血に塗れた氷の騎士

fireworks

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20話 剣技

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20話 剣技
「練習場ですね。案内します」
「ありがとうございます」
 そういえば、フローリアは騎士道を担当するために採用されたと聞いた。可憐でお嬢様な彼女だけど、武道派な一面もあるのか。なんだか意外だ。見かけによらない、とはこういうことなのか。
 このアカデミーには、将来騎士になりたい男女が多く入学する。その志とある程度の実力と実績があれば、どんな人でも受け入れられる。さすがに授業中は男女別になるけど、王立アカデミーゆえの高品質な指導を受けられるらしい。実績として、国王陛下や公爵に仕える騎士などを輩出している。騎士という輝かしい称号を手に入れ、安定した収入を得る。そういう立派な目標を掲げている人は、顔つきからして大層な人だろう。到底、皆が真似できることではない。そして、将来のある素晴らしい若者を育てるための指導者になるというのだから、相当な力を持っているはずだ。
 このアカデミーに、練習場は8、さらに高度な技術を磨く闘技場は2箇所ある。それぞれ伸ばす力も違うと聞いているけど、ひとまず近い練習場へと向かった。婚約者でも、前からの知り合いでもない人が隣にいるなんて、不思議だと思いながら。
「学園長から雑務ばかり押し付けられていませんか?」
「そんなことありませんよ。今は学生への指導方法について勉強しています。楽しいですよ」
「楽しいのなら良かったです」
 正式に役職が決まっていないから、上層部の人間に良いように使われてもおかしくない。雇われの身だから、利用とかこき使われるとか大っぴらに言えないな。むしろ、「感謝しろ」「お前にその役割があって良かったじゃないか」と責められることは避けないと。……また変なことを考えてしまった。
「先生はどうですか? 研究に進捗はありましたか?」
 いつの間にか疑問を向けられ、返答に迷う。実際のところ、停滞気味でこの数ヶ月の成果はゼロ。研究費用の一部を給料に上乗せしてもらっているのだから、何が何でも結果を出さないといけない。少しずつ気分が悪くなった気が……。そんなわけないか。
「ぼちぼちですね。これからってところです」
 そう、曖昧に濁して笑顔を作った。

「ふぅ……。どうでしたか」
「素晴らしかったです。まさか、これほどお上手だとは……!」
 練習場に到着すると、フローリアは着替えて、見事な剣技を披露した。やはり、あの学園長が直々に紹介したことだけある。呼吸の仕方、フォーム、剣の扱い方、攻撃、どれをとっても欠点が見当たらない。まさに「完璧」という言葉が似合う誇り高き剣士だ。拍手して褒めると、フローリアは微笑んだ。
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