5 / 13
第五話
しおりを挟む
扉をバタン、と閉める。
頭が真っ白だ。
まさか、家賃を滞納したことで、このアパートが取り潰されることになるかも知れないなんて……
とにかく、どこかから借金してでも、三万五千円を捻出しなくちゃいけない。
つか、昨日まで金はあったんだ。
俺は頭を掻きむしりながら、吠えた。
「こんな未来になるなんて分かってたら、叙々〇で奢ったりしてねーよ!」
ハッ、とした。
未来……
俺は、テーブルの上に置かれている、ハリーポーターの本に目をやった。
山猫さんから借りた、謎の本。
発行日が2001年になっていて、まるで、未来の本屋から取り寄せたかのような本だ。
元々は外国の文学らしく、翻訳を介しているため、文章にも癖がある。
だが、面白い。
この本の内容をパクれば、出版社の目に留まるかも知れない。
「っし、やってみっか」
いてもたってもいられず、ノートパソコンの前にあぐらをかく。
ワードを起動して、執筆にとりかかろうとした時、すぐに気づいた。
「……一日じゃ、ぜってー無理だよな」
いくらパクリっつったって、文章を打つだけでも、一日じゃきつい。
ダメだ!
俺は、本を傍らに持ち、サンダルを履いてコンビニへとダッシュした。
プリンターに500円を突っ込み、俺はハリーポーターの内容を全てコピーする手に出た。
この仕上がった装飾の本を持ち込むことはできないだろう。
コピーだけなら、午前中あれば、どうにかなるはずだ。
後は、この本を見てくれる出版社を探す。
普通、デビューまでは新人賞を得てから、みたいな流れが一般的だが、今回そんな悠長なことは言ってられない。
この本で直接契約までこぎつけて、契約金三万五千円を提示し、手に入れる。
一時間ほど経過して、プリンターの紙を補充するサインが出た。
「ちっ」
「お客様」
声をかけられ、振り向くと、店員と思しき男が立っていた。
名札に、店長、と書いてある。
「申訳ございませんが、プリンターを独占されるのは、他のお客様のご迷惑になりますので……」
「もうちょっとだからさ。 紙、補充してくんないっすか?」
「……」
クソッ。
店長は俺の目を見たまま動かない。
紙、補充する気もねーらしい。
時間が惜しい。
俺は、コピーした用紙と、本を持ってその店を後にした。
「はあっ、はあっ…… 駅前まで行きゃあ、ファミマがある」
俺は駆け足で駅前のファミマに向かった。
ところが、今度はいかにも機械音痴っぽいおばあちゃんが、コピー機を独占していた。
「えーと、お金はどこに入れるのかしら」
「そこの脇のやつっすよ」
じれったくなり、俺は金を入れる細長い機械を指さした。
「あー、これね。 ありがとねぇ」
礼はいいから、さっさとコピーしろって。
だが、ばあさんは、どのボタンを押したらいいんだい、とか、コピーしたいページをどうしたらいいのか、とか、めちゃもたつく。
しかも、手には分厚い料理本みたいなのを持っている。
俺は、恐る恐る聞いた。
「何ページコピーする気っすか?」
「これ、図書館から借りてきて、返さないといけないのよ。 だから、全部コピーしようと思って」
ふざけんなっ!
俺は、コンビニから抜け出した。
他のコンビニを探すか。
いや、それより、図書館に行くのがいいかも知れない。
図書館ならコピー機があるし、何よりネットが使えたハズだ。
そこで、出版社を検索して、コピーしてる間に、電話をかけまくって持ち込みオッケーな所を探せばいい。
頭が真っ白だ。
まさか、家賃を滞納したことで、このアパートが取り潰されることになるかも知れないなんて……
とにかく、どこかから借金してでも、三万五千円を捻出しなくちゃいけない。
つか、昨日まで金はあったんだ。
俺は頭を掻きむしりながら、吠えた。
「こんな未来になるなんて分かってたら、叙々〇で奢ったりしてねーよ!」
ハッ、とした。
未来……
俺は、テーブルの上に置かれている、ハリーポーターの本に目をやった。
山猫さんから借りた、謎の本。
発行日が2001年になっていて、まるで、未来の本屋から取り寄せたかのような本だ。
元々は外国の文学らしく、翻訳を介しているため、文章にも癖がある。
だが、面白い。
この本の内容をパクれば、出版社の目に留まるかも知れない。
「っし、やってみっか」
いてもたってもいられず、ノートパソコンの前にあぐらをかく。
ワードを起動して、執筆にとりかかろうとした時、すぐに気づいた。
「……一日じゃ、ぜってー無理だよな」
いくらパクリっつったって、文章を打つだけでも、一日じゃきつい。
ダメだ!
俺は、本を傍らに持ち、サンダルを履いてコンビニへとダッシュした。
プリンターに500円を突っ込み、俺はハリーポーターの内容を全てコピーする手に出た。
この仕上がった装飾の本を持ち込むことはできないだろう。
コピーだけなら、午前中あれば、どうにかなるはずだ。
後は、この本を見てくれる出版社を探す。
普通、デビューまでは新人賞を得てから、みたいな流れが一般的だが、今回そんな悠長なことは言ってられない。
この本で直接契約までこぎつけて、契約金三万五千円を提示し、手に入れる。
一時間ほど経過して、プリンターの紙を補充するサインが出た。
「ちっ」
「お客様」
声をかけられ、振り向くと、店員と思しき男が立っていた。
名札に、店長、と書いてある。
「申訳ございませんが、プリンターを独占されるのは、他のお客様のご迷惑になりますので……」
「もうちょっとだからさ。 紙、補充してくんないっすか?」
「……」
クソッ。
店長は俺の目を見たまま動かない。
紙、補充する気もねーらしい。
時間が惜しい。
俺は、コピーした用紙と、本を持ってその店を後にした。
「はあっ、はあっ…… 駅前まで行きゃあ、ファミマがある」
俺は駆け足で駅前のファミマに向かった。
ところが、今度はいかにも機械音痴っぽいおばあちゃんが、コピー機を独占していた。
「えーと、お金はどこに入れるのかしら」
「そこの脇のやつっすよ」
じれったくなり、俺は金を入れる細長い機械を指さした。
「あー、これね。 ありがとねぇ」
礼はいいから、さっさとコピーしろって。
だが、ばあさんは、どのボタンを押したらいいんだい、とか、コピーしたいページをどうしたらいいのか、とか、めちゃもたつく。
しかも、手には分厚い料理本みたいなのを持っている。
俺は、恐る恐る聞いた。
「何ページコピーする気っすか?」
「これ、図書館から借りてきて、返さないといけないのよ。 だから、全部コピーしようと思って」
ふざけんなっ!
俺は、コンビニから抜け出した。
他のコンビニを探すか。
いや、それより、図書館に行くのがいいかも知れない。
図書館ならコピー機があるし、何よりネットが使えたハズだ。
そこで、出版社を検索して、コピーしてる間に、電話をかけまくって持ち込みオッケーな所を探せばいい。
0
あなたにおすすめの小説
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
下っ端宮女のひたむき後宮恋譚 ~前世の夢を追いかけていたらいつのまにか寵愛されていました~
紀本明
キャラ文芸
妃嬪から嫌がらせを受けつつも耐え忍んでいた下っ端宮女の鈴風(りんふぁ)はある日突然前世の記憶を取り戻す。料理人になるのが夢だった彼女は、今世でもその夢を叶えようと決意した矢先、ぼさぼさ頭の宦官・雲嵐(うんらん)と出会い、毎晩夕飯をつくることになる。料理人になるべく奮闘するも、妃嬪からの嫌がらせはひどくなる一方だった。そんなある日、事件が起こり、鈴風は窮地に立たされるが……――?
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる