感情の無い僕が恋をした

サクラ

文字の大きさ
7 / 23

宜しくお願いします

しおりを挟む
その後、鬱金香は消えてしまった。
そもそも、最初からその場にいたか怪しいが……
だが、僕はそんなことより、鬱金香の一言の方が気になった。
『また後日、お会いしましょう。』
不気味な鬱金香の笑いと不可思議な言葉は僕を余計に狂わせた。
しかし、この日は少し寝坊をしてうかうか止まっていられないのだ。
それ程急がなければならない訳でもないが、こんなに余裕で止まっていられるほどの時間はない。
次の足を前に出した。
今度は誰もおらず、僕は速足にその場を後にした。
その後、学校へ行くとちょうどチャイムが鳴った。
僕の学校はチャイムまでにクラスに入ってなければならない。
チャイムが鳴り終わった頃に僕は靴箱にいた。
完璧に遅刻だ。
別にだからどうしたものではない。
今までの無遅刻記録がなくなるだけだ。
別に欲しいものではない。
普通に生活しているばとれるものだ。
自慢にも何にもならない。
昔、無遅刻、無欠席の皆勤賞を自慢したことがある。
「そんなの別に凄いことじゃないでしょ?
健康な人が普通に生活していればとれるものじゃない。」
と言われたことがある。
今でもその一言は僕のトラウマになっているんだろう。
その頃から僕は誰にも自慢話をしなくなった。
僕の自慢を誰かに粉々にされ、更なるトラウマをつくりたくはない。
僕は自分が思っいるよりも臆病者だった。
遅刻はもう覆らないのだ。
今から急いでも意味は無いだろう。
と僕は歩いて校内を回っていた。
僕の校内のお気に入りである、中庭へ出ていた。
草の香りが、僕のお気に入りである一番の理由だろう。
この匂いが嫌いだと言う人と会ったことがあるが、余り議論にはならずその話は終わった。
草の匂いを体の中に送り込み、体の中にある空気を吐き出した。
その時、教員に見つかった。
学校の中でも、厳しく怖い体育教師だ。
「何やってるんだ?
もうホームルーム始まってるだろう。」
登場からごつい。
「遅刻しちゃってさ。」
きっと、こんなことを言うとチャレンジャーと言われるんだろう。
「早く教室へ行け。」
彼はそれだけ言うと何処かへ行ってしまった。
何時もなら元気がないと気にするが、今日は朝から顔色が悪かった。
最愛の奥さんとでも喧嘩をしたのだろう。
服はシワがあり、ネクタイも何時もとは結びが違う。
そんな時に、彼はよっぽどのことがなければ怒らない。
しかし、二度目はないだろうと僕は渋々教室へ向かった。
教室へ入ると黒板の前に見慣れた奴が一人。
見慣れない位置に一つ分の机が置かれていた。
その人物を僕は知っていた。
忘れる訳がなかった。
あの不気味な笑みと眠そうな顔を……
「皆さん、宜しくお願いします。」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...