私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25

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第75話

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 一人になりたくて、休み時間に屋上で空を見ていた。

 青空が広がっているのに、心の中は晴れない。

「…はぁ、」

 心の中に重いものが溜まっているような気がした。

「どうしたの?」

 突然聞こえた声に驚いて顔を上げると、そこには遥希くんが立っていた。

「っ、遥希くん、」

 驚いた声が自然に出た。

「ごめん。驚かせちゃった?」

 遥希くんは申し訳なさそうに言った。

 私は急いで起き上がり、前髪を手で整えた。

「謝らないで。それより、どうしたの?屋上に何か用事?」

 遥希くんが屋上にいること自体珍しい。

「心桜ちゃんが屋上に行くのが見えて、着いてきちゃった」

 遥希くんは少し照れくさそうに答えた。

「そっか」

 前もこんなことがあったな。

 柊先輩と距離を置いていた時に、一人で図書室にいる私を気遣ってくれて…

 また心配かけて、私って何も変われてないんだな。

「あ、一人になりたいなら先に教室戻ってるよ」

 私に気遣って提案してくれた。

 確かに、一人になりたくてここに来たけど、やっぱり一人でいるとどうしても嫌な考えばかりしてしまう。

「ううん大丈夫」

 私は遥希くんに向かって微笑みながら言った。

「良かった。ため息ついてどうしたの?やっぱり、あの人が原因?」

 遥希くんは優しい声で問いかけてくれた。

「…うん」

 私は少し悩んだ表情で答えた。

「何かあったの?」

 何も無いからむしろ怖いなんて言ったら、笑われちゃうかな。

「その…、何か大人しいなって」

 心の中にある不安を言葉にすることで、少しだけ楽になった気がした。

「大人しい?」

 いつも決まった時間にかかってくるはずの電話が、昨日からぱったりと来なくなった。

 私は不安げな声で続けた。

「大人しすぎて…怖い」

 電話が掛かって来なくなってから、まだ2日しか経ってない。

 でも、今までこんなことなかったから…。

 あの人が何を考えているのか分からない。

「…直接、言いに行った方がいいのかな」

 遥希くんが独り言のように呟いた。

「直接って、あの人がどこにいるのかも分からないし、何より危ないよ」

 これ以上、私のせいでけが人を増やしたくない。

「いや、そっちじゃなくて」

 そっちじゃないなら、誰に…?
 遥希くんは、一体何の話をしてるの…?

「え…?」

「まぁ、むしろあの男よりも、あの人の方が危ないのかも」

 その言葉に、私は一瞬戸惑う。

「なんの話し?」

 心の中で何かが引っかかる。
 もしかして、何か知ってるのかな。

「心桜ちゃんはまだ知らなくていいよ。いつかちゃんと話すから」

 遥希の真剣な表情に私はただ

「分かった、」

 それしか言えなかった。



 遥希くんが話してくれるまで待とう。

 そう思っていたのに。




 こんなにも早く知ることになるなんて思わなかった
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