シェフが私のことを好きになる確率

hayama_25

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第15話

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 と思ったらすぐに戻ってきて、シェフの行動に戸惑う。 

「シェフ…?」

「冷やすもん取ってきた」

 何も言わずに出ていっちゃったから、怒ったのかとばかり、

「てっきり、呆れて出ていっちゃったのかと、」

「はぁ?んなわけないだろ。前もそうだったけど、お前って結構変な勘違いするよな」

 シェフが言葉足らずなだけじゃ…
 と思ったけど言わないことにした。

 シェフの不器用な優しさが少しだけ嬉しかった。 

「これ目に当ててろ」
そう言ってアイスバッグを手渡してくれた。

「ありがとうございます」

アイスバッグを受け取り、目に当てるとじんわりして気持ちよかった。

「しばらく当てとけ」

気持ちはありがたいけど、もう戻らないと。

「い、いえすぐ仕事に戻ります」 

みんなに迷惑はかけられない。

「いいから、そこでじっとしてろ。みんな心配すんだろ」

確かに。
こんな顔見られたら…

「すみません、」

 また迷惑かけた。自分の弱さが嫌になる。 

「おい」 

 名前を呼ばれて顔を上げると、

「…った、」

 デコピンされた。しかも結構痛い。 

「迷惑なんて思ってないからそんな顔すんな」

 どんな顔してたのかは分からないけど、シェフには分かってしまったみたいだ。

「俺はもう行かないといけないから、ちゃんと冷やしてから来いよ」

「はい。ありがとうございます」

 シェフの優しさに感謝する。 

「どういたしまして」
そう言って去っていった。

 結局落ち着かなくて、10分もしない内に仕事場に戻った。

「律、」

 私は視線をあの席に向ける。
 そこに恭介さんの姿がなかった。

 私は律に声をかける。

 心の中で少しだけ不安がよぎる。

「どうしたの?」

 律が優しく問いかけてくる。
 彼の声に少しだけ心が落ち着く。

「あそこに座ってた人は?」

 心の中で動揺が広がる。

「もう帰ったよ?やっぱり知り合いだったの?」

 律の問いに、私は一瞬言葉を失う。
 どう答えればいいのか迷う。

「ううん」
視線を逸らしながら答える。

 律に心配をかけたくない。

「あれ、莉乃。目どうしたの?」

 律の視線が私の顔に向けられる。
 彼の鋭い観察力に驚く。

「目?」
私は驚いて自分の目を触る。

 心の中で焦りが広がる。

「赤くなってない?」
律の言葉に、私は一瞬動揺する。

 ちゃんと冷やしたからバレないと思ったのに、さすが律は目ざとい。

 もちろんいい意味で。

 とか言ってる場合じゃない。
 心の中で少しだけ焦りを感じる。

「気のせいじゃない?」 

「もしかしてな」

 "もしかして泣いた?"

 そう言いたかったんだと思うけど、

 その瞬間シェフが
「喋ってないで働け」

 そう言って、多分庇ってくれたんだと思う。

「シェフ、すみません」

「だからちゃんと冷やせって言ったのに。バカ」

 通り過ぎる時に私にだけ聴こえるようにそう言った。

「すみません、」




 バカって言われて喜んでる私は多分。いや、確実に重症だ。
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