3 / 3
僕の世界
S級魔道士の意思
しおりを挟む
長い廊下を歩き、大きな扉の前についた。
自分の身長の十倍はあるだろうという大きな扉だ。
扉が開くと、真ん中に堂々と座る大王様。
その隣に若いにも関わらず、大王様と同じくらい堂々としている王子様。
王子様とは反対に座っている、眉を潜め苦しい顔をしている王女様。
王子様の隣には、小さくもその背筋はピンと伸びている姫様。
そして女王様の隣には、空いた椅子が一つ置かれている。
そんなことには目もくれず、真っ直ぐと前だけを見て、僕は歩き出した。
普通よりも、少し遠めの場所で跪く。
もう少し前でも良かったなと心の中で思った。
「顔を上げなさい。」
と優しくも、強い声で大王様は話しかける。
僕は、真っ直ぐに立った。
目線を少し上げ、大王様と目を合わせる。
前会った時と比べると、目尻の方にシワが増えた。
やはり、戦争は上手くいっていないようだ。
「S級魔道士の貴方様に頼みがございます。」
女王様は厳しい声で、さらに眉を潜める。
「お断りいたします。」
その言葉に、座っていた王家の人々は一斉に目を見開いた。
ただ一人、大王様を除いては。
「お断りいたしますってあなた本気で言っているの?」
優しい声の姫様が顔を崩して投げかける質問。
それほど、重要なことだったのだろう。
王族にとって、戦争に勝つことは…。
「王族の皆様の顔色。それからここ最近の街中の様子。
そして、私が王宮にまで呼ばれた理由。この全てを考えれば、答えなんて簡単に出てきます。」
その言葉に、みんなが顔を曇らせる。
「戦争で大幅に不利になったのですね。」
その言葉は、誰もが思い、隠し、ねじ伏せた真実。
だからこそ、見つけなければならないのだ。
隠された真実を。
だがその言葉は、女王様の逆鱗に触れた。
この国は、王族が皆優しい。
その優しさからか、この国には多くの人が集まった。
そのおかけで、この国は大国の仲間入りができた。
しかし、戦争になると人はいるものの、戦闘力となる魔道士がいない。
それがこの国の弱点でもあり、強みだった。
平和な国だったのだ。戦争が起こる前までは…。
そんな優しい王族が一人の魔道士の言葉で怒りを表す。
それこそ、この国の問題を表しているのと同じことだ。
だからこそ、僕ははっきりと言ったのだ。
「私にも、S級魔道士としての意志がございます。」
真っ直ぐに見つめる。
一呼吸おき、さらに続ける。
「この戦争は、終わらせるべきだ。
確かに、僕一人が入れば、相手の国をボコボコにすることは容易い。
しかし、それで戦争は終わるのでしょうか。
次につながる事はないでしょうか。僕は、戦争をしたくて、戦士になりたくて魔道士になったわけでも、この国へ来たわけでもございません。」
そう言い放ち、僕は扉へと足を向けた。
「貴方方のお優しい心があれば、負けを認めても、民が不幸になることはないと思いますよ。」
とだけ言葉を残し、僕は王宮を出て行った。
王宮から出ると、空は綺麗な色に染まっていた。
もう夕方頃だ。そう思い、足早に家へと帰った。
自分の身長の十倍はあるだろうという大きな扉だ。
扉が開くと、真ん中に堂々と座る大王様。
その隣に若いにも関わらず、大王様と同じくらい堂々としている王子様。
王子様とは反対に座っている、眉を潜め苦しい顔をしている王女様。
王子様の隣には、小さくもその背筋はピンと伸びている姫様。
そして女王様の隣には、空いた椅子が一つ置かれている。
そんなことには目もくれず、真っ直ぐと前だけを見て、僕は歩き出した。
普通よりも、少し遠めの場所で跪く。
もう少し前でも良かったなと心の中で思った。
「顔を上げなさい。」
と優しくも、強い声で大王様は話しかける。
僕は、真っ直ぐに立った。
目線を少し上げ、大王様と目を合わせる。
前会った時と比べると、目尻の方にシワが増えた。
やはり、戦争は上手くいっていないようだ。
「S級魔道士の貴方様に頼みがございます。」
女王様は厳しい声で、さらに眉を潜める。
「お断りいたします。」
その言葉に、座っていた王家の人々は一斉に目を見開いた。
ただ一人、大王様を除いては。
「お断りいたしますってあなた本気で言っているの?」
優しい声の姫様が顔を崩して投げかける質問。
それほど、重要なことだったのだろう。
王族にとって、戦争に勝つことは…。
「王族の皆様の顔色。それからここ最近の街中の様子。
そして、私が王宮にまで呼ばれた理由。この全てを考えれば、答えなんて簡単に出てきます。」
その言葉に、みんなが顔を曇らせる。
「戦争で大幅に不利になったのですね。」
その言葉は、誰もが思い、隠し、ねじ伏せた真実。
だからこそ、見つけなければならないのだ。
隠された真実を。
だがその言葉は、女王様の逆鱗に触れた。
この国は、王族が皆優しい。
その優しさからか、この国には多くの人が集まった。
そのおかけで、この国は大国の仲間入りができた。
しかし、戦争になると人はいるものの、戦闘力となる魔道士がいない。
それがこの国の弱点でもあり、強みだった。
平和な国だったのだ。戦争が起こる前までは…。
そんな優しい王族が一人の魔道士の言葉で怒りを表す。
それこそ、この国の問題を表しているのと同じことだ。
だからこそ、僕ははっきりと言ったのだ。
「私にも、S級魔道士としての意志がございます。」
真っ直ぐに見つめる。
一呼吸おき、さらに続ける。
「この戦争は、終わらせるべきだ。
確かに、僕一人が入れば、相手の国をボコボコにすることは容易い。
しかし、それで戦争は終わるのでしょうか。
次につながる事はないでしょうか。僕は、戦争をしたくて、戦士になりたくて魔道士になったわけでも、この国へ来たわけでもございません。」
そう言い放ち、僕は扉へと足を向けた。
「貴方方のお優しい心があれば、負けを認めても、民が不幸になることはないと思いますよ。」
とだけ言葉を残し、僕は王宮を出て行った。
王宮から出ると、空は綺麗な色に染まっていた。
もう夕方頃だ。そう思い、足早に家へと帰った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる