血に塗れた氷の騎士

fireworks

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35話 交流会

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35話 交流会
「本の交流会……ですか?」
「ええ。お互い好きな本を持ち寄って、特徴、あらすじ、好きなところを話すことです。授業の取り組みなのですが、セウェルスとやってみたくて」
「面白そうですね」
「では、3日、本を考える時間を設けた後、昼休憩のときに見せ合いしましょう」
 ランチタイムの途中、彼女の提案で本の交流会を始めた。帰る前、図書室に寄り、ソファーに腰掛けて本を選ぶ。好きな本……ということは、普段読んでる研究書とか、論文とか、辞典とか。……でも、それをフローリアに紹介するのは違う。となると、幼少期に読んでもらった絵本や児童書? それも違う気がする……。
 3日間、自由な時間を使って、気になる本を片っ端から手に取った。流行りの恋愛小説、ドキドキするミステリー、手に汗握るホラー。爽快なバトルアクション、奇想天外なファンタジー、過去をたどる歴史小説。普段、どれだけお堅いものを読んでいたのかよくわかる。小説の内容なんて、すべてを理屈で片付けることはできない。人々の想像は、俺のものよりも飛躍的で予想不可能。小さな疑問に突っかかると集中して読めないから、一旦隅に置いておく。そしたら、前よりはスムーズに読めるようになっていた。……また、考えすぎたのかな。
「あなたに見せようと思った本は、最初からこれに決めていました」
 ランチタイム、場所はカフェテリア。彼女が犬のバッグから取り出した本は、よく聞いたことのあるものだった。色が剥がれて、文字がぼやけた表紙。それを受け取り、タイトルと描かれた剣を見てハッとする。
「これは……」
「かの伝説『氷の騎士と飛竜ひりゅうの剣』の初版です。年月が経ったのでぼろぼろなのですが……本編の文字はなんとなく読めます」
 かつて、マリアンヌがプレゼントし、読み聞かせしてくれたものの……もととなる原版げんぱん。今語り継がれる『氷の騎士』は、時を経て、独自の解釈が入った改変版だ。まさか、ここで重要な本が出てくるとは思わなかった。表紙はぼろぼろだけど、ぱらぱらめくってみると、文字はしっかり読める。……当然のごとく、難解で達筆な古語なのだけど。
「あらすじはこうです。あるところに――」
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