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第十九話
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息絶えたタコは、そのまま波にさらわれ、どこかに消えた。
「さっきの途切れ途切れの言葉を繋げると、恐らくこうだ。 「近所を焼く際は、ウチで賛美歌を聞く」 要は、タコんちの習わしを死に際に伝えたかったと」
「いやいや、絶対違うと思いますけど」
「何だよ、この解釈に不服でもあんのかよ」
「シンプルに、近い内、3匹の禁魚が蘇る、じゃ……」
友恵は、はっとして口を手の平で覆った。
そっちか、と小さく呟く。
「……けどよ、3匹の禁魚って何だ?」
トオルは、腕を組みながら、自分の見解を述べた。
「推測すけど、クラーケンとかじゃないすか? ポートロイヤルが壊滅したのも、実はそれが要因だったり」
「クラーケン? イカの化け物みてーなやつだっけか」
クラーケンと海賊は切っても切り離せない。
それくらい、小説や映画ではよく扱われる題材である。
その時だった。
突然、空が暗くなり、海がせり上がった。
同時に、大量の波が砂浜に流れ込み、トオル、ミチキは陸地の奥へと流された。
何かが、こちらに向かって来る。
「……」
友恵は、絶句した。
「……嘘だろ」
向かって来るのは、全長20メーターはあろうかと思われる巨大な魚。
金色の鱗を纏ったその魚は、縁日などでよく見かける、馴染み深い魚であった。
「クラーケンじゃねえっ!」
禁魚は金魚であった。
体をくねらせながら、ポートロイヤル目がけて突っ込んで来る。
このまま何もしなければ街は壊滅してしまうだろう。
「……」
普通なら迷わず逃げ出すシチュエーションで、友恵は前を向いた。
頭の中に鳴り響くのは、パイレーツオブ〇リビアンのテーマソングだ。
自分には勇敢な海賊の血が流れている。
ここで退くわけにはいかない。
金魚が迫る。
友恵は相手を睨み付けて、こう叫んだ。
「こっち、来んなアアアアアアーーッ」
「さっきの途切れ途切れの言葉を繋げると、恐らくこうだ。 「近所を焼く際は、ウチで賛美歌を聞く」 要は、タコんちの習わしを死に際に伝えたかったと」
「いやいや、絶対違うと思いますけど」
「何だよ、この解釈に不服でもあんのかよ」
「シンプルに、近い内、3匹の禁魚が蘇る、じゃ……」
友恵は、はっとして口を手の平で覆った。
そっちか、と小さく呟く。
「……けどよ、3匹の禁魚って何だ?」
トオルは、腕を組みながら、自分の見解を述べた。
「推測すけど、クラーケンとかじゃないすか? ポートロイヤルが壊滅したのも、実はそれが要因だったり」
「クラーケン? イカの化け物みてーなやつだっけか」
クラーケンと海賊は切っても切り離せない。
それくらい、小説や映画ではよく扱われる題材である。
その時だった。
突然、空が暗くなり、海がせり上がった。
同時に、大量の波が砂浜に流れ込み、トオル、ミチキは陸地の奥へと流された。
何かが、こちらに向かって来る。
「……」
友恵は、絶句した。
「……嘘だろ」
向かって来るのは、全長20メーターはあろうかと思われる巨大な魚。
金色の鱗を纏ったその魚は、縁日などでよく見かける、馴染み深い魚であった。
「クラーケンじゃねえっ!」
禁魚は金魚であった。
体をくねらせながら、ポートロイヤル目がけて突っ込んで来る。
このまま何もしなければ街は壊滅してしまうだろう。
「……」
普通なら迷わず逃げ出すシチュエーションで、友恵は前を向いた。
頭の中に鳴り響くのは、パイレーツオブ〇リビアンのテーマソングだ。
自分には勇敢な海賊の血が流れている。
ここで退くわけにはいかない。
金魚が迫る。
友恵は相手を睨み付けて、こう叫んだ。
「こっち、来んなアアアアアアーーッ」
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