしれせん。特に教師を友達とし
て見てるような生徒は扱い辛かったですよ」
「タメ口で接して来る生徒に腹が立っていたという事ですかっ」
「具体的に言うなら、そうですね。私は教師と生徒は対等では無い
と考えています。友達関係を前面に出せば教師としての発言力の低
下を招く要因にもなりかねないですよね。暴言を繰り返さない大人
に育ってほしいという願いもあり、子供の内に上下関係は学んで欲
しいんですっ」
「山城先生。教育論に話がズレていますよ」
「少々熱くなりましたね。では続きを話させて頂きます」
山城は咳払いをして喉の調子を整え終わると前傾姿勢になりなが
ら話し始めた。
「五人目は男子生徒でして夜分の日課であるランニング中に襲われ
て肋骨にヒビを入れられました。絶対安静レベルでしたね」
「肋骨を狙ってくる所がエグイですね」
「飛び膝蹴りのような攻撃を喰らったと話してました」
「的確に当ててる時点で素人のレベルではないですね。顔は見られ
なかったんですね?」
「えぇ、突然の出来事でしたから白いニットキャップしか印象に残
らなかったと話しています。強襲された時は痛みで意識が飛んだと
も話してました。卒業してから室木に聞いた話だと陸上部としての
実績もあって足の速さには、ある程度の自信を持っていて敵に遭遇
しても絶対に逃げ切れると思っていたようです」
「つまり、逃げ道が無い場所で襲われたという事ですか?」
「決してそうではありませんでした。二人は、ランニングの経路を
全て把握してから入念に打ち合わせをして買い物袋を落下させる役
と攻撃する役に分かれたと言ってました。特に街灯の点灯が極端に
暗い場所を苦労して選んだそうですが死角を利用したんですよ」
「確かに見えない部分からの死角からだと反応速度は明らかに鈍く
なりますよね」
「あの時の事は大人になっても度々、夢に出て来て空手を習ってた
ら状況は変わってたんじゃないかって室木に愚痴ってたみたいです」
「陸上に特化してる事が悪い方に出てしまったんですね。しかし、
正直言いまして当時、友人でも無い室木に対して何故そこまで仕返
しに拘る事ができたのか理解に苦しむ所もあります」
「きっと何か新たな刺激が欲しかったんでしょう。誰も手を出さな
い相手に対して制裁できるであろう大義名分が欲しかったのかもし
れません。素行が目立った二人ではありましたが無関係な人間に対
して暴力行為をした記録は残っていません」
「売られた喧嘩買います! 的なものですか」
「当時は、そうだっかもしれませんね。今はどうなってるのか交流
が無いので分かりませんが……」
山城は、痩せ型の体格に似合わないゴツゴツした太い指を広げた
指先同士で、つけたり話したりを繰り返していた。
(モジモジした時の癖か? 女性がやるから可愛いんでしょうが。
かなりキモイんだけど……)
決して口に出来ない言葉を心の中で呟いて話の続きを待った後藤。
「教師としては、そうなってくれる事を祈っていましたが二人は、
途中から、まるで狩りを楽しんでいるかのような不敵な笑みを私に
浮かべてましたので止められないと諦めました」
「止めなかったのは自殺者が出た訳じゃないからという理由ですか」
「それもありますが権力者たちの子供でも被害者になる可能性が在
り得る事を知って欲しかったのかもしれせん。特に教師を友達とし
て見てるような生徒は扱い辛かったですよ」
「タメ口で接して来る生徒に腹が立っていたという事ですかっ」
「具体的に言うなら、そうですね。私は教師と生徒は対等では無い
と考えています。友達関係を前面に出せば教師としての発言力の低
下を招く要因にもなりかねないですよね。暴言を繰り返さない大人
に育ってほしいという願いもあり、子供の内に上下関係は学んで欲
しいんですっ」
「山城先生。教育論に話がズレていますよ」
「少々熱くなりましたね。では続きを話させて頂きます」
山城は咳払いをして喉の調子を整え終わると前傾姿勢になりなが
ら話し始めた。
「五人目は男子生徒でして夜分の日課であるランニング中に襲われ
て肋骨にヒビを入れられました。絶対安静レベルでしたね」
「肋骨を狙ってくる所がエグイですね」
「飛び膝蹴りのような攻撃を喰らったと話してました」
「的確に当ててる時点で素人のレベルではないですね。顔は見られ
なかったんですね?」
「えぇ、突然の出来事でしたから白いニットキャップしか印象に残
らなかったと話しています。強襲された時は痛みで意識が飛んだと
も話してました。卒業してから室木に聞いた話だと陸上部としての
実績もあって足の速さには、ある程度の自信を持っていて敵に遭遇
しても絶対に逃げ切れると思っていたようです」
「つまり、逃げ道が無い場所で襲われたという事ですか?」
「決してそうではありませんでした。二人は、ランニングの経路を
全て把握してから入念に打ち合わせをして買い物袋を落下させる役
と攻撃する役に分かれたと言ってました。特に街灯の点灯が極端に
暗い場所を苦労して選んだそうですが死角を利用したんですよ」
「確かに見えない部分からの死角からだと反応速度は明らかに鈍く
なりますよね」
「あの時の事は大人になっても度々、夢に出て来て空手を習ってた
ら状況は変わってたんじゃないかって室木に愚痴ってたみたいです」
「陸上に特化してる事が悪い方に出てしまったんですね。しかし、
正直言いまして当時、友人でも無い室木に対して何故そこまで仕返
しに拘る事ができたのか理解に苦しむ所もあります」
「きっと何か新たな刺激が欲しかったんでしょう。誰も手を出さな
い相手に対して制裁できるであろう大義名分が欲しかったのかもし
れません。素行が目立った二人ではありましたが無関係な人間に対
して暴力行為をした記録は残っていません」
「売られた喧嘩買います! 的なものですか」
「当時は、そうだっかもしれませんね。今はどうなってるのか交流
が無いので分かりませんが……」
山城は、痩せ型の体格に似合わないゴツゴツした太い指を広げた
指先同士で、つけたり話したりを繰り返していた。
(モジモジした時の癖か? 女性がやるから可愛いんでしょうが。
かなりキモイんだけど……)
決して口に出来ない言葉を心の中で呟いて話の続きを待った後藤。
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