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第105話
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教室を出て、補習のために指定された部屋へ向かう廊下を歩いていた。
先輩との会話が途中で終わってしまったことが頭から離れず、胸の奥に小さな棘が刺さったような感覚が残っていた。
先輩は今、どんな風に思ってるんだろう。
先輩の顔、ちゃんと見れなかった。
傷ついてるのに気づいてるから。
ちゃんと話がしたかったな。
「何か話してたみたいだったけど…大丈夫だった?」
遥希くんがふと声をかけてきた。
その言葉に、私は一瞬足を止めそうになったけれど、すぐに歩調を合わせた。
「うん。大丈夫。ありがとう」
上手く笑えているだろうか。
遥希くんはそれ以上何も言わず、ただ私の隣を歩き続けてくれた。
その沈黙が、逆に優しさを感じさせてくれる。
補習の部屋に到着すると、先生が待っていた。
「おせーよ。あと15分しかねぇぞ?」
「大丈夫です。10分あれば間に合います」
遥希くんが自信満々に答える。
「なんだよくそー、かっけーなー」
先生が笑いながらぼやく。
その軽い口調が、張り詰めていた空気を少しだけ和らげてくれる。
「すみません、先生まで巻き込んでしまって」
私は申し訳なさそうに頭を下げた。
先生は肩を軽くすくめながら笑顔で応じてくれた。
「確かに。担任に嘘つくのは大変だったけどな」
私たちの担任の先生は、寄りにもよって生徒指導の先生で、学則に厳しい。
スカートの丈が短いだのなんだ言うから…生徒からはあんまり支持されていない。
皆さんが静かになるまで30秒かかりました。
なんて言うタイプの先生だ。
「ですよね、」
そんな先生を騙すなんて、大変だったと思う。
「でもまぁ、お前らの日頃の行いが良かったからバレずにすんだ」
先生が冗談混じりに言うその言葉に、私は少しだけほっとする。
「ほんとすいません、」
どんな嘘をついたのか気にはなるけど…聞かない方が良さそうだ。
「いいんだよ。俺の授業を聞いてくれる数少ない生徒なんだし。それに…いいもん見れたしなー」
先生が意味深に笑いながら言ったその言葉に、私は少し戸惑いながらも、何を指しているのか気になった。
「いいもん?」
私は首をかしげながら問いかける。
「先生、時間ないんで早くプリントください」
遥輝くんの声で現実に引き戻される。
そうだ、補習受けないとなんだ。
「はいはい」
先生が軽く応じながらプリントを渡してくれる。
「心桜ちゃんも、早くしないと授業遅れちゃうよ」
遥希くんが私に声をかけてくれた。
その言葉に急かされるように、私はプリントを受け取り、机に向かった。
結局、先生が何を言おうとしていたのか分らず終いだ。
まぁ、大したことじゃないんだろうけど。
先輩との会話が途中で終わってしまったことが頭から離れず、胸の奥に小さな棘が刺さったような感覚が残っていた。
先輩は今、どんな風に思ってるんだろう。
先輩の顔、ちゃんと見れなかった。
傷ついてるのに気づいてるから。
ちゃんと話がしたかったな。
「何か話してたみたいだったけど…大丈夫だった?」
遥希くんがふと声をかけてきた。
その言葉に、私は一瞬足を止めそうになったけれど、すぐに歩調を合わせた。
「うん。大丈夫。ありがとう」
上手く笑えているだろうか。
遥希くんはそれ以上何も言わず、ただ私の隣を歩き続けてくれた。
その沈黙が、逆に優しさを感じさせてくれる。
補習の部屋に到着すると、先生が待っていた。
「おせーよ。あと15分しかねぇぞ?」
「大丈夫です。10分あれば間に合います」
遥希くんが自信満々に答える。
「なんだよくそー、かっけーなー」
先生が笑いながらぼやく。
その軽い口調が、張り詰めていた空気を少しだけ和らげてくれる。
「すみません、先生まで巻き込んでしまって」
私は申し訳なさそうに頭を下げた。
先生は肩を軽くすくめながら笑顔で応じてくれた。
「確かに。担任に嘘つくのは大変だったけどな」
私たちの担任の先生は、寄りにもよって生徒指導の先生で、学則に厳しい。
スカートの丈が短いだのなんだ言うから…生徒からはあんまり支持されていない。
皆さんが静かになるまで30秒かかりました。
なんて言うタイプの先生だ。
「ですよね、」
そんな先生を騙すなんて、大変だったと思う。
「でもまぁ、お前らの日頃の行いが良かったからバレずにすんだ」
先生が冗談混じりに言うその言葉に、私は少しだけほっとする。
「ほんとすいません、」
どんな嘘をついたのか気にはなるけど…聞かない方が良さそうだ。
「いいんだよ。俺の授業を聞いてくれる数少ない生徒なんだし。それに…いいもん見れたしなー」
先生が意味深に笑いながら言ったその言葉に、私は少し戸惑いながらも、何を指しているのか気になった。
「いいもん?」
私は首をかしげながら問いかける。
「先生、時間ないんで早くプリントください」
遥輝くんの声で現実に引き戻される。
そうだ、補習受けないとなんだ。
「はいはい」
先生が軽く応じながらプリントを渡してくれる。
「心桜ちゃんも、早くしないと授業遅れちゃうよ」
遥希くんが私に声をかけてくれた。
その言葉に急かされるように、私はプリントを受け取り、机に向かった。
結局、先生が何を言おうとしていたのか分らず終いだ。
まぁ、大したことじゃないんだろうけど。
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