7 / 15
無職の基本ってなあに?
しおりを挟む
一週間後。
驚くことに俺のスタンプ第二弾は結局二件しか売れなかった!
またしても売り上げ60円!
ぴょこんと一瞬起き上がり、平坦になる折れ線グラフ。
これが心電図なら死んでいるところだった。
なぜだ……。虚無ブームは来ないのか……。
JKよ、JCよ、そしてJDよ……。虚無はお嫌いか?
「ぬうう。そんな馬鹿なっ! これは夢か? 夢なのか!?」
再び俺はパソコンに向かって叫ぶことになったのだった。
「やはり、なんでも基本から入らないとな」
「そうだねえ、お兄ちゃん」
虚無スタンプショックから三日が経ち。
俺はすっかり立ち直っていた。
たしかにスタンプが2件しか売れなかったのはショックだが、くよくよしても仕方がない。
俺は精神的にタフなタイプの無職なのだ。
やるべきことは無限にある。無職の無は無限の無でもあるのだ。
「lineスタンプも悪くはないが、いきなりはハードルが高すぎた。あれは有名人とか人気者がやることだ」
「そう言われてみれば、そうだねえ」
夏葉はホットパンツにTシャツ姿。ソファーに身体を投げ出し、ほとんど動かない。
無職の家は絶賛節電中である。
出来るだけエアコンも使用しない。窓を開け、自然の風だけですごす。
動かすのは頭と口だけで十分なのだ。
「まずは基本から入って、それから発展するべきだったんだな」
俺は別にlineスタンプを諦めたわけではない。ただちょっと順番を間違えたとは感じている。lineスタンプのパワーを発揮させるにはまだ条件が整っていない。
lineスタンプの販売には宣伝力が必要。そしてほしくなるようなブランド力も必要だ。
いまの俺にはそれがない。
無論、作ったlineスタンプがなくなるわけではないのだから、いまはゆっくりと休ませておけばいいのだ。いずれ役に立つ日が必ず来る。
焦ることはない。まずは基本からだ……。
「お兄ちゃんの言うことはもっともだけども……無職の基本ってなあに?」
その口ぶりからは「無職なのに基本って……」との否定的ニュアンスが感じ取れる。
夏葉は相変わらずソファーに寝転がったまま。重力のなすがまま、ソファーからだらんとこぼれ落ちる手足。
「無職の基本、それはアフィリエイトだ」
俺はきっぱりと断言する。
「アフィリエイト?」
夏葉は俺に顔だけを向けて尋ねる。
どうやらアフィリエイトを知らないらしい。
「ネットの広告のことだ。自分のページに広告を貼って、宣伝の料金を貰う」
「ああ、スマホやってるといっぱい出てくるねえ、ぶわーって邪魔なのが」
夏葉はほとんどパソコンをやらない。
普段は基本スマホ。そのスマホも主にスマホゲームのために使用している。
「そう。ネットの世界は広告にあふれている。そして個人でやっているブログなんかにも広告を貼って、収入を得ることが出来るんだ」
「なんか聞いたことがあるよ。でも儲かるの?」
「ああ、トップレベルだと月に何百万も稼ぐらしい」
「えーっ! すごいねー!」
ソファーに寝転がったまま、びた一文動かなかった夏葉もむくりと身体を起こす。
たしかにそれほどの金額だ。なんだったら、跳ね起きるくらいしてもいい。
しかしこれは誇張でもなんでもない。実際にトップレベルの有名ブロガーたちは年収数千万に到達しているらしい。
「絶対働かないマンである俺がまず手をつけるべきはアフィリエイトだった」
「でもさー、アフィリエイト? なんか怪しいよね? 犯罪とか詐欺とかしないでよね。お兄ちゃんが捕まったら、私は悲しいよ」
アフィリエイトは怪しい。夏葉でなくとも誰もがなんとなく抱いているイメージである。
絶対働かないマンは正義の無職。もちろん犯罪に手を染めるつもりはない。
「夏葉、どうしてアフィリエイトは怪しいと思う?」
「えーと……そう言われると……なんとなく……秒速一億円的な?」
「そいつは情報商材のアフィリエイトだ。たしかにそれ系は怪しい」
「そうだよね。お兄ちゃん、それに手を出しちゃうの……?」
夏葉は不安げな眼差しで俺を見つめている。
「そんなものはやらん! なぜなら俺は絶対働かないマンだからだ。そいつは与沢翼マンの仕事だ」
「そっか、よかった……。けど……」
「けど、やっぱり怪しいか?」
夏葉は俺の問いにこくんとうなずく。
「たしかに秒速で一億円は怪しい。ほかにもLINEで時給何十万的な広告なんかも怪しい。健康食品の初回無料もちょっと怪しい。でもな、よく考えてみろ、それは広告が怪しいんじゃなくて、売り物が怪しいんじゃないのか?」
「そ、そうだね」
「つまりはちゃんとした売り物を扱えば、広告も怪しくはない。ブログなどにアマゾンの商品の宣伝が張り付けてあるだろ。あれは別に怪しくないだろ」
「……うん。怪しくない」
「いいか、そもそも、この世界は広告、宣伝であふれている。テレビのCM、雑誌、新聞にも。電車の中吊り、バスの車体にも。宣伝自体が悪いんじゃない。悪い物を宣伝したらダメなだけなんだ」
「なるほど……。そっか。そうだったんだね。さすがお兄ちゃんだよ」
何度も大きくうなずく夏葉。
どうやら理解してくれたようだ。
「俺はもちろん怪しげな商品など宣伝しない。ちゃんとしたブログを作り、ちゃんとした商品の宣伝をする! なにせ無職界のスーパースターだからな」
「そうだよね。お兄ちゃんが悪いことするわけないよね。それで、なにを宣伝するの?」
「むろん、ある!」
俺もなにも適当にアフィリエイトなどと言い出したわけではない。
なんだかわかんないけど、アフィリエイトでちょっと稼げたらいいな……。そんなことは初心者の無職が考えることである。
俺はむろん初心者の無職ではない。無職界の頂点を目指す男。
やるからにはしっかりとした構想が必要。
この三日間、俺はその構想を練り、すでにひとつの結論に至っていたのだ。
「いいだろう。まだ作り始めたばかりだが、俺のサイトを見せてやろう」
俺は夏葉を俺の部屋へといざなう。
ここは百の言葉よりも実物を見せるべきだ。
まだお披露目には少々早いがまあ他の誰でもない我が愛すべき妹、特別に見せてやることにしよう。
俺はインターネットブラウザを立ち上げ、目下制作中のサイトを表示させる。
「夏葉、お前にだけ特別に見せてやる。これが俺のブログ、その名も『性病検査情報本部』だ!」
「せ、性病……。お兄ちゃん、性病だったの!?」
夏葉の顔が引きつっている。まさにドン引き。
まるで危険物を避けるかのように夏葉は後ずさりして俺から距離を取る……。
「待て! 俺は性病ではない! それに性病は空気感染しない!」
「じゃあ、なんで性病なのっ? お兄ちゃん、不潔だよ」
「違う。これは性感染症の危険性と予防の大切さを告知するブログだ! 性病を推奨するブログではない!」
「そ、そっか……でもなんで急に? お兄ちゃんそんなに性病を憎む必要がない気も……」
夏葉が痛い所を突いてきた。
たしかに俺はそもそも女友達すらいない。
性病そのものを心配する必要すらない。
ヤリまくっている楽し気なリア充どもは性病にかかれとすら思っているが……。
だが、それとこれとは話が別なのである。
「……性病検査キットはアフィリエイトの割合が非常に高い」
俺はここ数日、アフィリエイトの広告を仲介するA8ネットをじっくりと見ていた。
利益が出そうないい広告を探しに探し、そして性病検査キットに行きついたのだ。
なんと割合は商品が売れた場合の15%から23%
性病検査キットは5000円から15000円程度するので一件売れるごとに数千円の報酬があることになる。
もちろん売れればの話だが……。
性病検査キットがバカ売れするとは考え難い。というか、そんな日本国は嫌だ。
売れれば大きな報酬、しかし売れにくい。ハイリスクハイリターン。まさに無職にふさわしいアフィリエイトなのだ。
「なるほど……。お兄ちゃん、頑張ったねえ」
夏葉は勝手に俺のノートPCをいじって、作りかけの『性病検査情報本部』を巡回している。
作りかけとはいえ、すでに記事の数はそれなりにある。
そこそこ読み応えはあるはずだ。
「なるほど、なるほど……。すごくいっぱい記事があるよ。クラミジア、淋病、カンジタ症か……性病に詳しくなれるね」
「おい、あんまり読まなくていいぞ」
性感染症の危険の周知と検査の啓もう。
それがこのサイトの主旨とはなっているのだが……。
我が妹が性病に詳しくなっていく……。
それはあまり気持ちのよいものではないのであった。
驚くことに俺のスタンプ第二弾は結局二件しか売れなかった!
またしても売り上げ60円!
ぴょこんと一瞬起き上がり、平坦になる折れ線グラフ。
これが心電図なら死んでいるところだった。
なぜだ……。虚無ブームは来ないのか……。
JKよ、JCよ、そしてJDよ……。虚無はお嫌いか?
「ぬうう。そんな馬鹿なっ! これは夢か? 夢なのか!?」
再び俺はパソコンに向かって叫ぶことになったのだった。
「やはり、なんでも基本から入らないとな」
「そうだねえ、お兄ちゃん」
虚無スタンプショックから三日が経ち。
俺はすっかり立ち直っていた。
たしかにスタンプが2件しか売れなかったのはショックだが、くよくよしても仕方がない。
俺は精神的にタフなタイプの無職なのだ。
やるべきことは無限にある。無職の無は無限の無でもあるのだ。
「lineスタンプも悪くはないが、いきなりはハードルが高すぎた。あれは有名人とか人気者がやることだ」
「そう言われてみれば、そうだねえ」
夏葉はホットパンツにTシャツ姿。ソファーに身体を投げ出し、ほとんど動かない。
無職の家は絶賛節電中である。
出来るだけエアコンも使用しない。窓を開け、自然の風だけですごす。
動かすのは頭と口だけで十分なのだ。
「まずは基本から入って、それから発展するべきだったんだな」
俺は別にlineスタンプを諦めたわけではない。ただちょっと順番を間違えたとは感じている。lineスタンプのパワーを発揮させるにはまだ条件が整っていない。
lineスタンプの販売には宣伝力が必要。そしてほしくなるようなブランド力も必要だ。
いまの俺にはそれがない。
無論、作ったlineスタンプがなくなるわけではないのだから、いまはゆっくりと休ませておけばいいのだ。いずれ役に立つ日が必ず来る。
焦ることはない。まずは基本からだ……。
「お兄ちゃんの言うことはもっともだけども……無職の基本ってなあに?」
その口ぶりからは「無職なのに基本って……」との否定的ニュアンスが感じ取れる。
夏葉は相変わらずソファーに寝転がったまま。重力のなすがまま、ソファーからだらんとこぼれ落ちる手足。
「無職の基本、それはアフィリエイトだ」
俺はきっぱりと断言する。
「アフィリエイト?」
夏葉は俺に顔だけを向けて尋ねる。
どうやらアフィリエイトを知らないらしい。
「ネットの広告のことだ。自分のページに広告を貼って、宣伝の料金を貰う」
「ああ、スマホやってるといっぱい出てくるねえ、ぶわーって邪魔なのが」
夏葉はほとんどパソコンをやらない。
普段は基本スマホ。そのスマホも主にスマホゲームのために使用している。
「そう。ネットの世界は広告にあふれている。そして個人でやっているブログなんかにも広告を貼って、収入を得ることが出来るんだ」
「なんか聞いたことがあるよ。でも儲かるの?」
「ああ、トップレベルだと月に何百万も稼ぐらしい」
「えーっ! すごいねー!」
ソファーに寝転がったまま、びた一文動かなかった夏葉もむくりと身体を起こす。
たしかにそれほどの金額だ。なんだったら、跳ね起きるくらいしてもいい。
しかしこれは誇張でもなんでもない。実際にトップレベルの有名ブロガーたちは年収数千万に到達しているらしい。
「絶対働かないマンである俺がまず手をつけるべきはアフィリエイトだった」
「でもさー、アフィリエイト? なんか怪しいよね? 犯罪とか詐欺とかしないでよね。お兄ちゃんが捕まったら、私は悲しいよ」
アフィリエイトは怪しい。夏葉でなくとも誰もがなんとなく抱いているイメージである。
絶対働かないマンは正義の無職。もちろん犯罪に手を染めるつもりはない。
「夏葉、どうしてアフィリエイトは怪しいと思う?」
「えーと……そう言われると……なんとなく……秒速一億円的な?」
「そいつは情報商材のアフィリエイトだ。たしかにそれ系は怪しい」
「そうだよね。お兄ちゃん、それに手を出しちゃうの……?」
夏葉は不安げな眼差しで俺を見つめている。
「そんなものはやらん! なぜなら俺は絶対働かないマンだからだ。そいつは与沢翼マンの仕事だ」
「そっか、よかった……。けど……」
「けど、やっぱり怪しいか?」
夏葉は俺の問いにこくんとうなずく。
「たしかに秒速で一億円は怪しい。ほかにもLINEで時給何十万的な広告なんかも怪しい。健康食品の初回無料もちょっと怪しい。でもな、よく考えてみろ、それは広告が怪しいんじゃなくて、売り物が怪しいんじゃないのか?」
「そ、そうだね」
「つまりはちゃんとした売り物を扱えば、広告も怪しくはない。ブログなどにアマゾンの商品の宣伝が張り付けてあるだろ。あれは別に怪しくないだろ」
「……うん。怪しくない」
「いいか、そもそも、この世界は広告、宣伝であふれている。テレビのCM、雑誌、新聞にも。電車の中吊り、バスの車体にも。宣伝自体が悪いんじゃない。悪い物を宣伝したらダメなだけなんだ」
「なるほど……。そっか。そうだったんだね。さすがお兄ちゃんだよ」
何度も大きくうなずく夏葉。
どうやら理解してくれたようだ。
「俺はもちろん怪しげな商品など宣伝しない。ちゃんとしたブログを作り、ちゃんとした商品の宣伝をする! なにせ無職界のスーパースターだからな」
「そうだよね。お兄ちゃんが悪いことするわけないよね。それで、なにを宣伝するの?」
「むろん、ある!」
俺もなにも適当にアフィリエイトなどと言い出したわけではない。
なんだかわかんないけど、アフィリエイトでちょっと稼げたらいいな……。そんなことは初心者の無職が考えることである。
俺はむろん初心者の無職ではない。無職界の頂点を目指す男。
やるからにはしっかりとした構想が必要。
この三日間、俺はその構想を練り、すでにひとつの結論に至っていたのだ。
「いいだろう。まだ作り始めたばかりだが、俺のサイトを見せてやろう」
俺は夏葉を俺の部屋へといざなう。
ここは百の言葉よりも実物を見せるべきだ。
まだお披露目には少々早いがまあ他の誰でもない我が愛すべき妹、特別に見せてやることにしよう。
俺はインターネットブラウザを立ち上げ、目下制作中のサイトを表示させる。
「夏葉、お前にだけ特別に見せてやる。これが俺のブログ、その名も『性病検査情報本部』だ!」
「せ、性病……。お兄ちゃん、性病だったの!?」
夏葉の顔が引きつっている。まさにドン引き。
まるで危険物を避けるかのように夏葉は後ずさりして俺から距離を取る……。
「待て! 俺は性病ではない! それに性病は空気感染しない!」
「じゃあ、なんで性病なのっ? お兄ちゃん、不潔だよ」
「違う。これは性感染症の危険性と予防の大切さを告知するブログだ! 性病を推奨するブログではない!」
「そ、そっか……でもなんで急に? お兄ちゃんそんなに性病を憎む必要がない気も……」
夏葉が痛い所を突いてきた。
たしかに俺はそもそも女友達すらいない。
性病そのものを心配する必要すらない。
ヤリまくっている楽し気なリア充どもは性病にかかれとすら思っているが……。
だが、それとこれとは話が別なのである。
「……性病検査キットはアフィリエイトの割合が非常に高い」
俺はここ数日、アフィリエイトの広告を仲介するA8ネットをじっくりと見ていた。
利益が出そうないい広告を探しに探し、そして性病検査キットに行きついたのだ。
なんと割合は商品が売れた場合の15%から23%
性病検査キットは5000円から15000円程度するので一件売れるごとに数千円の報酬があることになる。
もちろん売れればの話だが……。
性病検査キットがバカ売れするとは考え難い。というか、そんな日本国は嫌だ。
売れれば大きな報酬、しかし売れにくい。ハイリスクハイリターン。まさに無職にふさわしいアフィリエイトなのだ。
「なるほど……。お兄ちゃん、頑張ったねえ」
夏葉は勝手に俺のノートPCをいじって、作りかけの『性病検査情報本部』を巡回している。
作りかけとはいえ、すでに記事の数はそれなりにある。
そこそこ読み応えはあるはずだ。
「なるほど、なるほど……。すごくいっぱい記事があるよ。クラミジア、淋病、カンジタ症か……性病に詳しくなれるね」
「おい、あんまり読まなくていいぞ」
性感染症の危険の周知と検査の啓もう。
それがこのサイトの主旨とはなっているのだが……。
我が妹が性病に詳しくなっていく……。
それはあまり気持ちのよいものではないのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
