私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25

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第17話

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「何が言いたいの」
「遥希くんは、そうじゃないかもしれないでしょ、」

「それって、遥希くんを疑ってるってこと…?」

 遥希くんは私の相談を乗ってくれてるだけで、

 ただ優しさで、私のことほっとけないだけで…


 "責任取るよ"

 どうして今あの言葉を…

 責任感が強いからそう言っただけで、深い意味はないはずなのに。

「身に覚えがあるんじゃない?」

「違っ…ちょっと待って、どうして、」

 どうして私が責められてるの…?
 元はと言えば、柊先輩が沙紀先輩のこと、、

 幼馴染だろうがなんだろうが、身体が弱いからとか何とかって、

 私の事ほったらかしにしたから、こんなことになってるんでしょ?

「そう言うなら、先輩は?」
「え?」

「ただの幼馴染だって思ってるのは柊先輩だけじゃない?」

 柊先輩は驚いた表情を見せた。
「どうして、そんなこと…」

 どうしてそんなこと言うのって?

「これで分かりましたか?友達だって言ってるのに、信じて貰えない気持ち」

「本当に沙紀とは何も無くて、美桜もずっと一緒にいたんだから分かってくれるでしょ?」

 分かるわけない。

 人が本当は何を考えてるかなんて、超能力でも使わない限り分からない。

 現に今、柊先輩が何を考えているのかも分からない。

「…証拠は?」
「え?」

「沙紀先輩が、柊先輩のことを好きじゃないって証拠。あるんですか?」

「ないけど、そんなもの、」

 いらないって?

「それは流石に…ズルくない?自分は信じないくせに、相手には信じさせるんだね」

「違う、そうじゃなくて。俺はただ…」

 違う。

 こんなことを言いたくて、ここに来たわけじゃないのに。

「もうやめましょう。私は、こんな話をするために柊先輩に会ったわけじゃない」

「だけど、」

「このまま柊先輩と付き合ってても、毎日喧嘩しちゃうと思うんだよね」

 今みたいに。

「それは…」

「先輩が沙紀先輩のことを大切に思う気持ちも分からなくはない。だけど、私だって誰よりも柊先輩のことを大切に思ってて、だからこそ、今のままではお互いにとって良くないと思ったの」

「美桜…」

「先輩が沙紀先輩を助けることは間違っていない。でも、そのことで私が傷ついていることも事実なんだよ」

 柊先輩は黙って私の言葉を聞いていた。

「だから、少しの間だけでも距離を置いて、お互いの気持ちを整理する時間が必要だと思う」

「でも、俺は美桜と離れたくない」

「私も離れたくない。でも、今はそれが必要だと思うから」

 柊先輩はしばらく黙っていたが、やがて深いため息をついた。

「分かった。少しの間だけ距離を置こう。でも、俺は美桜のことを諦めるつもりはないから」

 その言葉に、私は胸が締め付けられるような気持ちになった。

「分かってくれてありがとう」
「美桜が戻ってくるのを待ってるから」

 柊先輩の言葉に、少しだけ安心した。



 そして、私は何も言わずにその場を後にした。
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