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1章 壊れた心
3話 噂は真実
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「そうだよ。いつも笑顔でいるけど、貼り付けた感じだよね」
「うんうん。彼氏が暴力振るっているらしいよ」
「え!? 質悪ぅ……」
「しっ。さっきの姿、見えなかった!?」
「え?」
「いるよ!?」
教室の隅で、3人の女子生徒がひそひそ話。かなり大きな声で、偶然静まり返っていたから透き通って聞こえた。偶然。聞こえただけ。皆気にしていない。3人は口元に手を添え、前髪をいじり、目を大きく見開いていた。
『本当にその人たちって必要?』
彼女たちの見ていた私の姿。両腕は、ジャケットとオーバーサイズのセーターで隠したはず。顔の赤は化粧で誤魔化したはず。首回りは髪で覆い隠せているはず。首やチョーカーに爪を立て、力を入れ……。
「ピコン」
メッセージの着信……。バッグの上にスマホを置いてアプリを開く。レンからだ。ピコピコと連投しているみたいで肩に力が入る。
『足りない。もっとちょうだい』
「……」
握り潰しながら、返信を送った。虚ろな目で、真っ赤な両腕で、この世界が灰に包まれたようだった。
「ローレンティア!」
「?」
1日はあっという間に終わる。クラスメートや同級生からの頼まれたことをこなして、返して、新たに受け入れる。私はそれをタスクと呼ぶ。種類は主に3つ。ワークブックの解説、試験範囲の要点や応用問題、その他。ただ単に答えを書くだけでなく、解答の導き方や注意点を余すことなくノートや画面に書き出していく。人から頼まれたこととはいえ、復習になるから大体引き受けている。
「これお願いしたいの。えっと……1週間後くらいまでに」
「うん」
「ありがとう!」
一石二鳥になる。特に、だれかの笑顔を見られると私も嬉しくなる。
『何してるの?』
友人とのランチタイムを終え、午後の授業が始まった。科目は数学演習。12年生間近ということもあって、内容は実践的で高度なものになっている。一筋縄ではいかない。ミスの穴が多く、解答欄を埋めるのにスペースと時間を要する。だけど、悪いことばかりではない。わずかながら達成感があるし、配点が大きいから、練習すれば自信がつく。将来使うかはさておき、そこに向かうための道具になるのなら、知識を養っておくことに間違いはない。
「それでは、今回は――」
前に出た先生が、ホワイトボードに前回の復習をつらつらと書いていく。私もシミュレーションをしようとしたら、膝の上のスマホが振動した。気を取られて、肘がペンケースに当たって中身が溢れた。
「あっ……」
色付きのペンが音を立てて床に散らばる。すぐ動きたかったけど、スマホを落としてしまいそう。クラスメートの視線が一斉に集中。
「すぐ拾うので……!」
「うんうん。彼氏が暴力振るっているらしいよ」
「え!? 質悪ぅ……」
「しっ。さっきの姿、見えなかった!?」
「え?」
「いるよ!?」
教室の隅で、3人の女子生徒がひそひそ話。かなり大きな声で、偶然静まり返っていたから透き通って聞こえた。偶然。聞こえただけ。皆気にしていない。3人は口元に手を添え、前髪をいじり、目を大きく見開いていた。
『本当にその人たちって必要?』
彼女たちの見ていた私の姿。両腕は、ジャケットとオーバーサイズのセーターで隠したはず。顔の赤は化粧で誤魔化したはず。首回りは髪で覆い隠せているはず。首やチョーカーに爪を立て、力を入れ……。
「ピコン」
メッセージの着信……。バッグの上にスマホを置いてアプリを開く。レンからだ。ピコピコと連投しているみたいで肩に力が入る。
『足りない。もっとちょうだい』
「……」
握り潰しながら、返信を送った。虚ろな目で、真っ赤な両腕で、この世界が灰に包まれたようだった。
「ローレンティア!」
「?」
1日はあっという間に終わる。クラスメートや同級生からの頼まれたことをこなして、返して、新たに受け入れる。私はそれをタスクと呼ぶ。種類は主に3つ。ワークブックの解説、試験範囲の要点や応用問題、その他。ただ単に答えを書くだけでなく、解答の導き方や注意点を余すことなくノートや画面に書き出していく。人から頼まれたこととはいえ、復習になるから大体引き受けている。
「これお願いしたいの。えっと……1週間後くらいまでに」
「うん」
「ありがとう!」
一石二鳥になる。特に、だれかの笑顔を見られると私も嬉しくなる。
『何してるの?』
友人とのランチタイムを終え、午後の授業が始まった。科目は数学演習。12年生間近ということもあって、内容は実践的で高度なものになっている。一筋縄ではいかない。ミスの穴が多く、解答欄を埋めるのにスペースと時間を要する。だけど、悪いことばかりではない。わずかながら達成感があるし、配点が大きいから、練習すれば自信がつく。将来使うかはさておき、そこに向かうための道具になるのなら、知識を養っておくことに間違いはない。
「それでは、今回は――」
前に出た先生が、ホワイトボードに前回の復習をつらつらと書いていく。私もシミュレーションをしようとしたら、膝の上のスマホが振動した。気を取られて、肘がペンケースに当たって中身が溢れた。
「あっ……」
色付きのペンが音を立てて床に散らばる。すぐ動きたかったけど、スマホを落としてしまいそう。クラスメートの視線が一斉に集中。
「すぐ拾うので……!」
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