感情の無い僕が恋をした

サクラ

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綺麗なものなんて、存在しないんですから

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おかしなことが起こった。日常生活上おかしなことが起こっても無理はない。
しかし、これは確かにおかしなことだ。どうしてそうなったのか説明して欲しい。
今朝の学校。毎日のごとく、僕についてくる感売買剩が賞を取ったそうだ。作文で。
それだけならば、何の問題もない日常だろう。
おかしなこととは、その賞を取った作文が反省文ということだ。
誰が反省文で賞を取る奴がいるのだ。そもそも、なぜ反省文なんかをコンクールに出すのだ。

意味が分からない。

何をどのように書けばコンクールで優勝するのだ。しかも、反省文が!!
作文が書けない僕としては羨ましいような、何か裏があるのではないかと疑ってしまう。
まぁ、感売買剩の性格を考えれば裏があってもおかしくない。

おかしくない。

嘘のように明るい笑みの感売を見ながら、不気味さを感じられずにはいられなかった。
「わー!ありがとうございますー。」
なんてキャラにもないことを……。初めてあった頃のつかめない性格はどこに行ったのやら。
しかし、同じ反省文を書いた身としては(正確には姉が書いたのだが。)
恥ずかしいことこの上ない。まぁ、反省文なんて書いていればなんでもいいと思っている所がある。
実際は、その程度だろう。時間をあまりかけたくない文章。
それで賞が取れる!?真面目に書いた人間に謝れ!
感売以上に考えて、時間をかけた人間の方が多いだろう。
それにもかかわらず、まさかの優勝。土下座して謝れ。
単純に、僕が見たいだけになっている。趣味を疑われかねないからこれ以上言うのはやめておこう。
嬉しそうに席につく感売がわざとらしく僕に賞状を見せびらかせてくる。
うざい。やっぱり、土下座してしまえ。
感売も学校へ来てから性格変わったが、僕も僕で変わっている。
前の僕は、こんなことを言う人間ではなかった。はずだ。
人のことなんて言えなかった。落ち込んでいる僕にまだ、わざとらしく賞状を見せてくる。
僕は無視して、窓の外を眺めた。遠くで鳥が2羽、空を飛んでいる。
あの鳥にはどんなふうに、この世界が見えているのだろうか。
きっと、僕には分からない。僕なんかには、見たことがない世界があるのだろう。
美しいか汚いか。それすらも僕には分からない。
僕の背中を見る、感売の見え方も僕には分からない。
まぁ感売に関しては、考えていることさえも分からないが。
賞状の影で、誰にも聞かれない。誰にも届かず、誰にも認められない。
人に認められない声は、ある意味言われていないのと同じこと。
彼の声は、誰かに認められることを嫌っているように静かに隠れて、誰にも認められずにいる。
彼の消える声は、誰にも認められない。
「あの鳥には、この世界は汚く見えていますよ。この世になど、綺麗なものなんて、存在しないんですから。」
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