感情の無い僕が恋をした

サクラ

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この世の中、大概のことはお金で解決しますよ

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鬱金香は『転校生』として教室の中にいた。
鬱金香は自分の名を感売 買剩(かんばい ばいしょう)
どうせ偽名だろう。
しかも席は僕の隣だ。
虐めを疑ってもいいくらいだ。
「はじめまして、巍城颱虞甕さん。
宜しくお願いします。」
と白々しくも初対面を装って来た。
「こんにちは、鬱金香さん。
宜しくお願いします。」
とあえて、使っていた偽名を出し、はじめましても言わなかった。
だが、すぐに失敗したと後悔した。
「嫌ですね。
貴方がその名を出すのでしたら、僕は貴方のことを亜爾加里と呼ばなければならなくなりますね。」
とわざとらしく言ってきた。
「私は鬱金香の時に亜爾加里に出逢いました。
ですがこの教室に亜爾加里と呼ばれる方はいらっしゃらいようですね。
亜爾加里と呼ぶ人間が居ないならそれ同様、鬱金香と呼ぶ方も居ないのですよ。」
とまだ不気味に笑う。
わざとらし過ぎて、怖くなった。
僕はこいつには勝てない。
こんな時はすぐに折れた方が身のためだ。
「そうですか。
所で、貯古齢糖は?」
貯古齢糖の名を出せば怒られるかと思ったが、僕はこれ以外の彼の名を知らなかった。
「彼は店でお留守番ですよ。」
怒られずにすんだことは、良かったと言っておこう。
「それで?何故貴方は此処に?」
「ちょっとした、冒険ですよ。
自分が見たことのない世界を見てみたいと思っただけです。」
と裏のない顔で笑っている。
が、それが何よりも怖かった。
早くこの時間が終わって欲しいと願わずには居られなかった。

その時間は本当は五分と短い時間だった。
この五分は僕の人生で一番長い五分だ。
「それでは、巍城颱虞甕さん放課後、校内を案内して下さい。」
と言ってきた。
冗談ではない。
僕はとは長く共に居たくない。
それなのに、何故僕が案内をしなければならないのだろう。
「僕は案内は得意じゃない。
他の人を頼ってくれるかな?」
これで諦めてくれればいいと浅はかながら願っていた。
「そうですか。
ですが貴方は私に聞きたいことがおありの様でしたけれど……」
わざとらし過ぎる。
「分かりました。
放課後ですね。」
と渋々、嫌々、校内を案内することになった。
「ここが図書室で、ここが保健室、それでここが視聴覚室……」
と歩き回りながら僕は場所だけ教えた。
他に教えるべきことはない。
知りたければ自分で調べるか僕以外に聞けばいい。
不必要に関わりたくなどなかった。
ただ、相手が関わってきてしまうものをどの様に回避すればいいのか。
僕には分からなかった。
きっと僕には、永遠に分からない問題なのだ。
この答えは誰に聞けば教えてくれるのだろうか。
鬱金香は知ってそうだ。
ただ、鬱金香に聞くくらいなら永遠に分からないままの方がましだ。
「そうですね。
巍城颱虞甕さんの疑問の答えを私は知っていますが、私は利益もなしに貴方に教えることはしませんね。」
心の中を読むことが出来るなら、僕の嫌がることなんてしないで欲しい。
人の嫌がることはやめなさいと教わらなかったのか。
「教わりましたね。
しかし人が嫌がることをしてはならないなら、人は人と関わることなど出来ませんがね。
人と関わらずに生きてはいけないとも教わりましたね。
私は生きていく道を選んでいるだけですよ。」
屁理だ!
これ程までに鬱陶(うっとう)しい屁理屈を言う奴を初めて見るぞ。
「まぁ、安心して下さい。
僕は巍城颱虞甕さんには危害は与えませんよ。」
と笑顔で言っている。
こいつの『には』に嫌な感じはするが。
「危害を与えないじゃなく、関わって欲しくないけどね。」
どうせ心が読まれるのなら、公に口にした方がましだ。
「そんな悲しいことを言わないでくださいよ。
僕は利益のあることしかやらない人間ですから。」
「じゃあお前がこんなことをしてまで得る利益ってなんだ?」
「それを答えると私の利益が減ってしまいますからね。
減る分かもしくはそれ以上の利益を巍城颱虞甕さんが私に与えてくれるなら、話は別ですがね。」
もしくはそれ以上ってどんだけがめついんだよ。
「商売人の癖みたいなものですかね?どうしてもそれ以上を求めてしまうんですよ。」
そんな笑顔でがめついことを言うな。
「がめついだなんてそんなこと言わないで下さい。
それ以上と言うのは確かに、少し欲張りでしたがそれと同じくらいの利益を望むことこの世の常ですよ。」
お前がこの世を語るか。
「じゃあ、その利益に見合う対価ってなんだ?」
「金ですね。」
ドヤ顔で言うな。
全くカッコイイこと言ってないぞ。
「この世の中、大概の対価はお金で解決しますよ。」
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