その魔法が解ける前に

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第24話

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 スマホがふと振動し、画面を見ると壱馬様からのメッセージが届いていた。  

「レストランで食事でもどう?」

 短いけれど優しい言葉に、心臓が少し跳ねるのを感じた。

 画面をじっと見つめながら、どう返事をしようか迷う。

 指先は自然とメッセージを打ち始めるが、文字を入力するたびに少し止まっては消し、また書き直す。

 ぜひ!
 そう伝えたいけれど、表現に迷ってしまう。  

 ええと…どんな感じで答えれば…

 早く返さないと、悩んだ末こう書いた。

「ありがとうございます!ぜひご一緒させていただきたいです」  

 送信ボタンを押すと、少し緊張しながら画面を見つめた。

 ちゃんと伝わったかな、…固すぎたかな、

 胸の内で心配するも、彼が再び返信してくれるのを静かに待つ。  

 スマホが再び振動し、壱馬様からのメッセージが画面に表示された。  

「良かった。じゃあ6時に迎えに行くね」  

 その短い言葉に、胸がドキンと高鳴る。

 自然と口元が緩み、頬が少し熱くなるのを感じた。

「迎えに来てくれるなんて…」

 メッセージを見つめながら、すぐに返信を打ち込むべきか迷った。

 文字を一つずつ慎重に入力しながら、壱馬様への感謝の気持ちをどう伝えればいいかを考える。

 シンプルに返すのがいいかもしれないと思いつつ、少し緊張も混じって指が止まる。

「楽しみにしてます!」

 最終的に決心してメッセージを打ち込み、送信ボタンを押した。

 その後すぐに可愛らしいOKのスタンプが。
 思わず頬を緩ませた。

「…そうと決まればゆっくりしてられない」

 何を着るか決めないと。

 今まではスーパー以外外に出る用事はなかったから、服装にあまり気を使ってこなかった。

 だけど、今はもう…

 壱馬様の隣を歩いて恥ずかしくいような女性になりたい。

 だけど、持ってきた洋服は数着。

 その中でレストランにふさわしいものはどれだろうか。

 クローゼットを開けて、一枚一枚確認するたびに少し不安な気持ちが募る。

「壱馬様と一緒の食事だし、ちゃんとした服装で行きたいのに…」

 そんな気持ちが頭の中をぐるぐると巡っている。

 シンプルなワンピース、カジュアルなニット、少しフォーマルなスカート…。

 どれもそれなりに見えるけど、これがいい!と思えるものはなかなか見つからない。

 試しにワンピースを手に取ってみたけど、

「少し地味すぎるかな…?」

 鏡の前に立ち、服を当ててみる。

 肩幅や体型を確認しながら、これなら大丈夫かなと少し自信を持てるものを選び出す。

 ようやく決まった服をベッドに広げながら、少し胸が高鳴った。

 壱馬様とレストランで夕食…

 その瞬間、ふと壱馬様の笑顔が頭に浮かんだ。

 彼の優しい表情が、この服で一緒に過ごす時間をさらに特別なものにしてくれる気がした。

 そして、支度を始める準備に取り掛かる。


 壱馬様に恥だけはかかせないようにしなきゃ。

 その一心で、丁寧に身だしなみを整え始める。


 心の奥底で感じる緊張と期待を胸に抱えながら、今日という日が素晴らしいものになるようにと願っていた。
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