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1話 発情★
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――なぜ、こうなったのだろう。ランは薄もやのかかったような頭で考えた。
「ハッ……ハッ……」
目の前のレクスは息を荒くして、顔を紅潮させ、あまつさえ口の端からよだれを足らしている。あの誇り高く、高貴な男とは思えない姿で。でもそれはきっと……自分も同じようなんだろう、とランは思った。レクスの白銀の髪がランの顔にかかる。その若草色の瞳はじっとランを熱っぽく見つめている。
「レクス……やめて。手を放して」
「ラン……」
「やめてってば!」
強引に振りほどこうとした手が、ベッドのサイドチェストの上の灯りと水差しをなぎ倒す。ガチャンと派手な音を立ててそれは絨毯の上で砕けた。だが、レクスの視線はランから外れることは無かった。
「んっ……う……」
噛みつくようなキスをレクスにされて、ランは頭の芯が痺れるような感覚を覚える。こんなこと望んでいないのに、でも自分は欲している。この男を……。
「……いやだっ……怖い……」
「なにが?」
レクスが口を開いた。レクスも混乱をしているようである。荒げた息の間から、絞り出された声は、少し震えていた。
「……だって、知らない」
そう、ランは知らない。この体に駆け巡る激しすぎる情動だって、自分では満たしようのない渇望だって、何一つ。だって、ランはずっと成長不良と言われ、ベータともオメガとも判別されないまま生きてきたのだ。
「やめて……しっかりして、レクス」
だから、レクスとは友人として側にいようと、そう思って今まで過ごして来た。なのに……急にランは発情を起こした。最初は眩暈がするな、と思っただけだった。急に心臓がドキドキして、自分になにが起きているのか理解したのは目の前のレクスの変貌を見てからだった。
「レクス、やめ……」
レクスの手が乱暴にランの服を剥いでいく。ランは抵抗にもならない身じろぎをする。
「お前……王族だろ……僕なんか……っ……あっ」
レクスの口づけが胸に落ちる。突起を軽く噛まれ、ランはビクリと魚のように背を反らした。
「ラン……お前が欲しい……ずっと欲しかった」
「何言ってるんだよ!」
逞しいレクスの体にのしかかられて、ランは呼吸も苦しい中叫んだ。
――欲しかった? 出来損ないの自分に何を言ってるんだ!
ランは心の中でそう嘆く。ランだって自分がまともな体だったら、違う形でレクスの側に居たかった。そう、だって……。
「……嫌か?」
レクスはランの抵抗を受けながら、ランに聞く。レクスはレクスで必死に情動に抗っているようだ。ランの黒髪を撫でる手はあくまで優しい。その感触に、ランの青い眼は涙が浮かべる。
「嫌……じゃ……ない……」
嫌では無かった。だって、全身がレクスを求めている。初めての発情に溺れながら、ランはレクスの手を握り返した。
「ラン……」
その言葉を聞いて、レクスはぶるりと身を振るわせるとランの上に覆い被さった――。
「ハッ……ハッ……」
目の前のレクスは息を荒くして、顔を紅潮させ、あまつさえ口の端からよだれを足らしている。あの誇り高く、高貴な男とは思えない姿で。でもそれはきっと……自分も同じようなんだろう、とランは思った。レクスの白銀の髪がランの顔にかかる。その若草色の瞳はじっとランを熱っぽく見つめている。
「レクス……やめて。手を放して」
「ラン……」
「やめてってば!」
強引に振りほどこうとした手が、ベッドのサイドチェストの上の灯りと水差しをなぎ倒す。ガチャンと派手な音を立ててそれは絨毯の上で砕けた。だが、レクスの視線はランから外れることは無かった。
「んっ……う……」
噛みつくようなキスをレクスにされて、ランは頭の芯が痺れるような感覚を覚える。こんなこと望んでいないのに、でも自分は欲している。この男を……。
「……いやだっ……怖い……」
「なにが?」
レクスが口を開いた。レクスも混乱をしているようである。荒げた息の間から、絞り出された声は、少し震えていた。
「……だって、知らない」
そう、ランは知らない。この体に駆け巡る激しすぎる情動だって、自分では満たしようのない渇望だって、何一つ。だって、ランはずっと成長不良と言われ、ベータともオメガとも判別されないまま生きてきたのだ。
「やめて……しっかりして、レクス」
だから、レクスとは友人として側にいようと、そう思って今まで過ごして来た。なのに……急にランは発情を起こした。最初は眩暈がするな、と思っただけだった。急に心臓がドキドキして、自分になにが起きているのか理解したのは目の前のレクスの変貌を見てからだった。
「レクス、やめ……」
レクスの手が乱暴にランの服を剥いでいく。ランは抵抗にもならない身じろぎをする。
「お前……王族だろ……僕なんか……っ……あっ」
レクスの口づけが胸に落ちる。突起を軽く噛まれ、ランはビクリと魚のように背を反らした。
「ラン……お前が欲しい……ずっと欲しかった」
「何言ってるんだよ!」
逞しいレクスの体にのしかかられて、ランは呼吸も苦しい中叫んだ。
――欲しかった? 出来損ないの自分に何を言ってるんだ!
ランは心の中でそう嘆く。ランだって自分がまともな体だったら、違う形でレクスの側に居たかった。そう、だって……。
「……嫌か?」
レクスはランの抵抗を受けながら、ランに聞く。レクスはレクスで必死に情動に抗っているようだ。ランの黒髪を撫でる手はあくまで優しい。その感触に、ランの青い眼は涙が浮かべる。
「嫌……じゃ……ない……」
嫌では無かった。だって、全身がレクスを求めている。初めての発情に溺れながら、ランはレクスの手を握り返した。
「ラン……」
その言葉を聞いて、レクスはぶるりと身を振るわせるとランの上に覆い被さった――。
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