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捜査最終日
103. 十一日目(謹慎三日)、高橋との会話
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高橋は部屋着の話題が終わると突然、眉間に皺を寄せながら口火を切った。
「黒沢警部の事を快く思っていない人が居るけど少なくとも私はそうは思って
いないんだっ」
「どうして、そう思うの?」
「それはね。黒沢警部が出張してた時があるじゃない。あの時、例の万引き事
件で、後藤君が失禁させちゃった大企業の社長の息子さんと市議会議員の息子
さんの父親にコンタクトを取って謝罪したらしいの。疲れているにも関わらず
にだよ。部下の不手際は上司の責任だって社長室や会議室でペコペコ頭下げて
たって噂になってる。相手側は、警部が平謝りする姿に優越感に浸っていたと
いう話も聞いたし……」
「そんな事があったんだ……」
後藤は初めて知る情報に戸惑いながらも自分が知ってしまった”もう一つの
顔”である躊躇なく暴力をふるっていた姿を記憶から消し去る事が出来なかった。
あの動画を見せる事で不快な想いをさせたくなかったし、高橋さんに危害が
及ぶのを避けたかったので心に留める事にした後藤。
「そうだ。実は失禁した部屋を掃除したの私だったの。二人分だったから凄く
大変だったんだよ。だから私から、後藤君に、お願いがあるんだ」
「高橋さんにまで迷惑掛けてたんだね! 本当にゴメン。出来る限りの事は、
させて貰うよ」
顔から火が出る程の恥ずかしい気持ちと情けない気持ちに挟まれながらも、
相手の要求を待った。
「うんとね。後藤君、最近、仕事ばっかりだったから骨休みじゃないけど一緒
に映画とかに行かないかなって思って」
「えっ俺で良ければ全然構わないけど。それってデートって事だよね?」
「デートって言えばデートになるけど違うって言えば違うかもだし、とにかく
未解決事件を追っている事で犯人から狙われるんじゃないかって専らの噂だか
ら一刻も早く手を引いて欲しいの」
「後、少しで真相に辿り着けるかもしれないんだ。だから少し待ってて欲しい」
「もちろん、そう言うと思ってたよ。私も少しだけ興味を持ったから資料室で
読んだの。鑑識官のサインの前にアンダーラインが引いてあったんだけど文字
は消されてて確認出来なかったかな。何か怪しい気がしたのは間違いないよ」
「鑑識官のサインの前に文字が書かれてかもしれないって……」
「何か思い当たる事でもあった?」
「うぅん。特に何も無いよ。驚いただけだよ」
(予想される文字は”ベテラン”の可能性が高いな。つまり俺は知らず知らずの
内にマインドコントロールさせられていたという事になる。これは重要な手掛
かりになるかもしれないから後で、じっくり考える必要があるな)
「そっか。推理が得意でも無い私の情報なんか役に立たないかもだよね」
「そんな事は無いって。何処にヒントがあるか分からないしさ。気付いた点を
教えてくれてありがとう」
後藤は高橋が自分の事を心配してくれている事が何より嬉しかったので傷付
けないように細心の注意を払って言葉を選んでいた。
「黒沢警部の事を快く思っていない人が居るけど少なくとも私はそうは思って
いないんだっ」
「どうして、そう思うの?」
「それはね。黒沢警部が出張してた時があるじゃない。あの時、例の万引き事
件で、後藤君が失禁させちゃった大企業の社長の息子さんと市議会議員の息子
さんの父親にコンタクトを取って謝罪したらしいの。疲れているにも関わらず
にだよ。部下の不手際は上司の責任だって社長室や会議室でペコペコ頭下げて
たって噂になってる。相手側は、警部が平謝りする姿に優越感に浸っていたと
いう話も聞いたし……」
「そんな事があったんだ……」
後藤は初めて知る情報に戸惑いながらも自分が知ってしまった”もう一つの
顔”である躊躇なく暴力をふるっていた姿を記憶から消し去る事が出来なかった。
あの動画を見せる事で不快な想いをさせたくなかったし、高橋さんに危害が
及ぶのを避けたかったので心に留める事にした後藤。
「そうだ。実は失禁した部屋を掃除したの私だったの。二人分だったから凄く
大変だったんだよ。だから私から、後藤君に、お願いがあるんだ」
「高橋さんにまで迷惑掛けてたんだね! 本当にゴメン。出来る限りの事は、
させて貰うよ」
顔から火が出る程の恥ずかしい気持ちと情けない気持ちに挟まれながらも、
相手の要求を待った。
「うんとね。後藤君、最近、仕事ばっかりだったから骨休みじゃないけど一緒
に映画とかに行かないかなって思って」
「えっ俺で良ければ全然構わないけど。それってデートって事だよね?」
「デートって言えばデートになるけど違うって言えば違うかもだし、とにかく
未解決事件を追っている事で犯人から狙われるんじゃないかって専らの噂だか
ら一刻も早く手を引いて欲しいの」
「後、少しで真相に辿り着けるかもしれないんだ。だから少し待ってて欲しい」
「もちろん、そう言うと思ってたよ。私も少しだけ興味を持ったから資料室で
読んだの。鑑識官のサインの前にアンダーラインが引いてあったんだけど文字
は消されてて確認出来なかったかな。何か怪しい気がしたのは間違いないよ」
「鑑識官のサインの前に文字が書かれてかもしれないって……」
「何か思い当たる事でもあった?」
「うぅん。特に何も無いよ。驚いただけだよ」
(予想される文字は”ベテラン”の可能性が高いな。つまり俺は知らず知らずの
内にマインドコントロールさせられていたという事になる。これは重要な手掛
かりになるかもしれないから後で、じっくり考える必要があるな)
「そっか。推理が得意でも無い私の情報なんか役に立たないかもだよね」
「そんな事は無いって。何処にヒントがあるか分からないしさ。気付いた点を
教えてくれてありがとう」
後藤は高橋が自分の事を心配してくれている事が何より嬉しかったので傷付
けないように細心の注意を払って言葉を選んでいた。
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