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21話 見通し
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21話 見通し
フローリアと出会ってから2週間経った。相変わらず俺の毎日は変わり映えしなくて、平々凡々。可もなく不可もなく。両親や弟妹は俺を遠ざけ、婚約者とコンタクトを取らない。相手は会いたくないだろうし、俺も会う気がなかった。婚約したといっても、日常生活に支障が出るほどの大きな影響にはならない。式の準備は着々と進み、衣装とアクセサリー選びも済んだ。後は細かい調整をして、本番を待つだけ。
「何かお困りですか? 随分気難しいお顔ですけれど……」
「え? ああ……。将来のことを考えていたのです」
またぼーっとしていた。今は昼休憩で、何を食べようかと悩んでいたことを思い出す。色々な妄想が飛躍してしまい、いつもの悪い癖にとらわれてしまった。向かい側の席にフローリアが座り、不思議そうに尋ねる。
「将来とはどういうことですか?」
あまりにもストレートな質問に、戸惑い、渦巻く黒い靄を隠した。
「まぁ……そのままの意味です。俺はこれからどう生きていくのだろうっていう、途方もない考え事です」
「そうですか……。きっと、難しく考えすぎなのかもしれませんね」
「難しく?」
フローリアは抱えていた書類をバッグに詰め、蓋を閉じる。
「ええ。物事って一見複雑ですけど、必ず理由や原因があります。ゆっくり紐解いていけば、案外単純に思えることもあるのですよ」
「そうだといいのですが……」
両親との確執、役割、ブレイカとの結婚、強いられる新しい生活。結婚して、今とまったく同じ生活ができるとは限らない。そもそも、俺があと何年生きるのかもわからないのに。
「それでも難しければ手放すことも考えましょう。ときには諦めも必要です。もちろん、手を尽くした上での話です」
アバウトでふわふわした疑問に、フローリアは真剣に考えて話してくれた。少し頭を下げ、感謝の気持ちを示す。
「ご助言ありがとうございます」
「こちらこそ、話してくださってありがとうございます」
単純に嬉しかった。こんなふうに、人と会話をしたことがあまりないから。彼女の笑顔につられて、俺も笑おうと思った。……腕時計を見るまでは。
「変な疑問を抱いてすみません。そろそろランチを食べませんか?」
うだうだ悩んでいる間に15分も時間を使ってしまった。休憩時間も限りがある。いつまでも駄弁っていられない。
「そうですね。何にしましょうか」
フローリアが壁にかけられたメニューを見ていると、後ろから学園長がひょっこり現れた。会話が中断され、学園長が新たな話題を持ってくる。
「セウェルスくん、メレルズくん、こんにちは」
「こんにちは」
ふたりで立ち上がって頭を下げると、学園長の視線はフローリアに向いた。
「どうだい。ここには慣れてきたかな?」
「はい。慣れてきました。これから精進してまいります」
「良きかな良きかな。それでは、失礼するぞ」
学園長は満足そうに髭を撫で、革靴でリズムを刻んでカフェテリアから去った。
フローリアと出会ってから2週間経った。相変わらず俺の毎日は変わり映えしなくて、平々凡々。可もなく不可もなく。両親や弟妹は俺を遠ざけ、婚約者とコンタクトを取らない。相手は会いたくないだろうし、俺も会う気がなかった。婚約したといっても、日常生活に支障が出るほどの大きな影響にはならない。式の準備は着々と進み、衣装とアクセサリー選びも済んだ。後は細かい調整をして、本番を待つだけ。
「何かお困りですか? 随分気難しいお顔ですけれど……」
「え? ああ……。将来のことを考えていたのです」
またぼーっとしていた。今は昼休憩で、何を食べようかと悩んでいたことを思い出す。色々な妄想が飛躍してしまい、いつもの悪い癖にとらわれてしまった。向かい側の席にフローリアが座り、不思議そうに尋ねる。
「将来とはどういうことですか?」
あまりにもストレートな質問に、戸惑い、渦巻く黒い靄を隠した。
「まぁ……そのままの意味です。俺はこれからどう生きていくのだろうっていう、途方もない考え事です」
「そうですか……。きっと、難しく考えすぎなのかもしれませんね」
「難しく?」
フローリアは抱えていた書類をバッグに詰め、蓋を閉じる。
「ええ。物事って一見複雑ですけど、必ず理由や原因があります。ゆっくり紐解いていけば、案外単純に思えることもあるのですよ」
「そうだといいのですが……」
両親との確執、役割、ブレイカとの結婚、強いられる新しい生活。結婚して、今とまったく同じ生活ができるとは限らない。そもそも、俺があと何年生きるのかもわからないのに。
「それでも難しければ手放すことも考えましょう。ときには諦めも必要です。もちろん、手を尽くした上での話です」
アバウトでふわふわした疑問に、フローリアは真剣に考えて話してくれた。少し頭を下げ、感謝の気持ちを示す。
「ご助言ありがとうございます」
「こちらこそ、話してくださってありがとうございます」
単純に嬉しかった。こんなふうに、人と会話をしたことがあまりないから。彼女の笑顔につられて、俺も笑おうと思った。……腕時計を見るまでは。
「変な疑問を抱いてすみません。そろそろランチを食べませんか?」
うだうだ悩んでいる間に15分も時間を使ってしまった。休憩時間も限りがある。いつまでも駄弁っていられない。
「そうですね。何にしましょうか」
フローリアが壁にかけられたメニューを見ていると、後ろから学園長がひょっこり現れた。会話が中断され、学園長が新たな話題を持ってくる。
「セウェルスくん、メレルズくん、こんにちは」
「こんにちは」
ふたりで立ち上がって頭を下げると、学園長の視線はフローリアに向いた。
「どうだい。ここには慣れてきたかな?」
「はい。慣れてきました。これから精進してまいります」
「良きかな良きかな。それでは、失礼するぞ」
学園長は満足そうに髭を撫で、革靴でリズムを刻んでカフェテリアから去った。
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