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目を開けることはなかった
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『前置きをしておこう。これは、1つのお話だ。
結末を迎えないまま、閉じられたお話だ。
お終いの中で、生き続ける彼らの物語だ。
これは、お終いで閉じられた、彼らのお話だ。』
「やれやれ、このままですと、全然話が進みませんね。
そこで、いつもの主役と代わって、感売が話をさせていただきます。
とは言っても、皆さんは鬱金香の方が馴染み深いでしょうか?
ハハッ。しかし、それを言い出したらきりがありませんね。
今日は感売買剩でいかさせていただきます。
今までの話を、私なりに簡単にまとめさせていただきます。
この話の主人公である、巍城颱虞甕さんにも『休み』というものが必要ですので。
話は変わりますが、今は学校に通わせていただいております。
私の思惑を皆さんに言ってしまうとですね。私は、巍城颱虞甕さんに分かって欲しいのですよ。
自分の感情というものを。彼は私のことを感情がないと思っていたことがあったようでしたが、当たり前とも言っておきましょう。
私も以前、『感情屋』に感情を売ったものですので。
感情屋とは、私が勝手につけただけですので、お気になさらないでください。
本当の名は、主人である貯古齡糖しか知らないものでね。
あっそう言えば、巍城さんは私が貯古齡糖を雇っていると考えているようでしたが、実は全く逆でしてね。
まぁこれは長くなるので、また後日。
さてさて、私情を話して話が脱線してしまいましたね。話を戻しましょう。
同じ学校に通う理由は、まぁ『感情屋』を継いで欲しいなんて思いません。
それは、巍城さんには荷が重いというものでしょう。
ただ、巍城さんを見ていると、昔の自分を思い出して仕方ないんですよね。
感情を必要としていなかった自分とまるで鏡みたいに……。
そういう人間を見ると、後悔させたくなるんですよ。
ちなみに言っておきますが、私はSではありません。
過ちを正したいと思っているだけです。心から。
『感情を売った者に後悔をしない者はいない。』
『感情屋』の教訓みたいなものですね。例外はありませんよ。
必ず後悔し、自分の感情を取り戻そうとする。
それを巍城さんに分かって欲しいという私の良心です。
その為に、遠くから見守っているのですが、どうも彼に嫌われてしまって……。
一緒に隣を歩くだけでも、難しくなってしまいました。
まぁ私がいなくとも、彼は後悔することに変わりないのですがね。
しかし、彼は少し異例でした。遅かったのですよ。
彼は、心からいらないと思っていたようです。感情を。それゆえに、遅すぎた。
人は余り長い時間、感情というものがないと、感情そのものを受けいられなくなるのですよ。
分かりやすく例えるなら、自分の中に他人の感情を入れた感じになりますね。
違う自分のものではない感情が自分の制御なく動き回る。そんな感じでしょうか。
拒絶してしまう人も少なくないのです。彼は受け入れることは出来るのでしょうか。
人の人生を鮮やかにする感情を売った今の彼の人生はモノクロです。
人はモノクロで生きていけるほど、強い人間はいないのですよ。
『人は思うほど強くない。』貯古齡糖が昔言っていた言葉でしたね。
全くそのとおりだと思いますよ。強さとは人間の中にはあるはずがない要素です。
食物連鎖の中ではトップの方に立つものではありますが、所詮、道具があってこそでしょう。
人間は強くない。感情がない人生を生きていける強さは備わっていないのでよ。
彼もまた、その1人。弱い人間は色を取り戻す時、本当の弱さを理解するのです。
絶対なることの出来ない強さ。自分が未熟だったと知らされる時。
人は初めて、美しくなるのです。
それでは、私のお話も終わりとなりました。
楽しんでいただけたでしょうか。
お話は進むことはありませんでしたが、それは主人公である巍城颱虞甕さんに任せるとしましょう。
彼の矛盾を正し、私の独り言の存在を認めていただいている皆さんにだけは、話の道筋を分かりやすくなればと思ってのことです。
彼の知らない先の話もふまえ、『感情屋』のことや私のことを知っていただく機会になれば、これ以上ない喜びです。」
『そう言って、あの男は静かに目を閉じるのだった。
満月の夜にだけ現れる、感情屋。
彼の訪れた夜は、果たして満月だったのだろうか。
丸い月が窓から男の顔を照らしていたが、男が目を開けることはなかった。
男の目には、うつらないからだ。見えないからだ。
綺麗なものが。彼もまた、同じ結末を辿るのかもしれない。
「この世に綺麗なものなんて存在しないのですよ。」
と言いながら、やはり男は目を開けることはなかった。』
結末を迎えないまま、閉じられたお話だ。
お終いの中で、生き続ける彼らの物語だ。
これは、お終いで閉じられた、彼らのお話だ。』
「やれやれ、このままですと、全然話が進みませんね。
そこで、いつもの主役と代わって、感売が話をさせていただきます。
とは言っても、皆さんは鬱金香の方が馴染み深いでしょうか?
ハハッ。しかし、それを言い出したらきりがありませんね。
今日は感売買剩でいかさせていただきます。
今までの話を、私なりに簡単にまとめさせていただきます。
この話の主人公である、巍城颱虞甕さんにも『休み』というものが必要ですので。
話は変わりますが、今は学校に通わせていただいております。
私の思惑を皆さんに言ってしまうとですね。私は、巍城颱虞甕さんに分かって欲しいのですよ。
自分の感情というものを。彼は私のことを感情がないと思っていたことがあったようでしたが、当たり前とも言っておきましょう。
私も以前、『感情屋』に感情を売ったものですので。
感情屋とは、私が勝手につけただけですので、お気になさらないでください。
本当の名は、主人である貯古齡糖しか知らないものでね。
あっそう言えば、巍城さんは私が貯古齡糖を雇っていると考えているようでしたが、実は全く逆でしてね。
まぁこれは長くなるので、また後日。
さてさて、私情を話して話が脱線してしまいましたね。話を戻しましょう。
同じ学校に通う理由は、まぁ『感情屋』を継いで欲しいなんて思いません。
それは、巍城さんには荷が重いというものでしょう。
ただ、巍城さんを見ていると、昔の自分を思い出して仕方ないんですよね。
感情を必要としていなかった自分とまるで鏡みたいに……。
そういう人間を見ると、後悔させたくなるんですよ。
ちなみに言っておきますが、私はSではありません。
過ちを正したいと思っているだけです。心から。
『感情を売った者に後悔をしない者はいない。』
『感情屋』の教訓みたいなものですね。例外はありませんよ。
必ず後悔し、自分の感情を取り戻そうとする。
それを巍城さんに分かって欲しいという私の良心です。
その為に、遠くから見守っているのですが、どうも彼に嫌われてしまって……。
一緒に隣を歩くだけでも、難しくなってしまいました。
まぁ私がいなくとも、彼は後悔することに変わりないのですがね。
しかし、彼は少し異例でした。遅かったのですよ。
彼は、心からいらないと思っていたようです。感情を。それゆえに、遅すぎた。
人は余り長い時間、感情というものがないと、感情そのものを受けいられなくなるのですよ。
分かりやすく例えるなら、自分の中に他人の感情を入れた感じになりますね。
違う自分のものではない感情が自分の制御なく動き回る。そんな感じでしょうか。
拒絶してしまう人も少なくないのです。彼は受け入れることは出来るのでしょうか。
人の人生を鮮やかにする感情を売った今の彼の人生はモノクロです。
人はモノクロで生きていけるほど、強い人間はいないのですよ。
『人は思うほど強くない。』貯古齡糖が昔言っていた言葉でしたね。
全くそのとおりだと思いますよ。強さとは人間の中にはあるはずがない要素です。
食物連鎖の中ではトップの方に立つものではありますが、所詮、道具があってこそでしょう。
人間は強くない。感情がない人生を生きていける強さは備わっていないのでよ。
彼もまた、その1人。弱い人間は色を取り戻す時、本当の弱さを理解するのです。
絶対なることの出来ない強さ。自分が未熟だったと知らされる時。
人は初めて、美しくなるのです。
それでは、私のお話も終わりとなりました。
楽しんでいただけたでしょうか。
お話は進むことはありませんでしたが、それは主人公である巍城颱虞甕さんに任せるとしましょう。
彼の矛盾を正し、私の独り言の存在を認めていただいている皆さんにだけは、話の道筋を分かりやすくなればと思ってのことです。
彼の知らない先の話もふまえ、『感情屋』のことや私のことを知っていただく機会になれば、これ以上ない喜びです。」
『そう言って、あの男は静かに目を閉じるのだった。
満月の夜にだけ現れる、感情屋。
彼の訪れた夜は、果たして満月だったのだろうか。
丸い月が窓から男の顔を照らしていたが、男が目を開けることはなかった。
男の目には、うつらないからだ。見えないからだ。
綺麗なものが。彼もまた、同じ結末を辿るのかもしれない。
「この世に綺麗なものなんて存在しないのですよ。」
と言いながら、やはり男は目を開けることはなかった。』
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