血に塗れた氷の騎士

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24話 崩壊

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24話 崩壊
 どうしてスレートヴィス王国では重婚と浮気が禁止されているのか、その理由は1000年以上前のある事件が関係している。国家を揺るがすことになった大事件だ。
 我が国は昔から資源が豊富で、肥沃な土地と豊かな作物が売りだった。景気は良く、皆十分な財産を持っていたため、心の汚れた犯罪者はごく僅か。大半が俗に言う「良い人」で、悪行をも呑み込めるほど絶大な力を持っていた。国外では、スレートヴィス王国の資源の質は最高級、国民は善良で人間性も素晴らしいと絶賛された。輸出入が盛んで、市場や港は大勢の人で賑わっていた。
 また、その国民を束ねる国王も立派なお方だった。もともと7つあった小国をひとつにまとめ、国家を作り上げた実績を持つ。もちろん争いはあったが、その後の統治が完璧だった。ゆえに国民は王を尊敬し、己の人間性を磨いた。建国当時、スレートヴィス王国の勢いは凄まじかった。
 だけど、そんなに上手く世界は出来ていない。確かに悪質な国民は少ない――少ないのだが、ゼロにはできない。史実に残る稀な悪人、国王の側妻が悪しき計画を立てていた。
 妻とはいえ愛人同然だった彼女は、幸運にも国王の子供を授かった。生まれてきた子は男の子で、正妻の間には女の子がすでにふたりいた。彼女は正妻の立場を奪うために、生まれた息子を王位に就かせようとした。でも、国王が認めないことをあらかじめ予想し、実家の軍の力を強めた。※当時は重婚と浮気を禁ずる法律はなく、先代国王の宣言によって次の王が決められた。そして、側妻の権力は、王家に忠誠を誓う一家よりも強かった。
 その後も正妻との間に男の子が生まれることはなく、彼女の息子が正式に王子に認められると、一気に反逆を起こした。彼女は夫の国王を殺し、城にいた姉たちを狙った。血みどろの争いが終わるころ、彼女の息子が指をしゃぶって玉座に座っていた。
 散り散りになってしまった、国王陛下および王妃殿下の支持者。かろうじて生きた陛下の娘を引き連れ、玉座を取り返すための争いを始めた。その結果王派が勝利を収め、今のスレートヴィス王国がある、というわけだ。
 偉大なる国王陛下の葬儀終了後、新たな法律が作られた。貴族だろうと、国王だろうと、結婚は1回まで。重婚を禁止する。結婚の際は、必ず国民や領地民に宣言すること。男女問わず愛人をそばに置いても構わないけど、結婚と同じく公に宣言するほか是非を問わなければいけない。反対多数の場合は、愛人として認められず縁を切る必要がある。また、トラブルを避けるため、不倫を含め浮気を禁ずる。必ず世間に宣言しなければいけない。男女問わず愛人の権力と立場は低くなった。たとえ子供が生まれたとしても、次期後継者になるにはハードルが高く、ほぼなれない、認められないほど厳しい。
 いつの間にかその法律が馴染み、世間にとっての「当たり前」となった。
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