24 / 51
24話 崩壊
しおりを挟む
24話 崩壊
どうしてスレートヴィス王国では重婚と浮気が禁止されているのか、その理由は1000年以上前のある事件が関係している。国家を揺るがすことになった大事件だ。
我が国は昔から資源が豊富で、肥沃な土地と豊かな作物が売りだった。景気は良く、皆十分な財産を持っていたため、心の汚れた犯罪者はごく僅か。大半が俗に言う「良い人」で、悪行をも呑み込めるほど絶大な力を持っていた。国外では、スレートヴィス王国の資源の質は最高級、国民は善良で人間性も素晴らしいと絶賛された。輸出入が盛んで、市場や港は大勢の人で賑わっていた。
また、その国民を束ねる国王も立派なお方だった。もともと7つあった小国をひとつにまとめ、国家を作り上げた実績を持つ。もちろん争いはあったが、その後の統治が完璧だった。ゆえに国民は王を尊敬し、己の人間性を磨いた。建国当時、スレートヴィス王国の勢いは凄まじかった。
だけど、そんなに上手く世界は出来ていない。確かに悪質な国民は少ない――少ないのだが、ゼロにはできない。史実に残る稀な悪人、国王の側妻が悪しき計画を立てていた。
妻とはいえ愛人同然だった彼女は、幸運にも国王の子供を授かった。生まれてきた子は男の子で、正妻の間には女の子がすでにふたりいた。彼女は正妻の立場を奪うために、生まれた息子を王位に就かせようとした。でも、国王が認めないことをあらかじめ予想し、実家の軍の力を強めた。※当時は重婚と浮気を禁ずる法律はなく、先代国王の宣言によって次の王が決められた。そして、側妻の権力は、王家に忠誠を誓う一家よりも強かった。
その後も正妻との間に男の子が生まれることはなく、彼女の息子が正式に王子に認められると、一気に反逆を起こした。彼女は夫の国王を殺し、城にいた姉たちを狙った。血みどろの争いが終わるころ、彼女の息子が指をしゃぶって玉座に座っていた。
散り散りになってしまった、国王陛下および王妃殿下の支持者。かろうじて生きた陛下の娘を引き連れ、玉座を取り返すための争いを始めた。その結果王派が勝利を収め、今のスレートヴィス王国がある、というわけだ。
偉大なる国王陛下の葬儀終了後、新たな法律が作られた。貴族だろうと、国王だろうと、結婚は1回まで。重婚を禁止する。結婚の際は、必ず国民や領地民に宣言すること。男女問わず愛人をそばに置いても構わないけど、結婚と同じく公に宣言するほか是非を問わなければいけない。反対多数の場合は、愛人として認められず縁を切る必要がある。また、トラブルを避けるため、不倫を含め浮気を禁ずる。必ず世間に宣言しなければいけない。男女問わず愛人の権力と立場は低くなった。たとえ子供が生まれたとしても、次期後継者になるにはハードルが高く、ほぼなれない、認められないほど厳しい。
いつの間にかその法律が馴染み、世間にとっての「当たり前」となった。
どうしてスレートヴィス王国では重婚と浮気が禁止されているのか、その理由は1000年以上前のある事件が関係している。国家を揺るがすことになった大事件だ。
我が国は昔から資源が豊富で、肥沃な土地と豊かな作物が売りだった。景気は良く、皆十分な財産を持っていたため、心の汚れた犯罪者はごく僅か。大半が俗に言う「良い人」で、悪行をも呑み込めるほど絶大な力を持っていた。国外では、スレートヴィス王国の資源の質は最高級、国民は善良で人間性も素晴らしいと絶賛された。輸出入が盛んで、市場や港は大勢の人で賑わっていた。
また、その国民を束ねる国王も立派なお方だった。もともと7つあった小国をひとつにまとめ、国家を作り上げた実績を持つ。もちろん争いはあったが、その後の統治が完璧だった。ゆえに国民は王を尊敬し、己の人間性を磨いた。建国当時、スレートヴィス王国の勢いは凄まじかった。
だけど、そんなに上手く世界は出来ていない。確かに悪質な国民は少ない――少ないのだが、ゼロにはできない。史実に残る稀な悪人、国王の側妻が悪しき計画を立てていた。
妻とはいえ愛人同然だった彼女は、幸運にも国王の子供を授かった。生まれてきた子は男の子で、正妻の間には女の子がすでにふたりいた。彼女は正妻の立場を奪うために、生まれた息子を王位に就かせようとした。でも、国王が認めないことをあらかじめ予想し、実家の軍の力を強めた。※当時は重婚と浮気を禁ずる法律はなく、先代国王の宣言によって次の王が決められた。そして、側妻の権力は、王家に忠誠を誓う一家よりも強かった。
その後も正妻との間に男の子が生まれることはなく、彼女の息子が正式に王子に認められると、一気に反逆を起こした。彼女は夫の国王を殺し、城にいた姉たちを狙った。血みどろの争いが終わるころ、彼女の息子が指をしゃぶって玉座に座っていた。
散り散りになってしまった、国王陛下および王妃殿下の支持者。かろうじて生きた陛下の娘を引き連れ、玉座を取り返すための争いを始めた。その結果王派が勝利を収め、今のスレートヴィス王国がある、というわけだ。
偉大なる国王陛下の葬儀終了後、新たな法律が作られた。貴族だろうと、国王だろうと、結婚は1回まで。重婚を禁止する。結婚の際は、必ず国民や領地民に宣言すること。男女問わず愛人をそばに置いても構わないけど、結婚と同じく公に宣言するほか是非を問わなければいけない。反対多数の場合は、愛人として認められず縁を切る必要がある。また、トラブルを避けるため、不倫を含め浮気を禁ずる。必ず世間に宣言しなければいけない。男女問わず愛人の権力と立場は低くなった。たとえ子供が生まれたとしても、次期後継者になるにはハードルが高く、ほぼなれない、認められないほど厳しい。
いつの間にかその法律が馴染み、世間にとっての「当たり前」となった。
0
あなたにおすすめの小説
どうかこの偽りがいつまでも続きますように…
矢野りと
恋愛
ある日突然『魅了』の罪で捕らえられてしまった。でも誤解はすぐに解けるはずと思っていた、だって私は魅了なんて使っていないのだから…。
それなのに真実は闇に葬り去られ、残ったのは周囲からの冷たい眼差しだけ。
もう誰も私を信じてはくれない。
昨日までは『絶対に君を信じている』と言っていた婚約者さえも憎悪を向けてくる。
まるで人が変わったかのように…。
*設定はゆるいです。
【完結】時計台の約束
とっくり
恋愛
あの日、彼は約束の場所に現れなかった。
それは裏切りではなく、永遠の別れの始まりだった――。
孤児院で出会い、時を経て再び交わった二人の絆は、すれ違いと痛みの中で静かに崩れていく。
偽りの事故が奪ったのは、未来への希望さえも。
それでも、彼を想い続ける少女の胸には、小さな命と共に新しい未来が灯る。
中世異世界を舞台に紡がれる、愛と喪失の切ない物語。
※短編から長編に変更いたしました。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます
しゃーりん
恋愛
ソランジュは婚約者のオーリオと結婚した。
オーリオには前から好きな人がいることをソランジュは知っていた。
だがその相手は王太子殿下の婚約者で今では王太子妃。
どんなに思っても結ばれることはない。
その恋心を王太子殿下に利用され、王太子妃にも利用されていることにオーリオは気づいていない。
妻であるソランジュとは最低限の会話だけ。無下にされることはないが好意的でもない。
そんな、いかにも政略結婚をした夫でも必要になったので返してもらうというお話です。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる