幽冥の涙を探して

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4話 親友

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4話 親友
「おはよ! ゆめ!」
「おはよう!」
 中等部と高等部は校舎が違うから、明利とは別れた。1-1の教室に入り、決まった笑顔を作る。目の前にいるクラスメートであり親友の大雲おおくも梓海あずみ。髪は茶色でポニーテールに結んでいる。瞳は大きくて栗色。ラフな格好が好きで、ブラウスのボタンは上から2番目まで外し、リボンもゆるゆる。スカートは限界まで折って、素足を曝け出している。日焼けした健康的な肌。スポーツが得意で、陸上部に所属。行動力があり、クラスの中心的存在。私が困っていると、真っ先に駆けつけてくれる。運動のほかにファッションが好きで、小物選びが得意。明るく社交的で、私を外の世界へ連れ出してくれる存在。おせっかいをすることもあるけれど、相手のことを思っての行動が多い。困っている人を見過ごせず、時に無鉄砲なこともある。根はとても繊細で、だれよりも心優しい人だ。幼稚園生からの同級生で、同じ地区に住んでいる。笑顔の素敵な子だ。
「ねね、昨日ね、推しがドラマに出てたの! ビジュ良きで3回も観ちゃった!」 
 あずはピースサインとウィンクで嬉しいとアピール。私はあずの隣の席に座り、荷物を置いて背伸び。とことこあずが近づいてきて、ふうと息を吐いた。
「3回も!? 寝不足じゃない?」
「そうでも……と言いたいところだけど、寝不足なのよ……」
 しょんぼり、とうなだれるあず。その手が額に当てられ、相当参っているのだと感じる。
「わあ……。授業中はなるべく寝ないようにね」
「その点は大丈夫! シャーペンでガリガリやるから!」
「が、ガリガリ……?」
 何を言っているのかわからなくて、口がぱくぱく動く。すぐに聞きたかったけど、話題が変わってしたった。あずは切り替えて、恋い焦がれる瞳をうるうるさせる。
「えっと……?」
「キャー! 波切はきりくんの入場よ! 素敵!」
「あ……ほんとだね」
 確かに、あずの言う波切はきり桜牙おうがくんが教室に入ってきた。颯爽とした歩き方、涼しい顔、磨かれたスタイル。あずは一目奪われ、胸に手を当てた。波切くんはクラスの人気者で、あず以外にもたくさんのファンがいる。素敵な人なのかもしれないけど、私にはいまいちわからない。でも、あずの推しというのなら、口を挟むわけにもいかなくて。
「もうちょい反応! 波切くんはアイドルなのよ!」
「あ、アイドル……?」
「そうよ! ア・イ・ド・ル! あああ神様、このご縁は無駄には致しません! ありがとうございます! 今日の授業は眠りますね!」
 祈り始めたあず。演技に熱が入って、肝心のことをないがしろにしているような。
「ちょっと! 寝ちゃだめでしょ!」
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