黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

文字の大きさ
90 / 136
捜査最終日

注意:90. 十一日目(謹慎三日)、山城の告白⑨

しおりを挟む
 山城は瞑っていた目を開けると唐突に続きを話し始めた。
「残り二人の内の野球部に所属している時期エースと噂された男
子生徒が右目を失明しました」
「普通、そこまでしますか!?」
「体育でソフトボールをしていた際に黒沢が強振した金属バット
が、すっぽ抜けて、当日ピッチャーをしていたリーダー格の男子
生徒の右眼に命中しました」
「故意だという意見は無かったんですか?」
「黒沢は小学時代からコントロール抜群のピッチャーとして知ら
れてましてバッターとしても有名だったんです」
「二刀流ってやつですか?」
「嫌、そんな器用な感じではなく、三振かホームランの二択しか
ないような強振だったんです」
「だから、誰も不思議に思わなかったって事ですか……」
「言いたい事は分かります。黒沢専用の木製バットは何故か折れ
ていて使えなかったんですよ」
「でも金属バットの出所は何処ですか?」
「野球部員の庭村が素振り用のバッドとして使っていた金属バッ
トを持ち出したんです」
「そ、それなら余計に怪しまれるでしょう」
「二人が校内で仲良さそうに話している姿は誰も見てないですし
、金属バット使用の許可を出したのは体育の教員でしたからね」
「許可を出したってコールドゲーム寸前だったんですか?」
「コールドまでは行ってませんが5回表まで終わって出塁率が0
の圧倒的な差が付いてましたので向こうは5点もあるし、ハンデ
が無いと試合に面白みが持てないと言い出す生徒がいたんです」
「それで体育教員の許可が出たんですね。つまり生徒発信だった
事もあって事故扱いされたと」
「えぇ、片目が見えないとなるとピッチャーは務まらないですし
普段の生活にも支障が出るレベルですから障害者と同じ環境で、
学校生活を送って欲しいと言う両親の強い希望で転入して行きま
した。そこに行くまでに何度もリストカットしてたんですけどね
……」
「山城先生、いきなり刺激が強過ぎますよ~」
 薄ら笑いを浮かべながら真逆の本音を心の中で呟いていた。
(この野郎。言わなくても良い情報をぶっこんで来やがって胃の
調子が悪くなりそうだぜっ)
「最後の一人に室木のイジメの発端となったマユミが残った訳で
すが、ここまで七人の犠牲者を目撃してますから次は、自分だと
嫌でも気付かされます。それでも気丈に振る舞って一日も休まず
に学校へ来てましたが、あくまで保留扱いで自身に被害が感じら
れなかったから登校できたんです」
「つまり、最後の罰が下されたという事ですか?」
「えぇ、最後を何にするか不謹慎ながら私もドキドキしてました。
下駄箱、机、剣道部の部活のロッカーに度々、ユカの恥ずかしい
写真が送られていました。ユカの話だと写真はピンボケしていな
い写真だったそうで、次に狩られる警告な気がしていて精神を病
んで行ったそうです。次第に学校に来なくなると自宅にまで届く
ようになって友人宅を泊まり歩くようになるのですが、何処に行
っても逃げ場はなく写真が届き、写真を送られ続けた一ヶ月後に
は精神疾患者が入る療養施設に入所して人形を抱いてないと眠れ
ない状態になり、幼児退行を引き起こしていたみたいです」
「ネチネチ攻撃って奴ですか。最初の罰を最も効果的に使う為に
トップで印象を作って置いて視線をズラして行っての最初に戻る
っていうオチですね。しかも写真しか使っていないのに関わらず
、このやり方だと無言の圧力が半端ないですよね」
「ピンボケしていない写真を出してくる辺りは犯罪者と同じ思念
を持っているんじゃないかと疑った程ですよっ。ハッハッハッ」
 豪快に笑っている姿を観ていた後藤は山城が教え子の復讐達成
を心底喜んでいるように思えてならなかった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。  怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——  どれもがただの作り話かもしれない。  だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。  本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。  最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

処理中です...